医療的ケア児の家族の語り

プロジェクトメンバー

小林京子、西垣佳織、福冨理佳、賀数勝太(聖路加国際大学)
畑中綾子(尚美学園大学・准教授)
本郷朋博(ウィングス医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会)
光原ゆき、渡邉千鶴(NPO法人キープ・ママ・スマイリング)
射場典子、澤田明子、佐藤(佐久間)りか(ディペックス・ジャパン)ほか

医療的ケア児の家族の語りプロジェクトについて

このプロジェクトは、NPO法人キープ・ママ・スマイリングと任意団体ウィングス医療的ケア児などのがんばる子どもと家族を支える会という2つの当事者団体の代表と理事が、病児の親の語りのデータベースを作りたいとディペックス・ジャパンの門をたたいたことから、はじまりました。現在、聖路加国際大学小児看護学のメンバーをはじめ、賛同したさまざまな立場の人が加わり、データベース作りに取り組んでいます。

医療的ケア児というのは、日常生活を送る中で、人工呼吸や呼吸を楽にするためのたん吸引、チューブから栄養をとる経管栄養などの医療的ケアを必要とする子どもたちです。医療の進歩により、このような子どもたちは現在、全国に約1万8千人います。この10年で2倍に増えています。在宅での生活はもちろん学校や就業先でも親の付き添いを必要とする場面が多く、医療的ケアを専門的に行える訪問看護師は全国で不足している現状があります。また、子どもの病状によっては自宅以外での子どもの預け先がない家庭も多く、家族(主には母親) の負担感、自身の加齢や社会的つながりの希薄さからくる不安と孤独、介護と家事の両立による肉体的疲労など、主たるケアの担い手となる親は先の見えない状況下で孤軍奮闘せざるを得ない状況におかれています。

このプロジェクトではこのような家族を支援することを目的に、家族の経験や悩み、アイディアを動画による「語り」のデータベースとして記録し、一般公開することを計画しました。データベースを通じて、同じ境遇にある家族間での情報共有、コミュニケーションが促進されると共に、地域社会にも医療的ケア児と家族を理解する機会を提供し、自治体関係者の政策決定や技術開発にも情報を提供し貢献することを目的としています。

※2019年度前期在宅医療助成勇美財団研究助成(期間:2019年8月1日~2020年8月31日、代表者:聖路加国際大学・助教 福冨理佳)、トヨタ財団研究助成(期間:2020年4月~2022年3月、代表者:尚美学園大学・准教授 畑中綾子)を受けて実施しています。

プロジェクトの進捗状況 2022年10月現在

2022年5月時点で、医療的ケア児を育てる当事者の方40名のインタビューにご協力をいただきました。就学先の選択、スクールバスや付き添いの問題、親の就労継続、きょうだい児の子育てなど多くのお話をお聞かせくださいました。
忙しいケアと日常の合間を縫ってご協力くださいました皆様、ありがとうございました。

これよりデータベース公開にむけてメンバー一丸となって分析や編集を行い、できるだけ早い公開を目指しております。引き続き、ご支援・ご協力をよろしくお願いします。

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