投稿者「dipex-j」のアーカイブ

大腸がん検診の語り

便潜血検査で陽性になったのは痔からの出血のせいらしい。上行結腸のがんでは出血があっても途中で吸収されて潜血反応が出ないので、すごくラッキーだったと思う

―― あの、潜血検査で血が出たのは、そのポリープの先端のがんから血が出たんですか。

いえ、そう、そうじゃないんですね。そう、そうじゃなくて、たぶん、たぶんというか、あの、もともと痔、痔があって、あの、便秘気味だったので、たぶんその潜血検査の、あの、血っていうのは、あの、そういう痔、痔から出た、だったと思うんですね。で、あの、上行結腸の場合は、まだ便になってないんですね。あの、小腸から送られてきて、まだ液体の状態なんですね。だから、あと、まあ、がんがすごく初期だったので、がんから出血してるってこともなかったんですけど、上行結腸の場合は、すごく潜血検査には出にくい、あの、所ですね。で、本当にたまたま、ラッキーだったとしか言いようがないですね。
例えば、普通、あの、よく言われる大腸がんの症状っていうのは直腸がんかS状結腸の症状なんですね。例えば便が細くなったりとか、下痢とか便秘を繰り返すとか、それは、たぶん直腸とかS状結腸で相当のパーセント行くと思うんですけれども、その症状なんですよ。で、私がなった、あの、上行結腸というのは、たぶん大腸がんの10パーセントぐらいの、本当に少ないわけですね。で、さっきもお話ししたように、便がまだ、あの、液状の状態なので、よっぽど大きくならないと詰まらないわけで。だから、便に、で、出血してても、例えば途中で、腸の中で吸収されたりして潜血検査に出てこない。だから、そういうことはあんまりどこの情報にもあまり書いてないし。で、しっかり大きなうんちは出てたわけですよね。だから、あの、直腸がんとか、あの、S状結腸のがんでは、あの、自分では思い当たらないから、あんまりそういう気にしてなかったんですね。だから、結構、あの、たまに上行結腸がんで亡くなった方とか有名人の方とかいるんですけれども、やっぱりすごく発見が難しい。だから、ま、私はすごくラッキーだったなと思ってます。

大腸がん検診の語り

職場復帰をきっかけに便潜血検査を受けてひっかかり内視鏡検査を受けたが、痔による出血だったようだ(テキストのみ)

―― ああ、じゃ、えー、職場に復帰されて、えーと、そこは、えーと、病院でしたっけ、あ……。

病院ですね。

―― 医療センター。

医療センターですね、病院ですね。

―― で、そこでは、…、毎年受けてらっしゃいましたか。

ええ、毎年受けました。

―― ああー、で、その結果はどんな感じでしたかね。

ええ、あのー、出血があったのでひっかかって、それで受けに行きました。

―― 内視鏡検査。

内視鏡検査を。

―― で、そのときに、じゃ、受けようってすぐ思われて、で、そのあとどうされました、調べました。

あのー、近くの、ええ、あのー、大きな病院に行って調べましたら、あの、ま、きれいだったんですけれども、「ま、痔のためですね」って、「きっと」って言われて、それで「痔がありますよ」って、それを何か結構大きな声で言われたので、すごく恥ずかしいかったので、も、内視鏡検査、痛くも何ともなかったんですけど、違和感があったぐらいで、何か二度と行きたくないなってそのとき思ったんです(笑)。

大腸がん検診の語り

大腸がんはある程度大きくなると潰瘍を形成し、そこから出血する。そうなると便に血が混ざるようになり、便潜血検査で陽性となる

まず、実際に腸の中を見る検査としては内視鏡検査、あるいは注腸検査――バリウムを肛門から入れて撮るエックス線検査、それからCT。今は3DCTといって、腸をきれいにして、そのあと炭酸ガスを入れて撮る。
そういった検査があるわけなんですけれども、それをすべての方に検査をするというのは大変ですし、処理能力的にも不可能であると。それから、受ける方も結構大変なわけですので、やはり危険因子のある方を対象に拾い上げて検査をするというのが、(対象となる方々の)死亡率を下げる(施策としてのがん)検診の目的です。
なぜ便潜血検査というのを行うかといいますと、ある程度大腸がんというのは、少し大きくなってくると、表面がただれてきて少し潰瘍(かいよう)を形成してくると。そうしますと、便に血が混じりやすいということで、便に混じった血液を調べることでがんの危険因子があるというふうに判断して検診を行うという方法なわけです。ただ、実際に定量値で見ていくわけなんですが、ある程度の一定の量が入っていると、それを陽性というふうに判断しています。

大腸がん検診の語り

大腸がんは症状が出てから受診しても遠隔転移がなければ助かる率は高いが、便潜血検査を受ければ転移を起こす前の段階で見つかる可能性が高くなる

大腸がんになってそれなりの症状が出てからでも、検診を受けなくてもいいんじゃないかと、症状が出てから医療機関を受診しても助かるんじゃないかというお考えがあると思いますけれども、症状が出てからでも助かる方もいらっしゃいます、確かに。大腸がんというのは基本的には胃がんや食道がんに比べまして、生命予後――少し進行していても助かる可能性というのは非常に高いです。
進行がんでも転移がない方は助かるんです。非常に救命率が高いです。肺とか肝臓への転移がない方は、それでも7~8割の方は助かるわけなんですけれども、いったん肝臓とか肺に遠隔転移を起こしてしまいますと、救命率というのはぐっと下がって、5年間の生存率はそれで見ますと2割に落ちてしまうと。そこが大きなギャップになっているわけです。だからその前に見つける必要があると。
進行がんでも、転移を起こす前に見つけるというのが大切なところなんですね。そこに便潜血検査という、大腸がん検診というのが重要であるということになっていきます。だから、進行がんになってしまいますと表面がただれてきて潰瘍(かいよう)を起こしてきますので、貧血が起こったり……出血ですね、便に血が混じる。それが持続していると。それから閉塞してきますと便が出にくくなる。おなかが張ったりとか、便がほとんど出なくなるという症状が出てくるということになります。そういった状況になりますと、結局、肺とか肝臓に転移しているがんが多くなるということです。
それで、そのような症状が出る前の、できれば進行がんでも転移を起こす前のがんで見つけるというのが、この便潜血検査の大事なところであるということになります。何も便潜血検査はポリープを見つける検査でもありませんし、早期がんを見つける検査でもないんです、実は。その人の救命というのを考えますので、そういった転移を起こす前の、進行がんになる前の状態で見つけるというのがこの便潜血検査の大事なところになります。

大腸がん検診の語り

それまで大腸がんについてはほとんど知識がなかった。がんになれば死ぬんだぐらいにしか思っていなかった

―― 今はいろいろご病気についてもご自身の経験もあって、ご存知だと思うんだけれども、それ以前は、あまりその、まあ、大腸がんも含めてがんについての知識とか、そういうことはあまりなかったっていう。

いや、ほとんど、ほとんどないです、ええ。たまに、あのー、ぼーっとテレビ見ているときに、入るのを、たまにぼーっと見ているくらいで、それを真剣にね、どうのこうのっていうのは、要するに頭に中に入っていないですよね、ええ。…だから、がんになって、要するに、どうなのっていうのは、まあ、はっきり言えば、がんになれば、要するに、死というのが、…すぐ…ありましたんで、うん。だから、それぐらいなもんでね。で、それが、今は、自分がこうなったことによって、手術したら、要するに何ともね(ない)、っていうのは、もう、あのー、自分が経験して初めて分かったっていうかね、ええ。その前までは、もう全然、がんになりゃ死ぬんだなっていうくらいしかなかったですね、ええ。

大腸がん検診の語り

小さい時に母を乳がんで亡くしているので、がんになったら余命いくばくもないというイメージが強かった

―― 実際に、がんと言われるまでは、自分ががんになるなんて思ってもなかったっていうことだったんですけれども、あのー、そのー、ご自身ががんになるまでのがんのイメージっていうか、ま、大腸がんでもいいんですけれども、何か、あ、ございましたか。

そうですね、あのー、とにかく、がんになったら、…余命いくばくもないという…イメージが強かったですね。

―― 何かこう、あのー、大腸がんに限らずですね、ま、あの、自分ご自身の、あの、周囲で、あの、がんになっている方とかっていうのはそれまでいらっしゃいましたか。

あのー、わたしが小さいときにおふくろが亡くなったんですが、あの、それはあのー、乳がんで亡くなりましたんで、その、そのイメージは強いですよね。ですからその、イコール、そういうかたちと、いうのがありましたんで。

大腸がん検診の語り

自覚症状で受診しても検診で見つけても延命効果はそれほど劇的ではないと思うので受けない。自覚症状で病院に行って間に合わなければ仕方がない(音声のみ)

―― 今のお話ですと、大腸がん検診を受ける事のメリットというのは、延命につながるとか、そういうことでよろしいんでしょうか。

そうです、もし自分が受けるとするならば、そのメリットは、あの、延命ですよね。だからまぁ、ええと、効果があるというか、がん検診としての意味がある、検診で見つけた人がちゃんと長生きできるという、そういうことであろうから、そういう意味では、意味がある検診だとは思っているんですね。
でも、まぁ、そうは言ったって大した効果はないだろうなとは思ってまして。検診を受けないで自覚症状で病院に行っても、検診を受けて病院に行っても、もちろん統計的に見れば延命効果はあるんでしょうけども、それほど劇的なというか画期的なというか、そういう効果があるとはどうも思えないので。まぁ、だから面倒くさい、から受けないというレベルの事なんだと思いますね。本当に受けなければ死んでしまう、受けるんだったら生きられるという、そういうものであればね、あの、多少無理してでも受けると思うんですけど、まぁ所詮そんなに差がないだろうなという思いがあるから、受けないんですけど。

―― ということは、その、デメリット、大腸がん検診のデメリットを強く意識してらっしゃると言う事ではないんでしょうか。

デメリットとして想像するのは、偽陽性にあって非常にこう気をもんだりしたり、そういう期間があって、何か、自分が死ぬんじゃないかとか、何か、ドキドキするようなことの目にあったのに、全然実はそれは単なる偽陽性だったという風に分かると言う、そういうデメリットと、あと想像するに、その、精密検診をやることになって、精密検査は当然大腸鏡とかね、結構侵襲性の強い検診方法と言うか検査方法になると思うんで、まぁ、偽陽性だったので精密検査をしたら実はその大腸鏡で苦しい思いをしたり、痛い思いをしたり、場合によっては間違って事故で死ぬこともあるだろうと。そういうことを考えると、若干そのデメリットもあるなと思って気が重いなという気もするわけですね。
受けてなければ、自覚症状に気がついて病院に行って、手遅れであれば手遅れで、手遅れでなければ助かるんで、それでいいんじゃないのという(笑)、そういう気持ちもあるんでね。
だから、あんまり積極的に受けないと。別に全否定してるわけでもないし、だから、否定されるべき検診がほかにも沢山ありますからね。だから、それに比べると大腸がん検診というのは何となくエビデンスはあるような気がするので、受けてもいい部類に入ると思うんです。だからあんまりこう、メリット、デメリットを厳密に評価して、それが、それを結論として確信的に受けないと言っているわけじゃなくて、まぁ何となく受けないでもそんなにこう、損した気がしないみたいな、そういうところで今まで過ごしてしまったということだと思いますけど。

大腸がん検診の語り

肛門から近いところのがんは内視鏡で取れるし、胃を半分とっても普通に食事できるし、大腸がんや胃がんは自覚症状が出てからでも大丈夫というイメージがある(音声のみ)

あと、事実とは、間違っているかもしれませんけど、大腸がんとかって何かポリープで、…わりとこう、肛門から近いとこだと、その内視鏡でやってピュッて取れば、わりとそれで大丈夫みたいな、…ことを聞いたことがあるような気がして。で、胃がんの場合も、その旦那の母親がやったんですけど。で、胃の3分の1だか半分ぐらい取っちゃったんだけど、ま、わりとそのあとも、…あの、ま、途中は大変だったにしても、普通に食事できるように回複しているので、何かその、乳がんとか子宮がんだと、命にかかわるっていう、あのー、恐怖、恐怖っていうかね、怖いものだぞっていうのがあるけど、何か、大腸がんとか胃がんは、ま、でも、亡くなっている方もいらっしゃるんでしょうから、あの、わたしのイメージですけども。…何か自覚症状が出てから行っても、何か間に合うのかなっていう、事前にその、検査を受けることの、それこそメリットが…そんなにあるのかしらっていう。

―― ご主人の場合も自覚症状があって、大腸がん(検診)に行かれたわけですし。

はい、はい、行ったんです。はい、でも、良性ポリープだったから大丈夫っていう。ねえ、結局、がんではないので、今のところ。そんなにしょっちゅう検査しててね、……ま、検査しているから違うっていうことが分ったんでしょうけどね。

大腸がん検診の語り

大腸に症状が現れる病気はいろいろあるが、がんで便が出にくいとかおなかが張るといった症状が出るまでには、がんがかなり進行してしまっている

大腸の症状といいますか、便秘とか下痢とかそういった症状というのは個人差が一つあると。一つは、いろんな病気があって症状を起こす場合もありますけれども、やっぱり食べた物、それから、精神的なストレスを受けて下痢をしてしまったりとか機能的なことのほうが多いわけです。腸の動きとか動きのバランス、それから吸収のバランスが崩れるとやっぱりいろんな症状を引き起こしてしまうということのほうが多いように思います。
実際に大腸がんができて、腸の壁にできるわけなんですけれども、かなり大きくなって腸の中を詰まったような状態まで大きくなった場合に関しては、便が出にくくなったりとか、おなかが張ったりという症状が出やすいと思います。それだけ大きくなれば、だいたい表面がただれてきて潰瘍(かいよう)を起こして、そういったがんっていうのはかなり根を張ってきているがんですので、それを進行がん、典型的な進行がんということになってまいります。ですから、それだけ大きくなってからやっと初めていろんな症状を起こす場合も多いので、小さい大腸がんができても症状はなかなか出にくいというのが現状です。

大腸がん検診の語り

便が細くなる、軟便になるということ以外、おかしいところはどこもなかった

―― ほかに、あのー、今、まあ、その便の関係の自覚症状っていうか、あの、血はだいぶね、こう、あったっていうことなんですけど、ほかに何か思い当たるような症状というか、おかしいなっていうことはありましたか?

うん、だから、その便が細くなってたのも、これ典…――後で、あの、誰、先生に多分言われたと思うんや
――「あんた、便が細くなるっていうのは、これ、典型的な大腸がんの症状ですよ」って言われたと思います、後から。で、そう思ったらそうなんやけども、そのときも、あの、急に細くなるんやったら「あ、おかしいな」と思うんですけども、毎日、毎日、ちょっとずつ、ちょっとずつ細くなってきてますんでね、もう、気が付きませんわね、本人は。細い、そのこと自体にね。うん。で、がん、がん…「がんと違うかな」疑い持ってたら、「あ、血液も出てる。便も細くなってる」って思って、あ、これ、典型的な大腸がんの症状ですからね、すぐ気が付くんやけど、「私はがんになるはずがない。人はなっても私だけはならへん」って思ってたから。うん。

―― はあ。ほかに、じゃあ、その、体調が悪いとかそういうことは?

全然ないです。まるっきりない。

―― もうその便、便の問題以外は。

以外、便とせん…便の太さと、で、まあ、やわらか…軟便ですね。便が軟らかくて細いのと、それからー…何でしたっけ? あのー、潜血か。あの、血が混じっ…あの、便に血が、こう、巻いたり、鮮血がパッと出る以外は、もう何にも全く快調で、お酒もおいしく飲めるし、食事もおいしいし、もう、それ以外の異常は感じたことないです。

―― 貧血なんかで引っかかることもなかった。

全然、ない。ない。はい。

―― はあ。

はい。

―― ほかのところも、もう全部……

貧血はかかったことない。

―― 検査なんかも全部大丈夫だった。

うん、もう、はい。コレステロールとか中性脂肪とかは、ちょっともともと高かったんですけども、それとγ(ガンマ)GTP、これもアルコールのせいやと思うんで、それ以外は全く正常でした。で、体調も全く異常なくって。はい。