大腸がん検診の語り

インタビュー11:プロフィール

佐々木さん(仮名)は関西地方在住で、定年退職後は家事調停委員を務めている。勤務していた会社では、春と秋に健康診断が行われており、35歳になるとそれに加えて人間ドックを受けるように勧奨されていた。転勤が多かったため、色々な場所で受けてきたが、定年で退職してからは現在住んでいる地域の総合病院で継続して受診している。現役時代は、実費を支給されていたが、退職してからは補助の上限がある。ただし、健康には代えられないので、ピロリ菌のチェックや、前立腺に関係する項目など、自分で検査項目を加えている。検査の結果は、郵送で送られてくるが、現役時代、会社の産業医でもあった近所のかかりつけ医に持っていき、内容をチェックしてもらっている。
現役時代の2001年に胃がんになり、退職後の2008年に大腸がんに罹った。定期検診や人間ドックで所見が出たのがきっかけである。大腸がんの時は便潜血検査で潜血反応が出た。結果が書かれた用紙に「要精検」と書かれていたため、いつもの通りかかりつけ医に報告に行ったときに相談し、別の病院を紹介してもらった。その病院は、検査のリスクや方法、実際に内視鏡を入れて何が見えるか、ということが10分ほどで説明されていた。それを見て恐怖感もあったが、検査の安心感や医師への信頼感も生まれた。このほかに、別の場所への転移を調べるためPETを行った。S字結腸にがんがあることがわかったが、ごく初期のもので入院は3週間ほどで、2か月くらいで社会復帰できた。
胃がんの時と比べて、術後の回復は早かったし、リハビリの辛さもあまりなかった。胃がんから7年たっているので麻酔などの医療の進歩があるのだろうし、自分も胃がんの時の経験から心積もりしていたためかもしれない。胃がんも会社の定期検診で見つかっており、胃は1/3になったが快食快眠である。その時は検査機関冥利に尽きると言われたが、今回の大腸がんでも早期に発見できて良かったと思う。セカンド・オピニオン、サード・オピニオンと色々な先生の意見を聞く人もいるのだろうが、自分は医師を信じて早く処置してきた。悪いものを体内に留めておくのは嫌だったし、がんが進行するのも怖かった。インターネットでもS字結腸のがんについて調べ、自分の程度であれば人工肛門にはならないだろうと予想をつけた。
これからの医療の課題として、地域の病院のネットワークが大切だと思う。町医者(かかりつけ医)、検査機関、総合病院が患者の健康状態のデータを共有していけば、特に高齢者など病院に行くこと自体が大変な人は、より良い医療が必要な時に受けられるのではないだろうか。妻の両親が健在だがかなり高齢になってきているので、往診を含めた地域のネットワークづくりに期待している。