監視的待機(注意深く状態を観察しながら治療をせずに様子を見ること)

前立腺がんの中にはとても成長がゆっくりで、患者に殆ど何の問題も与えないタイプのものがあります。これは特に高齢の男性に言えることで、これらの人びとの多くはがんが何らかの問題を引き起こす前に、別の原因で死んでしまうのです。前立腺がんのために行われる様々な治療が必ずしも効果があるかどうかわからないことを考えると、積極的な治療をせずに定期的に検査を行うだけの監視的待機も、一部の男性にとっては最良の選択なのかも知れません。男性が監視的待機を選んだ場合も、症状が出てきたり、がんの成長が認められたりした場合には、積極的治療に切り替えることも可能です。

しかし、中には、監視的待機という選択は、自分にはとても受けとめきれないと思う人もいます。また、監視的待機が、前立腺がんの患者においては真剣に検討すべき選択肢の一つであるということを知らなかった人もいます。おそらくこれは、早期に積極的な治療をしてもそれが最大の効果をもたらすわけではないということが、なかなか信じがたいことだからでしょう。ある男性の主治医は、アフリカ系男性には監視的待機はあまり勧められないと言ったそうです。

監視的待機を選ぼうとする人は、患者に良かれと思って積極的治療を勧める家族や、サポートグループや医師達からかなりの反発を受けることになるので、自分の考えを貫き通すにはかなり強い意志が必要だと語っています。

監視的待機を選んだ人たちにとって決め手となったのは、積極的治療の効果が不確かだと知ったこと、また、失禁とかインポテンス(勃起障害)(注釈2)といった、治療によくある副作用を避けたいと思ったことでした(Talking about 副作用編を参照)。また、毎日放射線治療を受けることによる煩わしさを、監視的待機を選んだ理由の一つに挙げた人もいました。監視的待機を選んだ人たちは、セカンド・オピニオン(別の専門家の診立て)を聞きに行ったり、親戚の医師と話をしたり、治療法の選択肢を紹介するアメリカ製のビデオを見るなどしていました。