投稿者「dipex-j」のアーカイブ

乳がんの語り

ジムで腰が痛くなり、近所の整形外科でレントゲンを撮ったところ、精密検査を勧められた。腫瘍マーカーの上昇はなかったが、骨シンチで腸骨に転移が見つかった

スポーツジムに通ってたんですね。で、結構、マシン使ってハードにやるのが好きで、あるとき、腰が痛くなっちゃって、「あ、やりすぎちゃった。筋肉痛かな」って思って、1ヶ月ぐらい、「ああ、痛い、痛い」って言いながらもマシンをやってたんですね。だけど、あまりにも痛いもんで、おかしいと思って、開業医の整形外科に行って、レントゲン撮ったら、「ちょっと変じゃない?」って、もちろん病気(乳がん)のこと言ってあったから、そうしたら、「すぐ検査受けてもらってください」って言われて。あ、そんときの対応がちょっと「ん?」って思ったんだ。で、そんときには、もう3ヶ月に一遍。いえ、半年に一遍の検診になってるときだったんで、それがね、10月だったんですね。痛いって分かったのが。で、12月に検診だったんですよ。で、そのときに病院に(電話して)「整形外科でこう言われちゃったんですけれど、すいません、検査に行きたいので検査の予約を入れてください」って言ったんだけど、「もう予約が取れません」って言って、結局、最初から決められてた検診のときに。治療も何もないときだったので、そういう状態だと(定期的な診察は)ただ問診だけじゃないですか。そんな半年に1遍で。「ともかく、レントゲンも頂いてるので、もしできれば、(骨の)検査を入れてください」って言ったんだけど、そのとき、「まあ、先生が見てから」っていうことだったんですね。
で、12月の最初から予約してあった日に行って、先生にレントゲンを見てもらって、で、すぐ骨シンチっていうことで(笑)、骨シンチやったら分かった。まあ、それが本当に混んでなければね、もっと早くに検査してもらえたんだろうけれど、そのときはちょっと、「えー?」って思いましたけどね(笑)。でも、先生も「そんな骨転移するとは思わなかった」みたいな口ぶりだったんですよね。うん。腫瘍マーカーも高くなかったし、なもんで、先生に「腫瘍マーカー、高くないのに、こうやってできちゃってるんだけど、なぜ高くないの?」って言ったら、「うーん、あんまり当てになんないのかな」とかって(笑)言ってましたけどね、そんときには。「腫瘍マーカーってあまり当てになんないのかな?」って思いましたね。うん。それで分かりました。

乳がんの語り

知人に健康食品を購入するよう勧誘されたが、月に10万もかかるので、つい「人の弱みに付け込んで」とけんか腰になってしまった

あ、そうですね。昨年の10月に、あまり評価が――まあ悪くはないけれど、腫瘍マーカーも下がってないっていうことで、もう自分の体――そのときに先生から、まあ、「一生、高血圧とかそういうのと一緒で、一生、付き合っていかなきゃいけないよ」っていう説明を受けたときに、ああ、じゃあ、もう自分の体を強くするしかない。ずっと抗がん剤に頼るわけにはいかないっていうことで。
で、そのときに、まあ、ちょっと話がずれ――ごめんなさい――ちゃうかも(しれない)けど、あの、代替療法じゃないけど、いろんな健康食品が、ちょっと知ってる友達とか「これがすごくいいのよ」って、すごい勧誘された。もう商品名、忘れちゃったくらいなんですけど。で、聞くと、月に10万くらいかかったりするんですね。だもんで、そんときに私、一人の(提案した)代替療法に(対して)ね、「貧乏人は死ねってこと?」って(笑)。思わず言っちゃったんですね。で、「そんなに効くものならね、なぜね、西洋医学でもってね、ちゃんと使わないの」って。もうけんか腰になっちゃうくらいなんだけど、「人の弱みにつけ込んで、そういうものを、話を持ってくる?」って言ったら、「あんた、ひねくれてるよ」って言われちゃったんだけど。みんな、心配してくれて、持ってきてくれてる、話を…なんだけど、どれぐらいの根拠があるものなのかなって。で、そういうもので、(代替)療法に頼らない。で、すごく心も動いたんですよ。治るためだったらって。心も動いたんだけど、「でも、本当に大事なのは日々の食生活だよな」って思ったんですね。

乳がんの語り

腸骨と股関節の転移部に放射線照射をするのに、通院途中で転んで骨折するといけないということで、入院して治療を受けた

腸骨と、大腿骨じゃなくて股関節っていうのは、その、ちょっと難しい位置から、内臓にあまり影響がないかけ方をしたいということで、角度とかそういうのが微妙なので、それと通勤、通院するのに、途中で、例えば骨折とか困るから、病院に入院してくれ(と言われ)、入院して、(がん)専門病院でやりました。
で、そのときには、照射して終わったあとは――13回、腸骨も股関節も13回ずつ(照射したが)――股関節のときには、それから3ヶ月間ぐらい杖(を使った)。要するに、固まるまで転ばないようにっていうことでやりました。で、入院してだったので、その治療時間っていうのは、ほんの10分かそこらなんですよね、照射するのは(笑)。それで、1日病院の中にいるので、まして仕事も休まなきゃいけなかったっていうことなので、もうやっぱりすごい退屈だったんですけど。でも、病院が、その、先ほども言ったように、すごく環境のいいところで、看護婦さんもよくしてくれたし、…なもんだから、そういった意味では、まあ…。副作用なんか全然感じなかったし、どっちかっていうと体を休める。
ただね、あ、そう。入院してるからかもしれないけども、日がな日がな寝ちゃいましたね。眠かったです、とっても。でも、それは「日ごろの疲れかな」って(笑)、先生もおっしゃって。で、しょっちゅう先生も顔見に来てくださったりしてたので。だもんで、そんなにつらい治療じゃない。逆に何か、あの、療養しに来てるみたいな、そんな気分で、受けてました。

乳がんの語り

乳房温存手術に引き続き抗がん剤治療を受け、職場復帰して通院で放射線治療を受けた

外科手術をして、10日ほど入院して、その後、まあ1ヶ月間、自宅療養して、で、その後に、抗がん剤治療を、3週間に1ぺんを4回やりまして、で、その後、放射線治療を、25回プラス5回っていうことで30回。それは、地元の――その、がんの専用、専門の病院っていうのはちょっと遠くて、新幹線で行かなきゃいけないようなとこだったものですから――地元の、で、放射線は毎日通わなきゃいけないんで、地元の病院を紹介していただいて、そこで放射線治療を受けました。
仕事に行く前に1時間くらいかな。1時間くらい、その専門の病院から、近くの地域の病院に、指示を出してもらって、それで、30回。それは、仕事に行く前に行って、終わると仕事に行く。
で、「何か白血球が下がってくるよ」っていうことだったんですけれど、あまりその影響はなかったですね。そうですね。そんなに下がらなかったのかな。抗がん剤のときには2700とかってなっちゃったけど、でも、放射線治療のときには、3500から4000ぐらいあったと思うので。なもんで、「そういう副作用もあるよ」っていうのは、最初は聞いてたけれど、まあ、そのときはそんなに感じなかった。
で、それから、半年に1ぺん、今も、その、胸の(放射線)――要は肺に近いっていうことで、何かしら出るかもしれないということで――半年に1ぺん、今、その放射線を受けた病院に、検診に行ってます。

乳がんの語り

切除範囲に関する術後の説明に納得が行かず、別の病院に行って超音波やCTなどの検査をした結果、追加手術でがんを切除した方がいい、といわれた

セカンドオピニオンで、次の病院に行って、そこで、まあ、いろんな資料をもとに、もちろんそこでも検査、あ、違うわ。先にいろんな資料をもとに、じゃ、今後どうしたいのかっていうことを先生とお話しして、まあ、「その専門の病院で治療を受けたいです。で、手術が必要なら、また手術もします」ということで意思表示して。で、先生が考えてくださって。で、傷跡も確かに汚かったっていうのもあって、「取りあえず検査してみましょう」っていうことで、超音波とかCTとかの検査をして。そしたら、その時点で、「円錐形にこう、がんがあるんだよ。で、今の手術では、上のほうだけが取られてるけれど、本当はこういうふうに取らなくちゃいけないと思います。で、やりますか」っていうことだったので、「やります」。で、「ある程度、取ってしまえば、まあ、抗がん剤の、回数とかも、それに合わせて、やればいいことだから」っていうことで。で、検査の結果で、「じゃあ、手術しましょう」っていうことになりました。
で、その時点では、(勤め先の)保健婦さんと一緒に行って説明を聞いて、で、こちらも質問をしたんですけれど、まだ先生のほうも落ち着いてらして、結構、丁寧に説明してくださった。で、やはり一度やった、手術したものをもう一度手術するっていうのは、やはり、医療者のほう、先生にしても大変なところがあるらしくって、で、かなり、どういうふうにやろうかなってことで悩まれたようですけれど。でも、そのときはとても的確に説明してくださって、で、私も、納得のいく説明だったので。で、1ヶ月後くらいかな。セカンドオピニオンを受けたのが5月、6月かな。6月で、で、7月の末に手術を受けました。

乳がんの語り

友人と検診の話になり、胸を触ったら硬いものを見つけ、乳がん検診に行った

みんなと話をしていて、乳がんの話になって、で、そのころ、こう、何となく世間も、乳がん、乳がんって言い出してたんですね。で、いろんな市町村が、35歳以上でしたか? 30歳以上ですか? 「検診を受けましょう」みたいな、そういうふうになってて。で、話題がそうなったんで。で、友人に言われて、そう、ちょっとこう、自分でも触り出したんですね。そしたら、「あれ、硬いのがあるかな」って。だから発端は、やっぱり検査受けてみようと思った発端は、友達との話の中から。で、それから意識して触ったり、こうやって(腕をあげて)ちょっと調べたら、「あ、引きつれてる」って思ったんですね。それで、検診に行こうと思いました。

乳がんの語り

診断されたあと、夫にメールで乳がんだったと伝えたら、「一緒に治していこう。今日、おいしいものを食べに行こう」という返信が返ってきた

で、入院の予約をして、その日は帰りました。さすがにちょっと会計で待っている間に、夫にメールを入れて、「がんだったわ、入院の予約をした」というような報告をして。そしたら、夫が「まあ一緒に治していこう」というふうな返信をしてきて、「きょう、何かおいしいものでも食べに行く?」っていうふうに、送ってきたんですね。で、その後もそうだったんですけど、何かこう私が落ち込んでいるようなタイミングで、何か連絡を入れると、必ず「何かおいしいものを食べに行こう」というような返信の仕方をしてきて、それしか思い付かないのかなと思いながらも、まあ彼の、そうですね、精いっぱいの何かこう励まし方というか…なんだなと思って、それはそれで嬉しく思いました。

乳がんの語り

アメリカ人女性が乳がんの手術痕にオリーブの枝のタトゥーを入れている写真を見て、エネルギーを感じた。乳房を失うことで女性性も人間性も損なわれないと思っている

さっさと胸を新しく自分の組織でつくって、普通にまた、まあ普通にと言っても、まあ傷は少々残るでしょうけども、何て言うかなあ、前向きに生きていくという選択もありますし。あとは、胸を失ったことを、また、違う意味でまるきり気にせずに失ったままで失ったからといって、自分の女性性とか人間性とかは何も損なわれていないというふうな考え方で前向きに生きていくという、選択することは違うんだけれども、どちらにしても前向きに生きていくことはできるんではないかというふうに考えたんですね。どちらが前向きなのか、比べることもできませんけれども、それはその人が乳がんになった患者さんたちが、好きなようにしたらいいというふうに思うので、それぞれの方の選択には、全然、私はこうしたほうがいいんじゃないかとか、全然口を挟むつもりもないし、一人一人のお考えだというふうに思うんですけれども、私自身はいまだ決めかねているという、どちらもありだなというふうに思っております。
手術までの日にちの中で、読んだ1冊の本に松井真知子さんという方が書かれた、『アメリカで乳がんと生きる』だったかなっていう、ご本があったんですけども。その本の表紙に片胸を切除されたアメリカの詩人、詩ですね、ポエムのほうですけど、詩人の方がその、乳がんの手術の傷跡に沿ってオリーブの枝を、入れ墨ですかね、アートメイク、タトゥーを入れてらして、それが胸のところの傷が見えないぐらい、木の枝が、オリーブの枝がこう描かれている裸の写真が表紙に写っていたんですけども、それは本当に両手を広げて空に向かって、とても自由な何かこう解放されている姿を写真見て、あー、何かちょっとすごいなあと思って、アマゾネスのように(笑)、という言葉を思い出しましたけども、昔そういうアマゾネスの人たちが弓を引くために、あえて邪魔になると言って、片胸を切り落としたというふうなことを聞いたことがあって、何かとてもパワーというか、エネルギーを感じて、松井真知子さんの本には、とても励まされておりましたね。

乳がんの語り

医師は薬の値段の説明をしないので会計の窓口で驚いた。タキソテール点滴後は車の運転ができないので、タクシー代もかかる

治療を受けながら、まあ副作用にも苦しむわけですけども、経済的にもですね、これは大変だというふうに思うことがありました。まあ手術や入院はね、多少のお金がかかることはもう分かっていたので、ああ、こんなものかなと思いながら、お会計しましたけれども、やはり抗がん剤が高額なのはびっくりしましたね。
高いとは聞いていたんですけども、そういうお話はお医者さまはあんまりなさらないんですね。「点滴が1本、幾らですよ」とは言わないで、「次がタキソテールですよ」っておっしゃるから、「はい」って言って、点滴を受けてお会計の窓口に行って、初めて、それが3万5,000円するとかっていうことに直面するわけなので。だからといって、じゃあ、それをしないかというと、うーん、まあそういうわけにもなかなか今回は私の中ではいかなかったですけれども。うーん、まあね、誰もが潤沢に、その経済的に余裕があるかというと、そうでない場合もありますし。特にタキソテールの場合は、アルコールでそのお薬を溶いているので車は運転しないようにというふうなお話でしたから、必ずその日、気持ち悪くない時間に帰れるんですけども、「車では来ないでください」というふうに言われましたから、往復タクシーなんですね。なので、そのお金ももちろんかかりますし、ああ、やはりがんの治療というのは、お金がかかるなあというのが本当に実感として、お金を払う段になって初めて思いました。

乳がんの語り

がんには温熱療法がいいと聞き、テルミーというお灸の施術を受けて、ストレス解消になった

がんには温熱療法がいいというふうにも聞いていて、それは、その夫の母からの勧めで、お灸なんですけれども、テルミーというお灸がありまして。それは、何かこう、金属の部品の中にもぐさのですね、お灸の棒、お線香の棒のようなものを入れて、そこに一度火を付けて消して、その煙をですね、体にこう、当てていく治療、温熱療法なんですけれども。その施術をしてくださる方が、たまたま調べたらば、同じマンションにお住まいの方がいらして、とてもそれは幸運だったんですけれども。ご自分のマンションの一室を治療院として使っていらして、私はですから、抗がん剤を投与された次の日に必ず、一番きつい日にですね、そこに予約して伺って治療していただいたんですね。
その方がおっしゃるには、治療して、温熱療法ですね、そのテルミーのお灸の、その煙をこう掛けていくとですね、悪い場所が赤くなるっていうんですね。「体の部分が反応して赤くなるんですよ、背中痛いですか?」っておっしゃって、「そうなんです。背中がすごく凝っているんです」って言うと、「真っ赤ですよ」っていうふうにおっしゃって。そして、手術をしたところの箇所も、こうずっと煙を当ててくださって、そうすると不思議なことに体の中がふわーっとこう、温まるというかですね。とても巡りが良くなっているような感じがですね、実感できて。そして、その方ともいろんなお話をしながら、そういうことも、また、一つの、何ていうんでしょうかね、ストレス解消というか。何かこう、お話しできる場があって、とても良かったなというふうに思っています。