大腸がん検診の語り

インタビュー24:プロフィール

根本さん(仮名)は関西地方にある1000人ほどの村の村長をしている。20歳のころに盲腸(虫垂炎)の手術をしたが、それ以来入院したことはなく元気に過ごしてきた。便潜血検査は職場の検診(事業所検診)と任意の人間ドックの両方で受けてきた。必ずと言ってよいほど、潜血反応が出ていた。10年前に周りの人たちから、一度精密検査を受けた方が良いのでは、と言われ触診と注腸検査、そして内視鏡検査を受けた。出血はしていたが、異常なしという結果だったので、それ以来検診で便の潜血反応が出ても、痔のせいだと思って精密検査は受けてこなかった。検診の結果を説明する医師から潜血反応を指摘されても、「いや、痔ですから」とこちらが説明し自己診断していた。そのうちに、便が細くなり、軟便で、朝のお通じが1回では済まなくなってきた。
しかし、平成21年頃からトイレに行くと血がパッと出たり、何もないのに下着が汚れることがあり、便にも血が付くことも多くなってきたことから、翌年1月に痔の専門の医師をたずねた。「いぼ痔と切れ痔」と言われ薬をもらったが、一向に良くなる気配がなかった。この頃、ポリープを4カ所とった、という人の話を聞き、ポリープを疑い始めた。ポリープの手術をして細かった便が太くなった、と聞いたので、もう一度痔の病院に行き、便の細さについてたずねたところ、根本さんの便が細いのは痔のせいではない、とはっきり言われた。このことから大腸の精密検査を受けようと決意し近所の開業医にかかった。3月だった。すぐに内視鏡検査をしてもらい、がんだと診断された。「もっと早う来たら良かったな」と言われたのが、もう手遅れという意味だと思い、落胆した。10年前の精密検査のことも話したが、「そんなの化石や」と言われ、これまで自己診断してきたことを反省した。
総合病院で働く知り合いの医師に連絡し、3月中旬に入院し、手術を受けた。心配した転移はなく、最初に言われたステージⅢという数値は、ステージⅠに下がった。大きながんだったが、抗がん剤は「絶対効くというわけではない」「患者さんの選択です」と医師に言われ使用しないことにした。母と姉が抗がん剤を使ったことがあり、強い副作用を思い出したからだ。病院では色々な医療者が協力して仕事をしており、みな親切だった。医師中心から患者中心に変わったと感じた。
今は半年に一度の定期検診と1年に1回内視鏡検査を受けている。なぜ自分だけががんになったのだろうと悲観したこともあったが、二人にひとりはがんになる時代だ、と病気をしてから知った。病気になった頃は「がんになりました」と人前でなかなか言えなかったが、今はできるだけ多くの人に伝えていきたいと思い、村報のコラムにも闘病経験を書いたところである。がん検診受診率の高い村で何度か表彰されたこともあるので、今後も啓発活動を続けていきたいと思っている。