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英国人の喪失体験の語り

ティムの死後、ピーターは毎日その日一日だけを考えて生きるのが精一杯だった。ティムが素敵な友人だったこと、そしてティムの人生は比較的短かったが、沢山のことを成し遂げ、幸運だ

あなたが経験したような悲しみの中に今いる人達に、何かメッセージはありますか?

時がたつと悲しみも和らぎます。今は、日常生活を送れるようになりました。最初のころは、一日一日を生きていくだけで精一杯でした。一日、一週間、2週間、一月、3ヶ月、6ヶ月、一年がたって、もちろん失ってしまったものは大きいのですが、今を生きなければいけない、誰かが言っていたのですが、前を向かなくてはいけないと。もちろん実際簡単なことではありません。 でも長いトンネルの先にも明かりがみえるんです。とても大事な人を亡くした事実を変えることはできない、でも現実に向かい合って一日一日少しづつ前進しなければいけないんです。誰でもほかにやらなければいけないことはある。それをきちんとこなしていかなければならない。今でもティムのことを思い出して彼のために祈りをささげます。彼は素晴らしい若者でしたし、私たちにとっては大事な自慢の息子でしたが、もうこの世にはいません。でも幸いなことに、彼は私たちのために、その人生の中で、とても多くのことをなしとげてくれました。多くのことをやり遂げ、沢山のものを見て、外国に行き、休暇を楽しみ、すばらしいミュージシャンで、スポーツもできて、夜遊びも楽しんで、よく明け方の三時ころまで夜更かしして、まるで蝋燭の火を両端から燃やすみたいに、猛烈に人生を楽しんでいました。だから、個人的には彼を失ったけれども、彼がここでどんな時間をすごし、楽しみ、充分に生きたかを知り、沢山の思い出を残してくれたのですから、考え得る最良の方法で彼を失ったのです。

英国人の喪失体験の語り

間もなく3年もたつかという頃、スティーヴンの苦痛は何とか耐えられる程に軽減し、ある種の正常さを再び生活に見出した。

あなたと同じように家族を亡くした人がいたとしたら、あなたはどんなメッセージを送りますか?

そうですね、多分だれでも言うことでしょうが、“時間が救ってくれる”ということでしょうか。時が癒してくれるという意味ではないのです。忘れることはできないけれども、・・でも、時間が過ぎて行けば、すこしは耐えられるようになり、再び、ある種の通常の生活を送ることが始められるだろうということですね。
どんなことなのかは分かります。(家族を亡くした)貴方はただベッドに横たわっている、愛していた人のことだけが頭の中を駆けめぐっており、起きあがりたくもないし、眠る気にもならない、食べる意欲も飲む気も起こらない、まるで人生が終わってしまったように感じる。でも、私に言えることは、もう少しそのまま待っていて欲しい、必ず良くなることを保証するからとい言いますね。

英国人の喪失体験の語り

ドロシーの息子は業務上の事故で亡くなった。ドロシーは、自分と同じような場合、家族には良い弁護士と支援が必要であり、公正な裁定を得ることが必ずしも容易でない場合があると語っ

あなたの様に、労働災害でご家族を亡くされたご遺族の方々に何かメッセージはありますか?

はい、こう言いたいですね。警察とか、衛生安全委員会、それに公訴官など、そういった公的部門の人たちがあなた達の味方だとか、あなた達に有利なように働きかけてくれるだろうなんて思わないことですね。自分の周りにいる味方、優れた弁護士とか、労災の場合なら企業説明責任問題に関するセンターとか、そういう立場の人たちと共に強くならなければいけません。そして、私のように息子や娘を失った時など、コンパッショネイト・フレンズというチャットサイトがとても役に立ちます。それから、闘わなければいけません。公正を求めて闘いに闘い抜かなければ、正義はそう簡単には勝ち取ることができませんから。

英国人の喪失体験の語り

シンシアの娘は交通事故で亡くなった。外傷死で家族を失った遺族は、質問をしたり、情報を要求したり、アドバイスを必要とすることもあり得ると、彼女は語っている。

同じような境遇の人々に何かメッセージは?

自分が信じていることを主張し戦いぬく備えをすることかしら。みんながその事故に関連する仕事をあなたのことを一番に考えてすると思ってはだめ。そうじゃないことが多いいものよ。そうなれば質問して、情報を要求して、手続きに関する情報を尋ね、そのような状況下で自分にはどんな権利があるか聞く必要があるのよ。だからそれができる心構えが大切ね。こわがらなくても大丈夫、情報を捜して、他の助言や意見をたずね、必要なものを集めて、そして自分が信じていることを主張し戦う。残念ながらそうしなければならないことがあるのが現実なのよ。

英国人の喪失体験の語り

ウイリアムは親しい人に先立たれた後、大事なことは自分だけで悲しみにふけらないようにすることであり、家族はみんな自分自身の心の痛みに向き合って行かなければならないのだから、

(同じように)親しい人に先立たれた人たちへ送るメッセージはありますか?

そうですね、一つあるとすれば、いろいろな人がいますから、そんな時、心から親切にしてくれる人もいれば、これでも人間かと思うような言動にでる人もいると言うことをわかっていてほしいということでしょうか。3年前に比べれば私も冷静になっていると思いますから、気の利かない人たちから”あれから2週間たったのですから、少しは落ち着いたでしょう。” なんて馬鹿げたことを言われても、この人たちは悪気があって言っているのではなく、ただ、(言われた側がどんな思いをするか)理解していないだけなのだと思えるようになりました。それから、これはどの人にも当てはまる訳ではないのですが、結局、同じように親族と死別した人たちと話をすることは、自分一人だけがこんな思いをしているのではないと言うことを知る上で、大変重要だったと思います。そして、2、3年前に自分と同じような経験をした人と話をすることによって、自分が今立ち向かっているものとは別の、今は予想できないけれども、これから先に自分が直面するだろうと思われる状況を知ることができるんです。怒りの感情、罪の意識、生きている意味が無くなってしまったような無力感、自分が生き地獄にいるような、悪夢の中で余生を送らなければならないような気持ちなどです。ですが、自分の周りには他にも愛する人たちが居ること、その人たちのことも考えなければならないと言うことに気がつくのです。どうして自分がこんな思いをしなければならないのかと哀れに思ってばかりいることのないように気をつけなければいけないと思います。ここで自分を取戻し、”自分のことを必要としている人がいるんだから、立ち上がって前へ進むんだ。”と自分で自分を励ますんですよ。
親しい者との死別については、本で読んだのを覚えています。夫、妻 それに二人の子供の居た家族が、子供を一人事故で失った後、残された家族はそれぞれが、大海原の荒波に浮かぶ小船に乗っているように感じるんです。そしてその波は決して止まないように思える。残念なのは残された3人が同じ一艘の船に乗っていたのではなく、それぞれ別々の船に乗っていたものですから、自分の困難を乗り越えるのに精一杯で、他の家族を助けることができないでいたということです。愛する家族が、それぞれの船に乗っていて、それぞれの苦痛に立ち向かっているときには、その状況をできるだけ早いうちに把握して、お互いを必要としていると気づくことが本当に大切だと私は思います。たとえ自分の家族の中だけの小さなサポートだとしても、自分がパートナーや兄弟や残された子供が立ちあがれるように支えてあげる松葉杖になれるんです。そして自分が立ち上がらなければならない時には家族が松葉杖になってくれるんです。
最悪の状況は、一人で部屋にこもり、自分の一番大切な人たちとのつながりまでもすっかり絶ってしまうことでしょうね。

英国人の喪失体験の語り

パットは、泣くことが人には必要なのであり、そうすることによって感情を解き放つことができるのだと指摘している。最初は泣けなかったが、最近は毎日泣いている。

みんなに言いたいですね、だって、同じような状況に置かれた多くの人々が、まず初めは親から、そして周囲の人々や善意の友人から、「泣かないで、泣かないで、泣いちゃ駄目」と教えられてきたのですから。
「どうぞ、泣かないで」というメッセージをもらっても、それでも泣く必要がある。それは自然の要求なのですから。私たちには泣くことが必要なんです。それは私たちの嘆きや悲しみや悲哀の表現なんですから。泣きたいだけ泣くなんてことはこれまで一度もなかったことですが、今年は猛烈になきました。毎日泣いていました。嘆きや
そして、泣くことで解放されることを学んだのです。それから、以前にはなかったことですが、自分自身や自分の感情を尊重することについても沢山学びました。ですから、私は息子の死を通じて多くのことを知ったのです。これらのことについては感謝すべきであり、また感謝に努めたいと思うのです。多分、これこそが感謝することなのでしょうね。

英国人の喪失体験の語り

パットはマシューを亡くした後しばらくはショックで涙を流すことさえできなかったが、それは外傷死後にみられる典型的な反応であることをのちに知った。パットは経験豊かなカウンセラ

だから、理解できない人たちに言いたいのです、私自身、息子が亡くなってから何ヶ月もの間、お葬式やその他さまざまなことがあったけど、その間ずっと涙がでないこと、まるでふつうの人のようにふつうに振る舞っていた自分が理解できませんでしたから・・・。「自分には心がないのだろうか?」そう思い始めたのです、でもそうでないことは自分でも分かっていました、違うのです、ショックなんです。ショックが私たちを固いケースの中に閉じこめてしまうのです。多分それには理由があって、少しずつショックは捕捉を緩め、私たちは現実を、実際に何が起こったかを、本当に体験しはじめるのです。つまり、それは正常な反応なのだと思います。でも、自分がどうなったのだろうと訝しく感じている人たちには、安心させてあげたいと思います・・・。

そんな状況にある人々に、何かメッセージはありますか?

熟達したカウンセラーに会うことを勧めますね、ほんとに。誰か経験の豊かな相談相手と話すこと。事情のよく分かった証言、カウンセリングですね。それはとても大事なことです。

英国人の喪失体験の語り

マイケルは、自分の中で泣いてもよいと受け入れた事で楽になった経験から、他人にも感情をさらけ出すべきだと勧めています。

貴方と同じようなひどい形で大切な方を亡くされた方が他にいらしたら、何か伝えたいメッセージがありますか?

前にも言ったように、私のメッセージは、あなたの感情を表に出しなさい、お話をなさいということでしょうね。私がルイスの話をしないことで、家内は悩んだと思います。私は、それをいつも押し隠していたのです。家内は私に「何故ルイスのことを話さないの?」と何回か非難しました。話すことがとても、とても難しかったのです。というのも、自分の泣いているところを家内に見せたくなかったのです。だって私は彼女を支えなければならないのですから。もし私が泣けば、彼女を落ち込ませることになると思ったからです。だから、誰に対してもこういいたいですね、自分の気持ちを表に出しなさいと。どんなに長く泣いたとしても、その後は実際、楽になるからです。

英国人の喪失体験の語り

母親を火災で亡くし、今、カレンはこう語る。死に関しては、誰もが人それぞれ異なる受けとめ方をするもの。どれが間違っているわけでもなく、どれが正しいわけでもない。

このように心に大きな傷を残した形で大切な方を亡くされた方々に対して、何かメッセージはありますか?

特には何も。みんなそれぞれ自分なりの受け止め方をしますからね。
その人その人で受け止め方が違う、どれが正しいとか悪いとかは言えないわ。怒る人もいれば、そうでない人も。どれが間違っているわけでもなく、またどれが合っているわけでもないわ。

腹が立ったり、怒りが込み上げてきたりしたときはありますか?

母の家を管理する自治体から修繕費用の請求書がどんどん送られてきたときは、腹が立ったわね。

そうでしたか。

ええ、たくさんの請求書がね。母宛の郵便物は私のところに届くように手配しなくてはならなかったからなんだけど。
郵便局はその手続きの費用を私に請求してきたのよ。「冗談じゃないわよ」って少し揉めたけどね。でも最終的には郵便物は私のところに転送されるようになったわ。そう、だからね、これが正しいとか、これは間違っているとかないのよ。専門家に言いたいことは、そんな状況におかれた人は思わず切れてしまうこともあるってこと。イライラが溜まって普通ではしないようなことをしてしまうこともあるかもしれないわ。

英国人の喪失体験の語り

マーティンは妻のステフと過ごすクリスマスが大好きだったが、今はお祝いする気分になれない。去年のボクシング・デー(12月26日;キリスト教の休日) には、スペインへ娘を連れて行き

特に、クリスマスが一番大変ですか?

はい。

それは、ステフが恋しいからですか?

一人でクリスマスを過ごすのは今年で3度目なんですけれど、年が経つにつれて慣れていくというものでもないですね。クリスマスの楽しみはもうありません・・・。以前は1年のうちで特別な日でした。ステフと過ごすクリスマスは大好きだったんです。

親せきの方々とは時々会ったりしますか?

私の方に姉妹が2人いるだけですね。去年は会いませんでした。4日間、娘を連れてスペインに行っていたから。ボクシング・デーの夜もスペインでした。私のわがままだというのは判っていますが、家にいることに耐えられなかったのです。

でかけたことは良かったですか?

はい。すごく楽しい時間を過ごすことができましたね。それと同時にすごく考えさせられる夜でしたね。「俺は今、何をしているんだろう?っていう感じのことですよね。ボクシングデーの夜に飛行機でスペインに行くことなど、本当はしてはいけなかったんですけど、やって良かったと思っています。でも、今年のクリスマスも、まったく待ち遠しくはありません。ステフなしのクリスマスは最初の年と変わらず、今年も辛いものになるでしょう。

お気持ちはお察しします。

娘がクリスマスプレゼントを開ける姿を1人で見ていると、ここにステフがいてくれたらどんなに良いだろう、とそんな思いになるのです。とても辛いです。