生物学的療法

ハーセプチン(成分名 トラスツズマブ)

ハーセプチン(トラスツズマブ)は、乳がんの一部の女性、および男性に使用される生物学的療法(標的療法)です。これは、モノクローナル抗体薬に分類されます。この薬は、乳がん細胞の表面上のHER2受容体(タンパク質)に結合することによって機能します。結合することで、がん細胞が分裂し増殖することをストップさせます。また、がん細胞に対して戦う生体防御の機能を高めます。

ハーセプチンは、早期乳がんの初期治療後、乳がんの再発の可能性を低下させます。しかし、乳がん細胞の表面上のHER2受容体の数が多い女性にのみ効果があります。これは、HER2陽性乳がんと言われます。女性の乳がん患者100人中15~25人(15~25%)がHER2陽性乳がんと認められます(Macmillan Cancer Support 2013年1月)。早期乳がんで、HER2陽性の女性に対し、ハーセプチンは、他の治療と並行して、または他の治療の終了後に使用することができます。

テスは33歳の時に乳がんと診断され、1年間、定期的にハーセプチンを投与されました。

通常、副作用は軽度であるものの、人によっては、インフルエンザに似た症状、下痢、頭痛またはアレルギー反応がみられるでしょう。何人かの女性にとってハーセプチンは、心不全につながるような心筋にダメージをもたらす可能性もあります。こうした場合は、ハーセプチンを中止します。通常、心臓への影響は軽度で可逆的です。この薬の投与を受けるすべての女性は、3ヶ月毎に心臓をチェックするためにスキャンすることをお勧めします(心エコー図)。長期的スパンでみた心臓へのダメージについてはまだはっきりしないため、ハーセプチンは、重度の心臓障害を抱えている女性には投与されません。

ハーセプチンは、通常、静脈に挿入された細管(カニューレ)を通じて、点滴投与されます。あるいは、ハーセプチンを皮膚表面下(皮下)注射として投与することもできます。その注射は、病院の外来で投与されるのが普通です。初回投与は、普通は、約一時間半かけて、ゆっくりと行われます。この後は、通常約30分かけて投与します。点滴後は、患者がハーセプチンの副作用を発症していないことを確認するために短時間病院に滞在します。投薬のペースは、週に1回または3週間に1回とされています。

2017年10月更新

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