
インタビュー時:年齢非公開(2022年1月)
関係:父
医療的ケアのある子:長男6歳
妻と長女(10歳)、長男の4人家族。
長男は生後直後から、哺乳力が弱く経鼻栄養を開始した。
現在は少し口から食べることも可能だが、一日2回の経管栄養が必要である。
妻は外勤で、自分はIT系で在宅中心の仕事のため、家事・育児、子どもの入院付き添いなどは自分が担うことが多い。
突然の息子の入院で自分の生活は何一つ自由にならなかった経験も数度ある。
その中で、ITで子どもの気持ちを理解し、家族がもっと楽にケアできる環境づくりができないかを考えるようになった。
語りの内容
かわいらしさのもう一個の理由にね、笑ってくれるんですよ。
だから、コミュニケーションの一番のキーは喜怒哀楽なんですよね。
で、何よりもその笑いがめちゃくちゃ癒やされるんですよね。
踊りだしたり、風船プーって膨らましたり、僕が部屋から出て部屋に帰るときに、ドアからこうやってやる(ドアの影から見つめる)と笑ってくれんですよ、こっち見て。
わざと、じーって。「見てるよ、じー」とかやると、こっちちらっと見てにやって。
結構ツンデレなんで、「ああ、笑ってくれたー」って行くとツンとするんですよね。
なんで、そこがかわいいんですよね。思うとおりにならないんだけど。
でも、一定のパターンを、笑わせる術みたいなことに命賭けてます。
おもちゃとかありとあらゆるの買ってくんですよね。もう何がいいか。
音が出るのがいいのかとか、うちの子どもが喜ぶおもちゃが1個あるんですよ。
この6年間で3代目で、こないだ誕生日で4つ目買ったおもちゃがあって。
子どもの頃にね、赤ちゃんの頃、寝たきりのときにね、メリーってあるじゃないですか。
台座みたいな台が付いてるメリーね。で、上に3つぐらいおもちゃが付いてるやつあるよね。
あれが大好きで、うちの子はあれを持ってブーンって投げるんですよ。
で、ガシャーンって、フローリングの音だとガシャーンってするのが好きで、もうボキボキ折れるんですよね、プラスチック部分が(笑)。
だからおもちゃが好きじゃなくてね、その投げる行為が好きで。
それが一番今でも好きなんで、ほんとに例えば注入我慢して終わって、ピピピピって終わって、点滴抜いてキュってやると、チラってこう、おもちゃのほう見るんですよね。
そうすっと、「これだよねー」っつって、「これ欲しいんだよね」って、ゆっくり、「これかな、これかな」ったら、もうくーってなるんですよね。
もう、やったーみたいな。
注入も終わったし、おもちゃが来るーみたいな、もう全身できーってなんのね。
もうほんとにもう、心全体が喜んでて、このおもちゃが欲しかったんだーみたいな。
でもこう、ブインブインブインブインってやって投げて、で、拾って投げて、もうこっからはこっちめんどくさいんですけど、投げたら拾って、投げては拾ってとやってんだけど。
ほんと何が好きなのかをほんと分からないんですよ、やっぱこういう子はね。
ただ、一定のパターンで、この子が好きな物を見つける喜びみたいなのがあって、それはお姉ちゃんも一緒なんですよねえ。
お姉ちゃんもパパとよく競争すんですよね。
先に笑わしたほうがテレビ見る権利みたいなことやって、じゃあ「お姉ちゃんどうぞ」とかって順番に。
で、かくし芸みたいにパッて一瞬やって、笑わなかったら次みたいのをやって、笑かせるみたいなので勝負したりするんだけど。
で、それもなんか、ま、独特なの。
インタビュー35体験談一覧
- 地域の学校に行かせるか意向を聞かれたが、受け入れに前向きではない普通学校より特別支援学校のほうがいいと思った (テキストのみ )
- 通学手段や準備について親切な地域支援員が教えてくれたが、基本的に情報がなく、行政の中での連携不足を感じる(テキストのみ)
- 入院時に親は付き添うのが当然のように言われる。仕事の都合はそっちのけで、不自由な生活を強いられることに驚いた(テキストのみ)
- 療育センターを見学し、たくさんのアクティビティと同時に細かなケアに対応するスタッフの姿勢に感激した(テキストのみ)
- 療育センターの見学で、反応がないように見える子に、歌を歌おう、絵を描こうと明るく接するスタッフに衝撃を受けた(テキストのみ)
- 子どもの笑顔を見たくて笑わせる方法を考えてしまう。上の子と先に弟を笑わせたら勝ちという勝負をするのも楽しい日常だ (テキストのみ)
- テクノロジーで誰もが在宅ケアの管理ができる体制を整えたい。そのためには社会制度も変えていかないといけない(テキストのみ)
- 温度、湿度、気圧、子どもの動きをモニタリングして室内をよい環境を保つことができるようデータを蓄積している(テキストのみ)
- 家族で気軽に外出したいとキャンピングカーを購入した。移動や宿泊の手間がなく、災害時対応としても手ごたえを感じる (テキストのみ)