大腸がん検診の語り

インタビュー06:プロフィール

加藤さん(仮名)はずっと野球を続けてきた。会社にも野球で入ったが、30歳頃に引退してからは肥満が気になり、また現在単身赴任をしているので、遠方の妻も気にかけてくれている。
大腸がん検診は、会社の定期健康診断で35歳になると毎年検便が入ってくるので、それ以来きちんと受けている。去年はじめて(便潜血検査が)陽性になった。健診では便を採るのは1回だけで、もともと痔があり、検査の当日はひどく出ていたのでひっかかるだろうな、と推測していたが、そのとおりだった。結果は産業医から伝えられ、紹介された個人病院で大腸内視鏡検査を受けた。出血の原因は痔とのことだったが、モニターを見ながらポリープがあるという説明を受け、針金の輪っかのようなものをポリープにかぶせて、レーザーでスッと切った。痛みはなく、簡単にできた。むしろ、検査の前にスポーツドリンクのようなものを、かなりの量飲まなければいけないのが辛かった。1週間後にその病院に行き、病理検査の結果、がんではなく良性の腫瘍だと知らされた。
実は、まだ野球をやっている頃に、一度血便が出たことがある。看護師をしている姉に相談したら、すぐに病院に行った方がいい、といわれ姉に付き添われて診察を受けた。痔かどうかよくわからなかったので大腸内視鏡検査をしてポリープが見つかり、その場で切除した。念のため翌年にも受けたが、ポリープはもうなかった。その後は、会社の健診で検便が入るまで、便潜血検査も大腸内視鏡検査も受けなかった。
会社では、ここ1、2年、部下の健康診断の結果が上司に伝えられ、上司が部下の健康をチェックする仕組みになった。健康診断で引っかかると病院に行け、と言われ、行ったら報告している。ただ、そう言っている上司も結構悪かったりもするので、健康の自己管理のプレッシャーはかかっているが、そう厳しい雰囲気ではない。
がんについては、父も祖父も、場所は異なるががんにかかった。遺伝的には、なりやすいのだろうし、だから検診をきちんと受けないといけないのだろうが、遺伝だから仕方がないという気持ちもある。がんの他にも糖尿病の気が父も自分もあるが、同様に思っている。ただし、検診の信頼性については、日本の医療は進んでいると認識しているので、悪くなくてもひっかかるということもあるだろうが、大丈夫だと思っている。