インタビュー時年齢:80歳(2015年2月)
肝臓がんの治療薬の治験(第何相かは不明・プラセボ対照試験)に参加したが、再発のため中止。
首都圏在住。2009年にC型肝臓がんが見つかる。人の役に立てると考え、主治医から紹介された治験に2012年頃から2年間参加した。経済的に余裕がなかったこともあり、治験に参加することで検査や薬の費用免除があったことはとても助かった。再発したため治験参加は中断した。費用面の援助がなくなったことは非常に残念だが、人の役に少しでも立つことができてよかったと思っている。

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プロフィール詳細

山本さん(仮名)は、C型慢性肝炎を20数年間患っており、2009年にC型肝臓がんの診断を受けた。主治医と身の上話をする中で、これまでの人生に対する反省から何か人の役に立つことをしたいと話していたところ、治験の話を聞いた。経済的に余裕がないので、医療費の援助が受けられるのは渡りに船でもあった。参加する際には、書類を使って細かい説明を受けた。治験担当の看護師がおり、普段の薬のことや体調のことなども話した。治験の薬は、3種類あり(効果のないビタミン剤も含む)、どれが割り当てられるかはわからないということだったが、不安はなかった。

周囲の人に治験に参加している話をしたときには、「治験なんて…」と眉をひそめる人もいたが、自分としては人の役に立てているという優越感すら感じていた。誰かが治験をやらなければ、薬は世に出てこないので、そういう意味で、多少なりとも役に立っているかと思い、とても嬉しかった。

治験参加中は、検査や薬の費用が無料になり、交通費の援助もしてもらえたので経済的にとても助かった。最初の説明の時に、治験は再発すれば打ち切られるが、「再発して治験が終わっても、入院費用その他の点は継続する場合もある」とも言われたので、治験が終わっても費用の援助が続けばいいなという淡い期待はあった。

2015年になって再発が発覚したが、治験に参加して毎月病院に通っていたおかげで、早期に発見してもらえた。周囲には「治験のせいで再発したのではないか」と言う人もいたが、2年以上再発しなかったのだし、よくもったと思っている。治験薬が効いたのかどうかはよくわからないが、決してマイナスには作用していないと思った。しかし、再発して治験が終了したことで、治験制度の中で受けていた費用免除もなくなることを改めて告げられた。

治験というとモルモットにされるんじゃないかという感覚を持つ人もいると思うが、治験薬を飲む際には副作用などもよく調べてくれるし、もし、治験薬を飲んで、病状的に苦しくなったらいつでも止められるし、それで人の役に立てるのであればいいことだし、素晴らしい人生経験ができたと思う。治験をやっている医療者にもどんどんがんばってやってほしい。

ただ、今回、再発を機に治験参加が終了し、費用面の手当てが一切なくなってしまったことは唯一残念に思った。2年以上治験制度の中で面倒を見てもらっていたので贅沢をいうことになるが、少しでも継続的な援助があればもっとよかった。しかし、治験全体にかかる費用を想像すると、製薬会社が非常に大きな費用を投じているので、やはり仕方がないことだとも思う。

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