心不全の語り

研究代表者:射場典子(理事、聖路加国際大学大学院看護学研究科准教授)

共同研究者:谷口珠実(山梨大学大学院総合研究部教授)
隈本邦彦(監事、江戸川大学メディアコミュニケーション学部教授)
水野篤(聖路加国際病院心血管センター 循環器内科、聖路加国際大学大学院看護学研究科臨床准教授)
鷹田佳典(運営委員、日本赤十字看護大学講師)
研究協力者:佐藤(佐久間)りか(理事)、廣野優子(理事)秋元るみ子(理事)花岡隆夫(理事)

心不全の語りプロジェクトについて

心不全とは、心臓に影響する何らかの病気(心筋梗塞、弁膜症、心筋症、高血圧など)が原因で、心臓のポンプ機能が低下して、全身に血液を十分に送り出せない状態をいいます。現在の患者数は120万人で人口の高齢化に伴い、増加の一途をたどっています。2030年には患者数は130万人を超えると推計されています。慢性的な心不全の患者さんは、呼吸困難、倦怠感、動悸、気持ちの落ち込みなどの症状を体験しますが、これらの症状は主観的なものであり、さまざまな状況によって影響を受けるため、患者さん自身に勝る情報源はありません。また、食事や運動など日々の生活そのものが治療と深く結びついているため、患者さんやご家族は、様々な思いを抱きながら毎日の生活に試行錯誤して取り組んでいる現状があります。
このプロジェクトでは、心不全に罹患している患者さんとそのご家族へのインタビューを通して、日々の症状の体験や病気とともに生きるさまざまな生活上の知恵や工夫を共有できるデータベースを作り、患者さんやご家族が自分らしく主体的に生活の質の維持や向上に取り組めるよう計画されました。医療者にとっては、データベースに含まれる豊かな語りの中から患者主体の医療について考えを深め、よりよい診療・ケアを提供することにつながってほしいと考えています。

プロジェクトの進捗状況 2023年4月現在

このプロジェクトは次の2つの研究助成金によって実施されています。
・平成29-30年度AMED(日本医療研究開発機構)の「循環器疾患患者に関する質の高い客観的指標分析(予後予測モデル)を基にした終末期緩和ケアの質評価および教育プログラムの構築」(研究代表者:聖路加国際病院循環器内科水野篤医師、課題番号18ek0210072h0003)の委託事業
・平成30-令和3年度科学研究費補助金(基盤C)「患者参画による心不全患者と家族のQOL向上を目指したナラティブ教材の作成」(研究代表者:山梨大学射場典子、JP18K10308)の助成

AMEDによる委託事業で、2019年3月までに4人のインタビューを実施しました。2019年8月からは科学研究費補助金によるインタビューを開始し、現在までに合計38人のインタビューが終了し、ウェブページ公開の準備を行っています。

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