投稿者「dipex-j」のアーカイブ

大腸がん検診の語り

昔に比べて便を取る量が減ったのはいいが、洋式トイレの場合は準備が間に合わないこともあるので、他に良い方法はないのかなとは思う(音声のみ)

―― 何か、便潜血検査で、もう、ちょっとこうあったらいいのにとか。あとこういうのは嫌だなとか、あと、、そういうことってありますか。やり方も20年の間に変わってきたと思うんですが。

そうですね、便を採る量自体が減ったのは、楽になってよかったなあと思います。ただ、まあ、そうですね、物理的に表面をこすらないと出血かどうか分からないのはしょうがないんですけど、何か、うーん、ほかに方法はないかなって思うことはなくもないです。ただ、ほんとにお手軽というか、直接触らずに、検体をとれるように考えていろいろ作られてきているんだなあっていうのは、何となくわかります。

―― じゃ、別に、こう、やり方については、特に、あのー、不自由というか、

うーん、不自由。

―― あ、こうだったらっていうようなことは。

そうですね、決して、何か楽じゃないので、特に、あのー、和式だったらまだしも、洋式だと、切羽詰まっているときは、すみません、こういう話になって、準備が間に合わないっていうことがあるので。うん、…うーん、もうちょっと楽に、楽にというか、何て言ったらいいんですかね。……何かいい方法はもうこれ以上でないのかなあと思いつつ。じゃ、こうしたらっていうとこまでは自分も言えないので。まあ、黙々と従うしかないんじゃないかと思います。はい。

大腸がん検診の語り

大腸がん検診を進んで受けようと思わないのは、知り合いに患者がいなかったこともあるが、便を器に入れることに心理的抵抗があるからかもしれない(音声のみ)

何かやっぱり大腸がんは、やっぱり、その知り合いがなっていないっていうことと、やっぱり、その検便系っていうのに心理的抵抗が、今言われて気がつきましたけども。ないわけではないのかもしれませんねえ。

―― 検便系の、こう、イメージっていうのは、どういう感じですか。

(笑)。

―― やっぱり、こう、すくうという。

何か器に。

―― ええ。

入れる的な。

―― ああ。

小学生の頃のような。ただ、あの、その、同居している…夫みたいなのは、あの、検診受けてて、よく検診の前の日に、あの、トイレに置いてあるんですよね。あの、何か翌日やらなきゃいけないものが。それがま、「検、検便なの」とかって聞くと、何か「今のは、検便って言っても、そんなに便を全部持っていくんじゃなくて、ちょっとだけなんだよ」とかっていうのは、聞いたんですけども。

―― それをご覧になって。

ええ。

―― じゃ、わたしもっていうところまでは。

全然思いませんでしたね。

大腸がん検診の語り

難病になると検診を受けようとは思わなくなる。近所のかかりつけ医にもタクシーに乗らないと行けないので、結果を聞くのも合わせて3回も行くのは難しい(テキストのみ)

―― 今はちょっと、えー、お、ま、お体の方の、ま、都合で、がん検診も受けてらっしゃらないっていうことですね。

ええ、と、特定健診も受けてません。

―― あ、そうですか。

というのは、え、要するに、その、どこのバス停で下りても、あの、かかりつけ医まで歩いて行けないんですよ。
だから結局タクシーで行くかどうかしかないんですけれども、要するに、もう、あの、何ていうんですかね、難病になってしまうとですね、もういいやっていう気になっちゃうんですよ。

―― ああー、まあ。

その上でがんになって、じゃ、治療するかと。で、今でも、あの、ほとんど歩けないんで、治療で要するに手術なんか受けたら、それこそ車いすになっちゃいますよね。そしたらもうそんなのいいやっていう気に、なっちゃう人が多いんですよ、おそらく。

―― うーん、うーん。もう、じゃ、がんに。

なったらなったときだっていうこと。

―― 早期発見しようっていう形、そういう感じじゃなくなるっていうこと。

要するに、その、例えば、あの、今の場合は便潜血反応が入ってるから、あの、特定検診を、仮にタクシーで受けに行ったとしますよね。そうすると最初検診を受けに行って、便潜血検査のキットを出しに行って、最後に聞きに行くわけですよね。と、3回行かないと駄目でしょう。そうする、とこの体で、あの、それをやるのは、もうしんどいんですよね。

大腸がん検診の語り

仕事をしていたので、わざわざ医者に行って検査をするのは面倒だった。インターネットで調べ、検査キットを取り寄せて検査した

―― インターネットの検診を受けられたということなんですけれども、まだ、それご存知でない方も多いと思うんですが。えー、それは、もともと、インターネットの検診どうして受けようと思われましたか。

やっぱし、近所のお医者さんへ行って、何か、大腸がんの検査するいうのも、何か、ちょっと仕事していましたんで、あのー、面倒くさいいうのもあって、インターネットで取り寄せればキットを取り寄せて、それを送れば、また郵送で、あるいはメールで返事がくるという、手軽だと思ったんで、そちらのほうを、あれは、…そういう、…サイトがあるんですね。そこで調べて、あのー、検査んとこを…出したら、会社名があって、そこへ申し込み書を送ってもらった、そこから送ってもらったんですね、はい。

大腸がん検診の語り

市の特定健診と一緒に申し込むと便潜血検査のキットも郵送で送られてくるので楽だが、検診日より3日以上前に採った便は冷蔵庫に保管するように注意書きがある(音声のみ)

―― 自治体なんかだと、その、まあ、採便をするキットを取りに行き、で、自分で。

えーとね、それは、送られてきます。

―― あ、そうなんですか。

あのー、市報に、特定健診っていう名前だったかな、ま、基本的なそういう、ま、血液とか、血圧とか、あとは、まあ、便、検便と尿検査ですね。あとは、眼圧を見たりとか、そういうセットになってるものがあって、で、それに、こう、申し込みたいですってはがきを送ると、はい、そうですかというかたちで、この確認の封筒に、申込書とか問診表とかと一緒に、採る容器も同封されてきます。

―― はあ、それいいですね。

はい、あのー、なので、うん、大変なところもあるんだなあっていうのを、まあ、知ったりすると、うちの自治体、自治体は楽をさせているんだなあと、まあ、比較して思ったりしますけれども。

―― そうすると、そのまあ封筒の中にキットが入っていて、で、自分で採便をするわけですが、それは、えーと、期間とか決まっています、いつまでに出さないと。

えーと、検査をする3日前以降、5日前以降だったかな、まあ、あんまりそんなに、こう、1週間とかじゃなかったと思います。まあ、えーと、その、だから、ほかの健診を受けに行く日ですね。その日までに採ってくださいっていう。その日の朝までか、採ってくださいという表記をされていたと思います。まあ、あのー、3日ぐらい前に採っちゃったら冷蔵庫で保管してくださいとか、そういう注意書きもあったりするんですけど。

大腸がん検診の語り

便潜血検査は便を採るだけなので身体へのデメリットはないが、内視鏡検査の場合は穿孔(腸に穴が開くこと)が起こる場合がある

まず大腸がん検診の便潜血検査に関しては、疑陽性・偽陰性の問題があるにしても、体にとって何かストレスが起こるわけではありませんので、排泄物を取るだけですから、それは問題ありません。ただ、そのあと陽性になったときに内視鏡検査をお受けになるといったときに、どうしても肛門から内視鏡を奥まで入れていくときに、癒着があったりとかするとやっぱり破れやすかったりとか、穿孔(せんこう)が起こってしまうということは、かなり今は確率が低いですけれども、そういったことも稀にあります。だから、内視鏡検査が必ずすべて安全というわけではありませんけれども、受ける必要性は高いですので、わずかなリスクが……必ず説明が検査の前にはありますけれども、そういった穿孔(せんこう)といって腸に穴があいてしまうリスクはゼロではありません。

大腸がん検診の語り

内視鏡は視野が140度のものが多いため、見落としたり腸のヒダの間のがんが見つけられない場合はあるので、毎年便潜血検査を受けてほしい

内視鏡検査は140度しか視野がありませんので、それを使ってグルグル回しながら腸の中を見ていくわけなんですね。そうしますと、どうしてもヒダの真裏とかにある病変といったものを見ていない可能性があります。ただ、そのヒダの裏に隠れている病変というのは小さなポリープ……腫瘍性であっても5ミリを下回るようなものが多いので、また経過を見ていけばいいということになります。ただ、がんをその場で見落とすということは極めてまれであると思います。ただ、内視鏡を受けたあとに3年後に見て進行がんが見つかるということも年に数例は経験があります。それほど大きくはない進行がんであるということになります。
だから、なんらかのポリープがあったりとか、初回検査で何もなくてもだいたい2~3年後にはもう一度内視鏡検査を受けていただくということはあります。あるいは便潜血検査をそのあと定期的に受けていただいて、陽性になればまた受けていただくというのは非常に大切なことになってきます。それで初回にもし見落とした部分があっても、次の便潜血が陽性であればまた見ますし、2~3年の間で見れば見落としたものも救命可能なところで見つかっているという状況です。

大腸がん検診の語り

術後1周年の内視鏡検査の際に横行結腸に6-7ミリのポリープが見つかった。1年前にも2か所の病院で内視鏡検査をしていたが、その時には見つからなかった

あのー、(大腸がん手術後)1周年記念の、あの、内視鏡検査をしたんですけれども、そのときに、今度は横行結腸に、…数ミリ6から7ミリのポリープが見つかって、あのー、…一応、取ってもらった。で、まあ、一応、がん検査をしたんですけどポリープでした。で、あのー、……なかなか見つかりにくいところにあって、ああ、見つけてくれてありがとうっていう感じだったんですけども。多分、6から7ミリの大きさなので、1年前にもあったはずなんですけども、あのー、1年前に手術したときは、その一番最初に診ていただいたクリニックのお医者さんと、手術をした病院、でももう1回内視鏡検査したので、2回、こう、違う病院で違うお医者さんに診てもらったんですけど。それでも、何か見つからなかった。まあ、たまたま今回見つけてもらったんですけれども、大腸って、やはり、ひだひだ…で、あの、それをふくらまして検査するので、やはり、あの、内視鏡検査でもやはり限界はあるっていうことですね。

大腸がん検診の語り

妻の父親は、精密検査を受けて異常がなかったのに、翌年大腸がんで亡くなった。一概に人間ドックさえ受ければすべて見つかるとは限らない

妻の父親も人間ドックを受けてですね、で、ちょっと異常が見つかったんですね。で、精密検査を受けなさいということで、精密検査も受けたんです。で、受けても異常がないと言われたんですね。で、その半年か1年後に、あのー、容態がおかし…変わってですね。大腸がんだということで。あのー、私の妻はね、人間ドックとか精密検査なんか、全然、信用してないんです。

―― ああ。受けていたのに。

そうです。

―― そこで、内視鏡検査で、じゃ、わからなかったっていう。

わからなかったのか、見逃したのか、わかりませんけどもね。ええ。だから、一概に、人間ドックさえ受ければ、すべて見つかるとは限らない。

―― じゃ、まぁ、運が良かったっていうことも入ってますよね。

うん。そう…そうですね。はい。……ただ、うちの父に関しては、私が大腸がんになったから。

―― はい。

僕が、なってなかったら、父親は行かなかったと思いますね。検査にね。私がなったから、自分も行ってみようという気になりましたから。ええ。

―― じゃ、まぁ、発見されることもあるから、まぁ、それも運もあるけれども、まぁ、受けておいたほうがいいのかなっていう。

そうですね。逆に言えば、あのー、本当に心配であれば、二箇所ぐらいでですね、あのー、受診してみたらですね、もっと、あのー、発見できる確率がね、上がるんじゃないかなと思いますけど。はい。

大腸がん検診の語り

全国的なデータでは二次検診を受けた人の5パーセントほどの人からがん、45パーセントほどの人からはポリープが見つかっている。検診で見つかるがんは早期が多い

私たちの施設はどちらかというと対策型検診……住民検診をやっていますので、比較的高齢の方が多いわけです。そうしますと、高齢の方を対象にやるとそれだけがんの罹患率というのが、がんの方が多く含まれているということもあるんですが、便潜血検査が陽性となって精密検査として内視鏡検査をお受けになった場合に、だいたい13パーセントぐらいの方が大腸がんが見つかってくるというデータがあります。
 ただ、そのうち87パーセントぐらいの方は早期のがんで、内視鏡治療や腹腔鏡手術が可能であったと。非常に便潜血検査は頼りがないように思いますけれども、実際に見つかってくるがんは症状がない方がほとんどですので、やはり早期がんが80~90パーセントを占めているということなります。ただ、全国的なデータを見ますと、だいたい半数の方、5割の方には何もないと。内視鏡検査をお受けになって。がんが5パーセント前後見つかってくる。あと45パーセントぐらいの方には、ポリープが見つかってくる。前がん病変としてのポリープも見つかってきますし、あとは大腸憩室なども見つかってくるという報告があります。