
インタビュー時:年齢非公開(2022年1月)
関係:父
医療的ケアのある子:長男6歳
妻と長女(10歳)、長男の4人家族。
長男は生後直後から、哺乳力が弱く経鼻栄養を開始した。
現在は少し口から食べることも可能だが、一日2回の経管栄養が必要である。
妻は外勤で、自分はIT系で在宅中心の仕事のため、家事・育児、子どもの入院付き添いなどは自分が担うことが多い。
突然の息子の入院で自分の生活は何一つ自由にならなかった経験も数度ある。
その中で、ITで子どもの気持ちを理解し、家族がもっと楽にケアできる環境づくりができないかを考えるようになった。
語りの内容
初日まずお父さんがね、朝から通園日に中にいてくださいっていう日があるんですよ。
要は施設を体験してくださいと。
で、どんな人だろう。正直、僕も偏見があったんで、福祉に携わってる人ってどんな人なんだろうみたいな。
偽善かなーぐらいの気持ちもあるんですよね。ほんとに失礼な話だけどね。
大学病院の看護師さんとか、まだいいですよ。
特にこういう病院、福祉系の病院の人たちって、相模原の事件とかもあったからなんだけど、なんかね、ほんとに信用していいのかなっていう気持ちもちょっとだけあるんですよね。
だから、どう思ってんだろう。仕事として割り切ってんじゃないかしら、みたいな気持ちもあるじゃないですか。
だからとりあえず、その日1日朝から晩まで。
初めて、保育園、そういう施設の保育園に行って、そういう子たちに10人か20人ぐらいいる。朝から晩まで子どもと一緒にいて。
で、スタッフのことよーく見てたら、まず1つはびっくりしたんですよ。
みんなねえ、すごい一生懸命で、明るいんですよね。予想とちょっと違ったの。
何よりもびっくりしたのは、みんな反応しないわけですよ、この重心(重症心身障害)の子って。だけど、普通に接するんですよ。
「はい、これから絵を描きます」って…「や、無理だから」って。「絵なんて描いたことないし、描けないから」って思うじゃないですか。
「はい、絵描きましょう。歌、歌いましょう」って…「いや、歌なんて歌ったことないから」って。
全部、心で突っ込み入れながら、彼女たちが、真顔でそれをやってるのを見て衝撃を受けたんです。
僕のほうが諦めてんですよ、いろんなことをね。
うちの子はできないから、そういう楽しみないしとかって思って。
普通に、え、うそでしょって思うのよ。なんで? 仕事だから? ぐらいの、まだね、疑ってるんですよね。
そうやって、朝から晩までいろんなアクティビティがあるんですよ。
インタビュー35体験談一覧
- 地域の学校に行かせるか意向を聞かれたが、受け入れに前向きではない普通学校より特別支援学校のほうがいいと思った (テキストのみ )
- 通学手段や準備について親切な地域支援員が教えてくれたが、基本的に情報がなく、行政の中での連携不足を感じる(テキストのみ)
- 入院時に親は付き添うのが当然のように言われる。仕事の都合はそっちのけで、不自由な生活を強いられることに驚いた(テキストのみ)
- 療育センターを見学し、たくさんのアクティビティと同時に細かなケアに対応するスタッフの姿勢に感激した(テキストのみ)
- 療育センターの見学で、反応がないように見える子に、歌を歌おう、絵を描こうと明るく接するスタッフに衝撃を受けた(テキストのみ)
- 子どもの笑顔を見たくて笑わせる方法を考えてしまう。上の子と先に弟を笑わせたら勝ちという勝負をするのも楽しい日常だ (テキストのみ)
- テクノロジーで誰もが在宅ケアの管理ができる体制を整えたい。そのためには社会制度も変えていかないといけない(テキストのみ)
- 温度、湿度、気圧、子どもの動きをモニタリングして室内をよい環境を保つことができるようデータを蓄積している(テキストのみ)
- 家族で気軽に外出したいとキャンピングカーを購入した。移動や宿泊の手間がなく、災害時対応としても手ごたえを感じる (テキストのみ)