わたしは、その、その、ま、病気をね、告げられたときに、動揺っていうのはなかったんですよね。ただ、ただ、そのいわゆるやっかいな病気になってしまったなあっていうのはありました。ですが、そのー、ま、かなり進行して、ま、リンパ節にも、えーと、そうですね、肝臓にも転移していましたから、ま、深刻なのかどうか分かりませんが、要するに告知を受けますよね。告知されて、「あなたがんですよ」って言われて、だけど、その日を境にして、わたしの体調がどうこうっていうことではなかったわけですよね。ですから、うーん、わたしとしては、ま、日常が、まあ、つらくもなく、まあ、人、人、人並みに食べて人並みに笑い人並みに話し、…ていましたね。ですから、うん、そんなに、うーん、危機感はなかったっていうのが、今になってみれば、ちょっと、ちょっと、ちょっとやばかったかなとは思いますけども、ええ。
―― で、あのー、内視鏡の、その、ま、映像といいますか、あのー、それもご覧になりました。
あ、見ました、見ました、はい、はい、はい。
―― そのときに、もう、それまでは、ほとんど自覚症状がなかったわけですよね。
そうですね。
―― 転移した腫瘍が、どんな。
ま、きれいに並んでいたなって。
―― きれいに並んでいた。
ええ、きれいに並んでいた。ええ、ま、行儀よく、ずいぶん丁寧に並んでいるもんだなあと。ええ、だから、そうですね、そういう一連の、そういう、証拠ですよね、証拠を突きつけられても、「そうですか」しか言えないですよね。「あ、そうですか」としか。で、これから、何が始まるのか分かりませんが、とりあえず、現実は、現在はこうなんだなということで、で、つらくもないから、うーん、その日を境に、わたしの事情は、状態が変わったとか事情が変わったとか、しん、いろいろ変わったとかっていうことはなかったですね、ええ。