診断時:52歳
インタビュー時:55歳

1998年に乳がんの診断。乳房切除術。

語りの内容

ほとんどの男性には、体の中で好きな部分があるでしょう? 私の夫の場合は、それがたまたま胸だったんです。
ですから夫と私にとっては、難しい問題になるだろうと思いました。もし今このことについて夫に話せば、夫は私がまったくいなくなるより、胸が片方しかなかったり両方なかったとしても私がいた方がいいと言うでしょう。でもそれは、夫が口で言うことであって、必ずしも彼が心で思っていることではないと思います。
こんなふうに、手術を受けなければならなくなる前は、私は夜寝る準備をする時や、リビングで着替えをしていると、長いすに座っていた夫は、新聞を置いて、テレビを見るのを止めて、腕を組んでただそこに座って、私が着替えるのを見ていました。それが、乳房を切除してからそういうことがなくなりました。
それからもう一つ、とてもうろたえるのは、それを夫に切り出すのがとても難しかったことね、でも結局は切り出したのだけど、矢張りまた同じ状況で、自分の方から催促しているように感じました。
乳房を切除する前は、夫と寝る時はいつもネグリジェを勢いよく脱がされたものでした。でも手術の後は、そうはならなくなって、そのことはとても辛かったです。夫が私のことを醜いと思っているのは明らかだと思っていましたから。
今でも、ある意味、拒絶されていると感じます。いくら夫が、そんなことはまったく問題ないと言ってくれても、以前と同じではありえないんですから。だって、絶対に重要なことなんですよ。何かが違っているはずなんです。
でもこのことがあって、私たちの関係は以前よりずっと深いものになったことは確かです。見てわかるくらいにね。会う人たちがみんな、どういうわけかわからないけれども私たちに何かあったんじゃないかと言うんです。
私も思いますよ。夫と私との距離が縮まって、とても親密な仲になりました。

私は: です。

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