
インタビュー時:年齢非公開(2022年1月)
関係:父
医療的ケアのある子:長男6歳
妻と長女(10歳)、長男の4人家族。
長男は生後直後から、哺乳力が弱く経鼻栄養を開始した。
現在は少し口から食べることも可能だが、一日2回の経管栄養が必要である。
妻は外勤で、自分はIT系で在宅中心の仕事のため、家事・育児、子どもの入院付き添いなどは自分が担うことが多い。
突然の息子の入院で自分の生活は何一つ自由にならなかった経験も数度ある。
その中で、ITで子どもの気持ちを理解し、家族がもっと楽にケアできる環境づくりができないかを考えるようになった。
語りの内容
向こうも聞き取りに来るんですよね。子どもの状態、見に来んですよね。
まあ、養護学校に入れられるかどうかを判断するんですよ、向こうも。
それが11月とかなんですよね。結構ギリギリになんないと、養護学校入れるかどうかすら分かんない。
で、大体は大丈夫ですよって言うんですよ。
だけど制度上、一応、この子は大丈夫とか、この子は地域の学校行くみたいなプロセスを経なきゃいけないんで、なんだそりゃあって。
就学が決まらないお母さんたちは、決まってるはずなのに別に何も通知来ないみたいなことを、2月ぐらいまでわーわー言って。
基本的にあるタイミングで、地域に行くか行かないかは聞かれる。それはね、僕、養護学校の見学会に2年前ぐらいに行っちゃったんですよ。
で、行ったときに、その養護学校の校長先生に、「パパのお子さんは地域、考えてないんですか」って言われたんですね。
で、「地域、何ですか」って。僕まだ地域って言葉の意味が分かんなかった。
つまり地域の小学校に行かないんですかっていうことですよね。
え、そんなチョイスありますか、みたいなもんで、僕も。
「うちの子、地域の小学校行けるんですか」って、ぶっちゃけ聞いちゃったんですよ。
したら、「やあ、でも実はねえ」って。
「医療的ケアの場合は看護師さんがいないとね」っていう。
「特別支援級じゃ無理かもねー」みたいなこと言うんですよ。
や、無理かもねーって言うんじゃなくて、無理なんだったら無理って言ってもらったら、僕、別に養護学校でいいと思ってんですっていう発想だけど。でも現実、無理だってこと。
ちょっと突っ込んで聞くと、「なかなか看護師さんも集まらないから、学校も苦戦してるんです」と。
「そういう子の受け入れに、あんまり前向きじゃないんです」って言ったんですよね。
俺もそんときに、そういうもんなんだなーと思って。要は、学校の前向きさとかと関係してるんだってことが分かった。つまり制度的に入れられるの、入れられないじゃなくて、積極的に入れたいか入れたくないかったときに、実はあんまり入れたくないみたいな空気を感じました。
ま、いいと。やっぱなかなか大変だしな、うちの子なんか、まずね、支援級にしても、普通の学校行くのはちょっと難しいなと思ってたから。自分でも動けないしね。車椅子も動かせないし。そうすっと、残るはお父さんが学校に来て、ずーっと付き添ってくださいって言われるの。そんなん無理でしょって話だよね。
そっか、地域っていう選択肢もあるんだなーと思って、一応、地域を検索したり調べたけど、うちの地域では事例がまずなかったのと、まあまあ、そこまでして権利獲得してっていう、普通の学校に入れたいっていう思いは僕はたまたまなかった。
むしろ、僕は風邪引かせないとか、こういう子どもたち独特のノウハウがいっぱいあるんで、慣れた人たちのとこに行きたいんで、それは養護学校が全然慣れてるだろうと。
インタビュー35体験談一覧
- 地域の学校に行かせるか意向を聞かれたが、受け入れに前向きではない普通学校より特別支援学校のほうがいいと思った (テキストのみ )
- 通学手段や準備について親切な地域支援員が教えてくれたが、基本的に情報がなく、行政の中での連携不足を感じる(テキストのみ)
- 入院時に親は付き添うのが当然のように言われる。仕事の都合はそっちのけで、不自由な生活を強いられることに驚いた(テキストのみ)
- 療育センターを見学し、たくさんのアクティビティと同時に細かなケアに対応するスタッフの姿勢に感激した(テキストのみ)
- 療育センターの見学で、反応がないように見える子に、歌を歌おう、絵を描こうと明るく接するスタッフに衝撃を受けた(テキストのみ)
- 子どもの笑顔を見たくて笑わせる方法を考えてしまう。上の子と先に弟を笑わせたら勝ちという勝負をするのも楽しい日常だ (テキストのみ)
- テクノロジーで誰もが在宅ケアの管理ができる体制を整えたい。そのためには社会制度も変えていかないといけない(テキストのみ)
- 温度、湿度、気圧、子どもの動きをモニタリングして室内をよい環境を保つことができるようデータを蓄積している(テキストのみ)
- 家族で気軽に外出したいとキャンピングカーを購入した。移動や宿泊の手間がなく、災害時対応としても手ごたえを感じる (テキストのみ)