
インタビュー時:年齢非公開(2022年1月)
関係:父
医療的ケアのある子:長男6歳
妻と長女(10歳)、長男の4人家族。
長男は生後直後から、哺乳力が弱く経鼻栄養を開始した。
現在は少し口から食べることも可能だが、一日2回の経管栄養が必要である。
妻は外勤で、自分はIT系で在宅中心の仕事のため、家事・育児、子どもの入院付き添いなどは自分が担うことが多い。
突然の息子の入院で自分の生活は何一つ自由にならなかった経験も数度ある。
その中で、ITで子どもの気持ちを理解し、家族がもっと楽にケアできる環境づくりができないかを考えるようになった。
語りの内容
僕まだ元気なんで、今のうちにうちの子が自立していける未来社会をつくりたいと思ってるんです。
それは2つのアプローチを考えてて、1つは今のテクノロジーでカバーしたい。
それはAIもロボットもそうだし、そのバイタルセンシングの問題だったりとか、遠隔医療の問題だったりとか、いろんなできることは、僕でできることはあるだろうと思ってやってます。
医療のことも勉強しながら、在宅ケアをしてる側で、在宅環境において、いかに、どんな人でも、健康管理や環境管理ができるような仕組みをしたいなってのはまず1個。
もう一つはやっぱり社会制度の問題で、システムやテクノロジーがあっても、やっぱり人間が見るコミュニティや地域のあり方っていうの変えていかないと、当然うまくいかないですよね。
それは地方行政と仕事してるもう一個の理由は、お年寄りとか在宅医療ケア児を抱えてる家族たちの状況を、まず理解してもらった上に、僕はテクノロジーで仕組みを変えてくけど、制度も変わらないと。
例えば遠隔ではできないって言われちゃうの。
今、僕が作ったセンサーなんか当然、薬機法(注1)とかっつって、僕のような素人のお父さんが作ったセンサーなんかは、当然、製品化はできないのね、今はね。
だけど、在宅ではもう待ったなしなんで、僕はプロトタイピング(試作品)って、中国からセンサー取り寄せて、ものすごくローコストで作ってるんです。
そうしないとお父さんお母さんに、このセンサー使いたい人がいたら100万くださいってわけにいかないから。
やっぱり在宅ケアの世界の中で、そういったことを支援できるような仕組みをつくりたいなーと。それがビッグデータ的に蓄積されたときに、いろんな人の情報がまた役に立つような仕組みにしたい。
注1)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律
インタビュー35体験談一覧
- 地域の学校に行かせるか意向を聞かれたが、受け入れに前向きではない普通学校より特別支援学校のほうがいいと思った (テキストのみ )
- 通学手段や準備について親切な地域支援員が教えてくれたが、基本的に情報がなく、行政の中での連携不足を感じる(テキストのみ)
- 入院時に親は付き添うのが当然のように言われる。仕事の都合はそっちのけで、不自由な生活を強いられることに驚いた(テキストのみ)
- 療育センターを見学し、たくさんのアクティビティと同時に細かなケアに対応するスタッフの姿勢に感激した(テキストのみ)
- 療育センターの見学で、反応がないように見える子に、歌を歌おう、絵を描こうと明るく接するスタッフに衝撃を受けた(テキストのみ)
- 子どもの笑顔を見たくて笑わせる方法を考えてしまう。上の子と先に弟を笑わせたら勝ちという勝負をするのも楽しい日常だ (テキストのみ)
- テクノロジーで誰もが在宅ケアの管理ができる体制を整えたい。そのためには社会制度も変えていかないといけない(テキストのみ)
- 温度、湿度、気圧、子どもの動きをモニタリングして室内をよい環境を保つことができるようデータを蓄積している(テキストのみ)
- 家族で気軽に外出したいとキャンピングカーを購入した。移動や宿泊の手間がなく、災害時対応としても手ごたえを感じる (テキストのみ)