監視的待機療法

「監視的待機療法」は「無治療経過観察]とも呼ばれ、早期の前立腺がんに対して、すぐに積極的な治療を始めないで、PSAの推移を見ながら治療が必要になるまで、治療を延期することを言います。悪性度が低く進行が遅い初期の前立腺がんでは、直ちに治療を始めなくても寿命に影響を与えないことから、排尿障害や勃起障害などのリスクを伴う治療を避けて、待機療法を選ぶことが可能です。

このインタビューに答えた人たちの中にも、外科的手術や放射線療法、ホルモン療法などと並ぶ選択肢の一つとして、待機療法を提案された人が複数いました。

治療について色々説明を受け、希望を聞かれたので放射線治療を希望したが、紹介先の大学病院では、経過観察で十分と言われ、ほっとした

がんはがんだと言われたが、医師が友達になって75歳まで辛抱して付き合っていきましょうと言ってくれたので嬉しかった

日本泌尿器科学会を中心とした前立腺がんの診療ガイドラインによると、グリーソンスコア*が6以下で、PSAが20ng/ml以下、臨床病期がT1~2の場合には、前立腺全摘除術や放射線外照射などの根治的治療を前提とした待機療法の対象になりうるとされています(但し、グリーソンスコアやPSAがこれより高くても、高齢で期待される余命があまり長くない場合は待機療法の対象になります)。待機療法中は3~6ヵ月ごとにPSA値を測り、値が2年以内に2倍になった場合には、その時点で積極的な治療を検討するという方針が採られています。
*グリーソンスコアについては診断のための検査をご覧ください。

自分のように悪性度が高い場合は別だが、前立腺がんは進行が遅いので、何もせずにPSAのフォローをするというのも正解だと思う

今回インタビューに協力した人の中で3人が、がんの診断を受けた時点で監視的待機療法を勧められてそれを選択していました。選択の理由については、手術や放射線など積極的な治療法を行った場合の副作用の懸念が挙げられていますが、診断時に既に70代に入っていた男性は、無治療でも平均寿命まで生きられるであろうという医師の言葉が、待機療法選択の決め手となったと話していました。

放射線やホルモン療法でも何らかの後遺症(や副作用)があると認識していたので、経過観察が何よりだと思った

しかし、診断時にまだ60代前半だった男性は、「他の人より10年早い」と思い、待機療法を選択肢の一つとして提案されながらも、骨転移をした知人の話から早いうちに手を打つほうがいいと考え、小線源療法を選んでいました。

何もしないで様子を見ることも考えたが、近所の人で見つけるのが遅れて骨転移した人に今のうちに何かした方がいいとアドバイスされた

待機療法を選択した3人のうちの1人は、2年ほど経ってPSAが上昇してきたため前立腺全摘除術を受けましたが、あとの2人はインタビュー時点で無治療経過観察を継続していました。

2年間ほど様子を見て、PSAが7~8ぐらいまで上がってきたので再度生検をして、手術を受けることにした

経過観察を続けている人たちは、定期的にPSA検査を受けて値の推移を監視しています。特に尿の出が悪くなるような場合は要注意、という説明を受けたという人もいました。

PSAの値が10になったときは尿の量がちょっと細くなったが、今はどこも不調がないので、検査は3ヶ月に1回がちょうどいい

尿の途切れ、夜間の頻尿などは要注意というアドバイスをもらっているが、自分としてはこのままお墓に行くまで引きずっていくと思う

治療法の選択・意思決定もご覧ください。

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