語りデータベースの特徴

ディペックス・ジャパンならではの特徴

健康関連・病気関連の情報は、以前に比べるとかなり多く見られるようになりました。
書籍による医療専門誌や闘病記などに加え、インターネット上でも医療機関が発信する情報サイトや病気体験を書いた患者さんのブログが増えました。
探す気になれば、欲しい情報は何らかの方法でみつけることができるようになってきました。

それでもディペックス・ジャパンが「健康と病いの語りデータベース」を作り続けている理由は何でしょうか?

専門誌・闘病記・体験談ブログなどと、ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」の違いはどこにあるのでしょうか?

簡単には真似のできない特徴が、ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」にはあります。

1.1つの疾患につき複数の体験
2.映像と音声と文章、3つの形式で患者の生の語り
3.信頼性の確保

1.1つの疾患につき複数の体験

患者さん自身が書かれている体験談ブログなどは、ご自身1人の体験や知見によるものですが、ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」では、1つの疾患につき必ず複数の経験者の語りを集めています。

年齢、居住地、病状、治療の種類など背景が異なる30~50人の方にインタビューをして、なるべく多様な経験の「語り」を集めて、系統的に整理・分類してインターネット上に公開しています。

同じ疾患であっても、年齢や性別、病期の進み具合が異なれば、診断で受ける衝撃も治療法を選択する際の価値観も大きく異なります。

例えば、同じ35歳の乳がん患者でも、既婚者で幼い子どもがいる場合、これから妊娠を予定している場合、独身の場合など、その人が置かれた状況によって、乳房を切除するか温存するかの判断も違ってきます。

このように、疾患は同じでも、一人ひとりの「物語」は違います。
自分に一番近そうな人を探して、その経験を知ることもできますし、自分が一人ではないと感じていただけることでしょう。

2.映像と音声と文章、3つの形式で患者の生の語り

ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」では、映像や音声の形式で、体験者の「語り」に触れることができる点も大きな特徴です。

体験者にインタビューした映像・音声を、1つのテーマにつき1分~3分ぐらいの長さに編集して、ウェブサイトで見られるようにしています。

話してくださっている内容は、映像の下に文章でも掲載しています。

インターネット上には闘病体験記が数多くありますが、その多くは匿名で提供されている文章での情報です。ディペックス・ジャパンの「健康と病いの語りデータベース」では、お名前は伏せていますが、語り手の多くが顔を出して自らの体験を語っています。

語り手それぞれのご事情により、声だけの方や文章だけの方もいらっしゃいますが、多くの方が顔を出して映像での掲載に同意してくださっています。

困難な状況についての語りであっても、その状況を乗り越えた姿を見ることができます。
語り手の表情や肉声が持つリアリティは、患者さんやご家族に病気と向き合う勇気を与え、医療に従事する人たちには患者を理解するための想像力の幅を広げてくれることでしょう。

3.信頼性の確保

インターネット上には様々な医療情報が溢れていますが、どの情報が信頼できるのか、どこまで自分にあてはまるのかは、なかなかひとりでは判断ができません。

特に、その病気になったばかりの患者さんにとっては、インターネット上の情報は初めて知る情報ばかりです。

ディペックス・ジャパンでは、専門の訓練を受けた調査スタッフが体験者の方に直接インタビューをしています。

「健康と病いの語りデータベース」で公開する語りの内容については、医療の専門家や患者会スタッフの方々に助言をいただいて、情報としての質の担保を心がけています。

ディペックス・ジャパンの語り映像は、看護師はじめ医療従事者の教育にも利用されています。
誰もが安心して利用できるよう、患者・医療者・研究者の三者が、それぞれの専門性を生かして作り上げています。