大腸がん検診の語り

インタビュー32:プロフィール

三村さん(仮名)は若い頃からスポーツが得意で、特に水泳やスキー、登山などを趣味としてきた。現役時代、年に一度の健康診断に検便も入っていたので、継続して受けていた。45歳になったころ、会社から大腸内視鏡検査を勧奨された。強制ではなかったが、自己負担が3000円ほどと軽かったので受けることにした。それまで、便潜血検査で陽性だったことはなかった。結果はポリープが二つ発見され、後日切除した。自分でも初めて大腸の中を見て、確かにポリープを確認できたし、実際に腸の中を見たのは良い経験だったと思う。偶数年の勧奨なので、2年後に再び受診したが、何も発見されなかった。それ以降も便潜血検査で陽性になったことはない。数年前に様子を見るために3度目の内視鏡検査は受けてみたが、前回と同じようにポリープは発見されなかった。検査の痛みもあまり感じなかった。
がん検診はできるだけ受けるようにしているが、周囲には受けるのを嫌がる人もいる。億劫だと感じる人もいるし、逆に病気が見つかるのが怖いという人もいると思う。集団検診にしても、周りの人と一緒で行きやすくなる人もいるが、他人に受けたことを知られたくない人もいるので、どういったやり方が良いのは一概には言えないだろう。ただ、行政は一度だけでなく、二度目の案内を出せば、受ける方もその気になるかもしれない。
自分自身は、もともと健康第一で生活してきたわけではない。現役時代は営業部門だったこともあり、接待などで不規則な生活を送ってきた。しかし、42歳の頃急性肝炎になりその時は目も見えなくなり、怖い思いをした。その後一度お酒を飲んだが、また具合が悪くなったので、以降一滴もお酒は飲んでいない。大勢で楽しむのは好きだが、お酒を飲まなくても楽しく過ごせるようになった。
年を取ったらがんになりやすくなる、というのはわかっているが、だからといって不安をあおるようなやり方はよくないと思う。楽しく過ごすためには心の健康も大切だ。現役を退いてからは、公民館で働き、今はスクールガードとして毎朝交差点に立っている。家の前の道は車の往来が多く危険だからだ。これが毎日早起きをするきっかけにもなっており、子どもたちとの交流をとおしてやりがいも感じている。近所の高齢者から安心してごみを出せるようになったとも言われている。
実はたばこが好きで、今でも一日20本ほど嗜んでいる。肺がんが心配になってきたので、肺がん検診を申し込んだところだ。本当はやめた方が良いのだろうが、美味しく吸うためにも、毎日の食生活や運動などに気を配って人生を楽しむことに貪欲でいたいと思う。がん検診も一人ひとりの義務というより権利、つまり与えられたチャンスと考えて受けていくのが良いのではないだろうか。