今、内視鏡のほうもかなり、太さも違いますし柔らかくなったり、硬さを変える内視鏡も出ていますので、以前から比べると……以前はやっぱり受けられる方も検査を行うドクターも汗水たらしながら両方大変だったわけです。ところが内視鏡機器も非常に進んできまして、挿入しやすい内視鏡が出てきています。それともう一つは、大腸内視鏡の挿入技術というのは昔からかなりキャリア的に差が出てきます。まず大腸専門の、内視鏡を専門にしているところに行かれると、やっぱり検査は上手であるというのは間違いありません。だからそういったところに受けに行っていただくのがいいと思います。
それから安定剤を使うというのは、大腸検査では、私たちの施設では必須で使っています。それはどうしてかといいますと、やっぱり検査台の上に上がられると受診者の方はみんな緊張します。そうするとおなかに力が入ってしまって、内視鏡を入れようとしますが押し出されてうまい方向に入っていかないようになるんですね。だからリラックスしていただくということもあって、それと「うー」と言われながらじっくり観察することはできませんから、お互いに精度の高い検査をするためにはリラックスしていただいて検査を進めていくと。受けたあとも「あの検査は二度と受けたくない」と言われてしまうとそれもデメリットですので、検査を楽に受けていただくために少し安定剤を使って……安定剤を使っていますので、心電図モニターとか血圧モニター、あとは酸素モニターをつけて、優しい看護婦さんがついて検査をしているということで、受けやすい態勢を作っているところが多いと思います、今は。だから、専門的なところで受けられることをお勧めいたします。
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大腸がん検診、便潜血検査は排泄物を取るだけの簡単な検査なんですけれども、その次の検査、これが大事なところなんですが、精密検査というのは一つハードルが高いっていうのが、なかなか精密検査の受診率が低いという問題になっています。いろいろ改良されてきまして、以前は食事を3日ぐらい前から制限したりとかしながら洗浄液、検査当日2リットル飲まなきゃいけなかったんですね。それがもちろん大変だということで、その点についていろいろ検討してきました。
そこで、今出てきたのは、私たちの施設でも使っていますけれども、検査当日に新しく、昨年の6月に出た洗浄液ですが、1リットル飲んでお茶を500cc飲むというタイプが出てきていますので、だいたいそれで7~8割の人は検査を受けることができるぐらいきれいに前処置ができている状況です。だからだいぶん変わってきました。ただ、味が、味は個人差がありますので好き嫌いがあります。ただ、胃袋が1.3リットルぐらいの容量なので、1リットルまでだとある程度嘔吐せずに入る量だと思います。そのあとにお茶を500cc飲んでいただく。お茶とか水を飲んでいただくということで、ちょっとまずかった洗浄液を、味が変わりますので比較的飲みやすくはなってきています。以前は、2リットルの時代は、途中で飲めなくなったとかいうお電話をよく頂いていましたけれども、今、その1リットルになってからは「飲めない」という方はほとんどいらっしゃらないです。ただ、味が悪いと。でも「おいしい」という方もいらっしゃるし、味に関しては非常に難しいです。味に関しても、今、メーカーではもうちょっと味を工夫しようという努力をしているという状況です。かなり変わってはきています。
まず1日法だけでやるという便潜血検査の大腸がん検診っていうのは認められていませんので、これは必ず2日法でやらなきゃいけない。さらに1日法で陽性になったら、これはもうすぐ精密検査という方向に持っていくことが大切だと思います。1日でも陽性だったら陽性ですので。またさらに、1日陽性だったら次また便潜血検査を受けて、というのはそれは根底から間違えてる。それはやり方を正す必要があると思います。
―― で、あの、例えば検便なんかの検査の場合って、2回出さなきゃいけないじゃないですか。2回分ですよね、毎回採るのって。
えーっと、うちの会社は、一応1回でやってます。で、そこで引っかかった人が再検査というような感じになってます。
―― じゃあ、1本だけつく、持って行けばいいということですよね。
そうですね、はい。
―― ああ、そうですか。はい。わかりました。で、えーっと。…じゃあ、それで受ける場所というのは、もう指定されたところに行かれるわけですか、会社の。
あ、えーと、本社の時はですね、えー、本社のビルに医療機関の方が来られて器具を持ち込まれて会議室でやる、ということです。で、まあ、あの、場所というか、以前九州のほうにいた時は、えー、そういう健康管理センターっていうのがありまして、そこですべてできるという仕組みになってます。
―― それとですね、あの。まあ…はじめ、その、2次検査っていいますか、その、内視鏡とか、そういうものを受ける時の、あの、説明なんですけど、事前説明っていうか、その辺っていうのはある程度詳しくあったのか、それとも行っていきなり、こうなんか、「はい、これ飲んでください」っていう感じでいく、なんか、その、結構詳しく説明受けていましたか。
あの、詳しい説明とまではなかったと思います。一応、便を採ったら血が混じってましたので、再度、検査してください、ということで、えーっと、会社経由で話がきました。で、えー、2回目検査してもやっぱり混じってます、ということで、そこで、あのー…産業医と面接を受けて、えー、その結果、まあ、病院で一度検査しましょう、ということになりました。はい。
ある程度期間が決まっているので、その提出期間に間に合わないということになると、それはまた別で2日法でやってもらうしか本当はないと思います。ただ1日だけでも、その場合は仕方ありませんので、まず提出していただくことが大切かと思いますが、なかなかそれは難しいですね。
―― というのは、1本しかなかったら、もう検査として成立しないということですか。
1本は結局取れなかったということで提出してもらうしかないと思います。提出期間は決まっていますよね。そこは問題ですよね、本当は。
―― あとからでも提出できる、あらためて。
ようにしたほうが本当はいいですよね。
―― どうしても便宜性でなんでもかんでも一緒にやろうと。こちらもそれを要求するようなところがあるわけですけど、ただ、便の調子というのはなかなか自分の力ではどうしようもないというところもありますから、ある程度自由に受け付けられると。
いうようなシステムにしたほうがいいですよね。
―― ないとしても、とりあえず1本しか取れなかったから無駄だと思わないほうが……
いいですね。だから、それは不完全な検診だったというふうにその年は考えるしかないかなと思います。だから、方法としては、市町村でやってる検診では、どうしても一括で回収しますので間に合わないけど……。あとは、医療機関、かかりつけの先生のところに行かれて個別検診というかたちになりますけれども、そこで受け付けてもらうと。そういう方法も一つあります。その場合はちょっと別途お金が発生するとは思いますけれども、それはもう対策型として一括で行政がやるものに関しては、ある程度一定の期間で出してほしいというのがありますから、うまく出せなかった場合は地域の医療機関に行って、かかりつけに行って、そこで便潜血検査をやるということも大事かもしれません。やっぱりそれだけ便秘があるということは、それは症状の1つなので、一度精密検査をお受けになったほうがいいかもしれません。
便潜血検査の1日法、2日法というのは、いろんな厚労省を含めた研究成果を元に、2日法であって初めて有効性が認められているといわれていますので、1日法でやるというのは邪道ということになります。認められていないと。2日法でやるというのが大切であると、有効性が認められている方法です。
それから、1日陽性の方と2日陽性の方ですね。これはあまり公表はできませんけれども、やはり2日とも陽性の方に病変は多い可能性が高いと。ただ、1日でも、その1日の陽性のほうが数値が非常に高い場合はかなり病変の確率が高いというデータを私たちは持っておりますけれども、それをあまり公表してしまいますと、今度、1日だけしか陽性でなかった方の受診率が下がって、1回しか陽性になっていない方が今度は精密検査を受けない、受診率が今はもう低いですので、そういったことにもつながっていきますから、2日のうち1回陽性だったらこれは陽性ということで、必ず精密検査を受けていただきたいというふうに思います。それだけリスクはあるということで受けていただきたいと思います。
便中の血液、便ヘモグロビンという蛋白を調べる検査ですので、一番奥のほう、上行結腸というところにがんがあって、そこから少し出血していても、なかなか便潜血陽性となりにくい場合も少なからずあるということは指摘されています。ただ、ある程度の出血量があれば必ず陽性になりますし、特に便秘をお持ちの方は、腸の中に血液が混じった便が停滞していますので、いろんな腸内細菌によってそれが壊されて陽性とはなりにくいということは指摘されています。だから、便秘の方に関しては、特に偽陰性になりやすいということも予測はされています。
ただ、これは、すべて100パーセントの検査ではないわけです。危険因子のある方を拾い上げてやっていくという検査で、かなりの感度・特異度(*1)は高いと……この便潜血検査ですね。今やっているこの便潜血検査ですけれども、いろんな検診の方法がありますけれども、これは被ばくもありませんし、ただ排泄物を2日間取るだけなんです。それで有効性が極めて高いということが認められてますので、これは積極的に、やるほうとしては進めていく必要があると。偽陰性の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、これはやはりもっともっと広めていく必要があると思います。多くの方を救命可能ながんで見つけるということとしての対策型(*2)の検診という考え方で、多くの方にたくさん受けていただいて救命可能ながんをたくさん見つけるというのが、この便潜血検査の方法です。だから、症状があれば、必ずそれは便潜血検査じゃなくて、内視鏡やエックス線検査などの画像検査を精密検査で受けることが大切であります。
*1:「感度」とは、病気にかかっている人の中で検査結果が陽性になる人の割合、「特異度」とは、病気にかかっていない人の中で検査結果が陰性になる人の割合を指します。「感度」と「特異度」が高ければ、その検査は正確だということになります。
*2:対策型検診とは、集団全体の死亡率減少を目的として実施するものを指し、公共的な予防対策として行われます。このため、有効性が確立したがん検診を選択し、利益は不利益を上回ることが基本条件となります。わが国では、対策型検診として市区町村が行う住民検診が該当します。これと対照的に、個人が自分の健康リスクを回避するために選択的に行う検診を任意型検診といい、人間ドックが代表的な方法です。
今年は陽性となって内視鏡検査を受けた。特に異常がなかった。翌年、陰性となるのは特に問題がないと思います。ただ、今年陽性で受けてなくて来年は陰性だったというところで、そのまま放置していくと、(早期だったために)たまたま出なかっただけかもしれませんので、必ず陽性になったら精密検査を受けるということが大切です。最初にも申しましたように、便潜血検査は腸の中を実際に見ているわけではありませんので、腸の中を通ってきた便の中に含まれている血液を頼りして検診を行っておりますから、陽性となったら精密検査を絶対受けるようにしていただきたいと思います。
ただ、毎回陽性になって、それでも内視鏡を受けて何もないという方は、2~3回受けて問題なければ、今度は内視鏡だけである程度定期的に見ていくしか方法はないかなと思います。そういった方は非常に少ないと思います。毎年便潜血検査で陽性になるという……何もなくて陽性になるという方は非常に少ないですので、2~3年おきに(内視鏡検査を)、(便潜血が)陽性になりやすい方は、受けていくという方法もないではないです。あるいは、内視鏡検査だけでは同じところを見ている可能性がありますので、初回が陽性になったら内視鏡検査、そのあとまた便潜血検査で陽性になったら次はまた内視鏡検査をやるんですけど、また翌年なった場合には同じ内視鏡検査じゃなくて今度はバリウムの検査とか、3D-CTっていうのが今ありますので、そういった検査で内視鏡の弱点を補うということも可能ではないかと思います。
―― そうするとその、会社で行われている検査は、基本的に毎年受けられて。
基本的には毎年受けていました。
―― その中に、あのー、検便も。
検便が入っていた。
―― それは、もう、あ、そうですか。それは、毎年、ちゃんと受けられていた。
はい、はい。
―― それで、何か、あのー、えーと、陽性反応が出たとかっていうことは、1回だけだったんですか。
いや、(笑)多分、2、3回はあったと思います。ただあの、例えばあの、陽性になったり、また、あの、出なかったりする場合が、…あったように記憶しているんですよ。毎回、3年続けてあったっていうのはあんまり、記憶にないんですが。翌年、その、……あの、陽性になら、ならなかったっていうこともありましたしね。…ま、こんなもんかというふうな、程度に思っておったんですね、わたし自身。……。
―― ま、多分、おそらくなんですけれども、そのー、検査を受けられて、陽性反応が出ると、精密検査を受けてくださいというアナウンスがあると思うんですけれども。
はい、あります。
―― それは、あのー、受けないで、ま、次の年もちょっと様子をみてみようかと、いうような。
はい、そうですね、はい。
―― あ、そうですか。あの、ちなみにそのときは、あの、検便の検査が、大腸がんの検査だということはご存知でしたか。
知りません。
―― そうですか。
ええ。
―― じゃ、何の検査かよく分かんないんだけども、まあ、とりあえず項目に入っているから受けておこうと。
あのー、よく子どものころに、あの、マッチ箱に入れてうんち持って行った記憶があるんですが、あのー、回虫、虫がいるとかいないとかの、そんな程度かなと思っていたんです(笑)。……。
便潜血検査と痔の関係ですね。確かに痔からの出血でそれを拾うこともあるかもしれません。ただ、100人受けてそのうち6~7人ぐらいの陽性率なんですね、便潜血検査は。実際に内視鏡をやっておりますと、大なり小なり痔を持っていらっしゃる方はもっと多いので、必ず痔があれば陽性となるわけでもありませんし、痔の治療をなさる場合には、だいたいどこの痔の専門病院でも、腸のほうに病気がないかどうか、本当に痔の出血だったかどうかということを確認するために大腸内視鏡検査を行って、その痔の治療をすると。あるいは、痔の治療をしたあとに大腸内視鏡検査を必ず行うようにしております。
だから、どちらから出たのかというのは便を見るだけではわからないので、必ず便潜血検査が陽性であれば、痔だけじゃなくて、肛門だけじゃなくて腸のほうにも出血原因がないかどうかを調べる必要は必ずあります。そのとき陽性と出て、自分は痔を持っているから痔だと自己判断せずに、やはり検査を1回はお受けいただいて、そこで腸に何もないというのを確認したら、痔だったかもしれないということになるかもしれません。ただ、やっぱり必ず、痔を持っていても大腸の検査は受ける必要がありますので、ぜひそのへんはしっかり考えてお受けいただきたいと思います。

