月別アーカイブ: 2023年4月

医療的ケア児の家族の語り

制度やサポートについて行政に訴えるときには、なぜ必要なのかがわかるように情報を客観的に整理して伝えることが大切だと思う

当時住んでいた埼玉県で、障害のある子供にヘルパーを派遣することがなかなか認められなかった。その地域で初めて認めていただいた、第1号だと思うんです。

お役所の方に、意見を伝えなくちゃいけないときっていうのは、ありがちなのが、お母さん1人で行ってしまって、窓口で号泣しちゃうんですよね。
泣いてしまって肝心なことが何も言えないで(笑)、帰ってしまう。

ぜひ、伝えたいことや伝えたい内容を、整理して、必要であれば紙に書き出す。
私の場合は、ヘルパーさんが必要ってお伝えしたとき、なぜ必要なのかが相手は分からないので、娘を連れて行ったり、一日に必要なこと、なぜこれが必要なのかをタイムスケジュールで示しました。

こういうことを自分たちはやっているんだけど、この時間帯にはこういう人がいない。
でもきょうだい児がいればこういうこともある。
また、娘の体調は常に変化する。
だから、ぜひ何らかのかたちで支援することができないか、一緒に考えてほしいって伝えました。

いろんな感情、混乱することたくさんあると思うんですけれど、整理する時間を持つことも大事なのかなと思います。

医療的ケア児の家族の語り

療育センターの入所は医療的ケアを理由に断られ、居場所がないと思っていたが、越境して通える療育があることをSNSで知った

今使っている医療、育てる上で必要な社会資源っていうのは、行政から紹介されたものではありません。
結局インターネットで収集したり、同じような医療的ケアを行っているお母さんと個人的なつながりをSNS等で持って、そのお母さんから情報を得たりしたものです。
私も以前はブログというものをして、匿名で発信をしてたんですけれど、そういったブログ仲間から収集して得た情報でやっと利用にこぎ着けたというものですね。
まず、その利用にこぎ着けるまでが非常にハードルが高かったです。

最初、居住地域に行くべき療育センターがあったんですけれど、医療的ケアを理由に利用できるかこちらで判断させてください、対応できなければ利用できませんっていうふうに、半ば断りみたいなものが入りまして。

もちろん大学病院の主治医の先生には、療育に通ってもいいというお墨付きがあったり、診療情報提供書は、紹介状は出せるということで、自信を持って行っていいということだったんですけれど。
当時は法律もまだ整備されてなくて、医療的ケアを理由に断られてしまったという、1カ所目が断られてしまったという経緯がありました。

どこにも通えなくて、学齢期になるまでどこにも居場所がないのかなと思ってたんですけれど、同じような境遇のお母さんからSNSの情報をもらって、市内の越境をする形で療育センターに問い合わせをしました。
するとこちらは「では、初診いつにしましょうか」って二つ返事で言ってくれて。

そのときに医療的ケアのある子を育ててて初めていいことがあったかなというか、悪いことしか今までなかったので、いいことの初めてがそれだったというか。
ちょっと理不尽な目に遭い過ぎてて、当たり前のことなのかもしれないんですけれど、それが一番うれしかった最初のことですね。

医療的ケア児の家族の語り

退院時のカンファレンスで、自分だけ制度や流れが分からず置いていかれる気持ちでいたとき、先輩ママがアドバイスをしてくれた

退院してからの1日の流れが全く分からないまま、話だけが進んでいくんですよね。
何曜日にどこどこステーションさんが来ますとか、毎月何曜日に訪問医が入りますとか。

制度が固まるんですけれども、私どうしてればいいのかしらとか、何をしてくれるのかしらというのが分からないまま、自分だけ置いていかれて、制度のほうがこうどんどん固まっていくという期間がありまして、そこのギャップを埋めてくれたのが先輩ママたちです。

で、ありがたいことに、病院で4人部屋だったんですね。
4人のうち3人が呼吸器が付いていて、ナースステーションのいわばアリーナ部屋(笑)。もう歩いて3歩ぐらいのところの、一番、近いお部屋に最重症児がみんな入院してるんです。
そこで知り合ったお母さま方が訪問看護さんはこういうことをしてくれる、ヘルパーさんはこういうことをしてくれるから、お母さんはこういうふうに要求をしなさい。
こういうふうに困ったときはここに言いなさい、と全て教えてくださったのが先輩ママたちです。

あの方々との出会いがなければ、もういつまでも卵の殻の中から出られず、もう鬱々(うつうつ)とした、これからどうしようというふうに思う日々が、きっと今でも続いてたんじゃないかなと思うぐらい、在宅の世界を明るく照らしてくれたのがママたちですね。

――今でもママ同士のつながりっていうのは何かあるんですか。

もちろんです。みんな家から出られませんので(笑)、リアルに会うっていうことは(笑)ほぼないんですけれど。LINEでつながってます。
あとは「誰々ちゃんが今、検査入院してるらしい」と。
「え、うちも、うちも」みたいなことになると、病院の近くの焼き肉屋さんで、ランチ焼き肉食べたりとかですね(笑)。
お母さま方してるみたいで、そのときの様子が写真で送られてきたりとか、するので。

離れていても、夜中にね、医療的ケアしてるのは自分だけじゃない、呼吸器の音を耳をダンボにして聞いてるのは、私だけじゃないっていうふうに思えるのは、彼女たちがいるからです。
そのお母さま方の絆は非常に深くてですね、いい人しかいないんですよね、その(笑)ママたちって。

ほんとに気がいいかたがたばかりで、何でしょう、ソウルメイト。
そうですね、その言葉が一番しっくりくるかなと思うんですが、損得なしに何でも相談し合えるお母さまのネットワークに入れさせていただいたということは非常に幸せな、幸運な病室の、ひとときを過ごさせていただくことができました。

医療的ケア児の家族の語り

呼吸器を載せられるバギーやベッドサイドの棚を探したが、耐荷重や動作確認の保証がされた製品がなく困った(音声のみ)

一番最初に困ったことが、GCUから退院するとき、そのときは吸引器だけだったんですけど、市販のバギーになかなか載らなかったことです。荷物が多くって。
その後、すぐに呼吸器を付けることになって、また呼吸器を付けるってなると、呼吸器が入るバギーがなかなかなくて、すごい苦戦したんですね。

ひとしきり呼吸器をつけて退院していった人はどうしてるのかとか、病院で話を聞いたり、実習で一緒だったママに聞いてみたりとかもしたんですけど、ネットで情報を見たりとかもしましたが、なかなかこれと思う物もなく、すごい困ったんですよね。

おんなじように退院していく(とき)、呼吸器があれば、大体、載る物とかも一緒やし、耐荷重とかも同じなのに、もういちいち自分で探さないといけない。もう情報も1つにまとまってない。
一体どこを見れば、この情報が手に入るねんっていうことも、全くどこにも載ってないので、もう自分でこうじゃないか、ああじゃないかって探しながら、こうできるかなとか工夫しながら今やったんですけど、そのときは。まあ、ほんとに情報がない。

市販のバギーでも、そういう医療的ケアのある子向けのバギーをもう少し開発してもらうとか、こういうふうな子どもたち向けに助成をこんだけ下ろすよとか、やっぱりそういう情報がないと困るなって思いました。

――ちなみにどういう解決をご自身でされたんですか。

私は海外製のバギーを買って、結構容量が載る、耐荷重も載れそうな物を探して、病院で呼吸器借りて、お店に持ってって載るかなとかいちいちやってみて。
下の台のところにプラスチックで補強をDIY専門店とか行って、自分でDIYじゃないですけど、やってみたりとかしたんですけど、それで何とか解決して、思うぐらいのバギーにはなったんですけどね。

でも、それまでの過程がほんまに大変やったんで、もうおんなじやと思うんですよ。載せるもんって。なので、このバギーならこれ載せられるよみたいなのが、もう市販で決まっていればいいのになって思ったんですよね。

ピジョンさん(子ども用品メーカー)かなんかは、呼吸器を載せられるように下かごを改造したバギーを出してはるみたいな話あったんですけど。
ただ、それも医療機器を載せるっていうのと、その耐荷重問題から安全は保証できませんとかって一文が添えてたりとか、もちろんオプションなので普通のバギーよりも高くなったりとか。

医療機器載せるから、動作の保証はできませんとか一文載せないといけないとかも分かるんですけど。
だけど、絶対的に載せないといけないもんなので、動作確認とかちゃんとしたもん作ってくれよって思いました。それがすごい困ったし。

ベビーベッドとかも呼吸器を置くってなったときに高さの問題とかで、どうやって置くかとか、結露の問題とかもあるので、息子のスペースをおうちで作るっていうところが、非常にそこも苦労したところで。

もしも呼吸器のこういう子向けのベビーベッドが、こんな便利なのがあるよみたいな、オプションこうやって付けれるよみたいなのがあるんだったら、みんなそれをきっと買うだろうと思います。
でも、そういうのも売ってないので、また一からこう自分でDIYしてみたりとか、ほんとにそういう作業が大変で、もうそこに手取られて退院できひんのちゃうかっていうぐらい、時間がかかったところでもあって。

業者さんとかが入って、こういうオプションで、こうやって付けられたらこれを売り出しますってやれば、それだけで済む話なのに、全然そういうのが整ってないし、確かにニーズは少ないんですけど、整ってなさ過ぎて大変困りました。

医療的ケア児の家族の語り

相談支援専門員をつけてほしいと希望したが、障害児はサービスを使う年齢ではなく親でもできる範囲だからと断られた(音声のみ)

自分も社会福祉士であり、そのコーディネーターさんも、最近付けた人も精神保健福祉士っていう方だって、同じフィールドの方なんです。

結局、就学のこととかもあるし、いろんなサービスを変えるっていうときにも一から、自分が調べていくのも大変だから、ある程度情報を持ってる人に、こういう意向でねって話すほうが、楽やなと思ったので。
そういう障害児の居宅訪問支援員(相談支援専門員)みたいな制度があって、それを付けてほしいって市役所に言いに行ったんですね。

ほうしたら、障害児はサービスをまだまだ使う年齢じゃない。限られてるサービスを使うのが。
大人だと作業所行ったりとか、社会に出るタイミングが結構あるけど、一般の保護者の方が一からその作業所を探してとかっていうのなかなか難しいから、障害者にはそういうプランナーさんみたいな人が付いたほうが望ましいってなってるみたいなんです。
でも、障害児は多分そういうのがまだ少なくて、保護者でも管理できる範囲の話やからコーディネーターさんを、支援員を付けられない。

っていうのも、障害児とその支援員の数やったら、支援員の数が圧倒的に少なくて、全員の障害児にその支援員を付けられないから。
だから支援員を付けたいどんな理由があるかとか、保護者がどういうことを望んでて付けたいのかとかっていうところを聞かれて、それで受けてくれる人がいるかを当たるって市役所は言ってはったんですね。

言ってみると、日本の福祉制度自体が障害者メインで障害児はまだまだ、置いてきぼりというか、障害者をまずプラン作ってやっていこうっていう考えなので、なかなかその障害児まで手が及んでいない。

なおかつ、障害児を見れるそういう知識のあるコーディネーターさんも、なかなか少ないっていうところで、希望者全員が、障害児のコーディネーターにたどり着けるわけではないっていう状況みたいです。

ただ、今後も必要になってくるから、やってほしいんだってことを訴えていったら、それを受けてくださる事業者を見つけてはくださったので、いないことは多分ないんです。
けど、もう満杯やったりとかもあるので、なかなかスムーズにそういう人が見つかるかどうかも、地域とか特性によっても違うかもしれないです。

医療的ケア児の家族の語り

行政から医療費の助成などを受けることができたが、申請窓口は別だった。用紙記入、医師の診断書などの準備も負担があった

子どもが生まれたら、一般的な役所への出生届から始まるんです。
そこから子どもが重い疾患があって、小児慢性特定疾患というのに該当すれば、申請して、(医療費助成を)取得することができるんです。

けれども、それの管轄が役所ではなくて保健所なんですね。
政令指定都市であれば、大体、役所と同じ敷地内にあったりするんですけれど、そうでなければ、保健所のほうに行かなければいけない。
結構、保健所って地域で場所が少なくて、幾つかの市町村で、1箇所って管轄があったりするんですけど、そういうところに行ったりとか。

更新とかは、郵送でも大丈夫なんですけれども、まず申請するのに、場所がちょっと遠かったりする場合もあります。
あとは先生に、必要書類を書いていただかなきゃいけなくて、そこでまあまあな金額が取られてしまうんですね。

申請が通れば、ものすごく恩恵はあるのは理解しているんですけど、まずそこで結構、書類代が(かかるし)。
用紙を記入しなきゃいけない、出さなきゃいけないっていうところもあります。

次に、取得したのは、障害者手帳です。そこも今は割と通りやすいとは思うんですけど。
昔であれば、まだ子どもが小さいので、お医者さんから「まだ早い」みたいなことを言われてしまったり、役所のほうで「前例がない」って言われてしまって、なかなか申請まで届かないっていう話も、以前はちらほら聞きました。
最近は割と先生もスムーズに書いてくれて、っていうところですね。

障害者手帳を取ったらそれの等級に応じて、付随して受けられるサービスがいろいろあるんですけど、ただ、サービスも冊子を渡されて、該当するものを探して、自分で連絡を取ってくださいっていうふうに言われてしまったので。

こちらは正直、子どものケアでいっぱいいっぱいで、時間も気持ちも余裕がない中でこう、自分でやってくださいって投げられてしまうと、突き放されたように感じて、そのときはとてもさみしいというか、つらく感じていました。

デイサービスに通いたいと思ったら、支援員さんをやっぱり自分で探してくださいと一覧を渡されて、自分で小児を扱ってくれているところを探して、電話して断られたりとか、そういうこともありました。

医療的ケア児の家族の語り

病院のソーシャルワーカーに退院後の支援について自分で役所に問い合わせるよう言われ、いろんな部署を回って大変な思いをした

息子が入院してた1つ目の病院のソーシャルワーカーさんが、最初必要な書類とか、どうやったらその書類が申請できるとかっていうのを、もう手取り足取り説明してくれて、それが当たり前っていうふうにだんだん感じてしまって。

でもこちらに転院してきて、2つ目の病院でのソーシャルワーカーさん。
今度は、実際に今後退院してったらどうするかっていう相談のときに、「私には分からないので、ご自身で区役所に問い合わせてください」っていう返答でした。

実際に自分で区役所に問い合わせてみたら、いろんな課にまたがっていて、1つの情報を得るのにいろんな人に、たらい回しじゃないんですけど、いろんな課に行ったり、いろんな人に言ったりで、聞く人によっては回答が違ったりとかして、すごく大変で。

最近になって知ったのですが、そういうのをいろいろやってくださる相談員さんっていう方がいるそうなんです。
本来はソーシャルワーカーさんが相談員さんを見つけてくれて、そこの相談員さんの人は、区役所とか(公的サービスの)アレンジをしてくれるというのを聞いて。

私は全くそれを知らなかったので、結局相談員さんがやるようなことを全部自分で区役所やデイサービスに問い合わせて、訪問看護ステーションに聞いて、全部自分でやったので。
そこを相談員さん、ソーシャルワーカーさんがもうちょっと情報を持っていて教えてくれたら助かったなっていうのがあります。

医療的ケア児の家族の語り

一時的にストーマをつけた我が子は制度の狭間で、必要な支援が受けられなかった。病院も一緒に問題点を発信してほしい(テキストのみ)

期間限定で医療的ケアが必要になる子っていうのは、今この医療が整ってきている中でたぶん多くいる。その子たちっていうのは大体福祉の制度の隙間にいる。
だけどその子たちは、一時的な医療的ケアが終わるともう次のステップに行き、次の生活も大変だから、そこを振り返って発信していく余裕もないと思うんです。

仮にあったとしても、多分そのケアでいっぱいいっぱいで、外に発信も難しい状況なので、声を上げていくしかないんです。
でも、それをどこが受け止めてくれるの?っていうのもあって、結局私はいろんなところに発信しました。
議員さん、町長、福祉課、役場、厚労省、患者会何個か。

そこでようやく、「あ、こんなことがあるんだ」って、「あ、そんなことがあるんだ」って、みんなうなずいてはくれるんです。
でも、じゃどうするのっていう話で、医療的ケア児を取り巻くところって、病児もおんなじなんですけど、窓口がばらばらじゃないですか。

病院もそうだし、国の管轄で言えば、厚労省、文科省でも違うし、学校関係のことは文科省、厚労省でまた変わってくるし、福祉のことに関しても、障害のある子は福祉課なんだけど、小児の通常の医療費に関しては子育て支援課、全部バラバラなので困る。

結局定型にはまらないっていうのがそういうこと。
お母さんたちには発信はしてほしいんだけど、今日こうやってインタビューを聞いてくださった方がいるように、どこかの医療機関の方が医療の立場で受け止めてくれて、発信してほしいなって思います 。

なぜそう思うかというと、結局病院のケースワーカーさんがそういうことに機能していないからです。
病院のケースワーカーさんに、「ストーマです。何か受けられる手当はありますか」「ありません」、おしまい、みたいな。
あの、「特別児童手当も却下されたんですけど」「そうですか」、おしまい(笑)。
「何とかこのストーマの袋代って何とかならないんですか」「いやー、結局動くのは行政なんで」、おしまいみたいな。
せっかく病院って声が集まるところなのに、ソーシャルワーカーさんからしてそういう姿勢なので。

結局うちみたいに、ストーマの後に心不全になりましたと(なると)、それはもうすごい説明が早いんですよ。
「小児慢性特定疾患を申請できると思いますから聞いてみてください。障害者手帳は先生と相談してみてください。特別児童手当は、これですね」って。
その型にはまってるものは、それなりに普通に話してくれるんです。
でも、型にはまらないものに関してはもうそれ以上のこと関わってもくれないから、病院としても(わからない部分も)あるとは思うんですけど。

いろんな病児のお母さんたちとつながる中で、同じ状態であっても、特別児童扶養手当が受けられる・受けられない、障害者手帳を申請できる・できない、申請しても却下される・されない、もう住んでるところ、先生の診断書で全部バラバラ(とわかった)。
結局うちは抜け落ちてしまったほうなので、そんなことに不満・不平、お金のことを悩むくらいなのは、これから医療が発達して助けられる命が増えていく中で、すごい残念な状況だと思うから、もっとその状況を知ってほしいし、動いてほしい。
母親が動く元気は、もう発信するので精いっぱいです。

医療的ケア児の家族の語り

支援の必要性を理解しない担当者に敵意を抱いたこともある。親切な人もいるが積極的に情報を取りにいかないと誰も教えてくれない

嫌な経験というか、息子を見に来た役所の人が「この子がこんなに大変なのになぜお母さんは働かなきゃいけないんですか」と言われたことがあります。
バギーの日傘が必要だったときに、なんかすごく言われたこととかあって、それに対して、ものすごく頭にきて言いに行ったりとか。

役所の人が来たときに、本当に頭にきたから、息子をずっと抱かせておいたんですよ(笑)。
抱かせたまんま私は話をするんです、下ろすなよって思いながら。
その子どもの重みとか体感とか(を通して)、空想とか絵空事の話じゃないんだ、今、この命をどう育ててかなきゃいけないかを私は考えてるんだっていうことを言葉にするより早かったので。
そういうことをして簡単な仕返しをしたり。

――お住まいの地域は、比較的、制度は整っているほうっていうふうに考えてよいですか。

制度としては整ってるし、使えてる人が使っているのでものすごくいいなとは思っているんですけども、紹介の知識として、仲介役の人がやっぱり手薄になっているかなって思ってるところがあります。
行き届く人には行き届いているけど、積極的じゃない人に対してはやっぱり手薄になってしまう。

こういう制度があるんです、使ってくださいじゃなくて、「こういう制度をあなたのご家庭ではこういうふうに使えるんじゃないですか、そうすると家族の負担がこういうふうに減るんじゃないですか」って、そこまで提案できる方が少ないような感じはします。
なので、知ってる人だけ得をするじゃないけど、そういう部分はもしかしたら出てるかもしれないですね。うん。

――先ほど、バギーの日よけを購入したかったときになんか腹が立ったっていうのはどういう経緯なんですか。

バギーは申請のお金のその上限の範囲内で出せるんだけど、バギーの日よけは実費なんですって。
だから、その実費のところと実費じゃないところのあやふやさにちょっと、いらっとしていたというか。いや、大したお金がじゃないんですよ。
今、考えるとそんな3,000円とか4,000円ぐらい自分で出せばいいのに、もう何もかも敵みたく思っていたと思う(笑)。うん。

医療的ケア児の家族の語り

制度の名前が似ていて、自分の家に該当する制度がどれなのかが全くわからない。一人一人にあった制度の情報を提供してほしい

制度は何であれもう、ちんぷんかんぷんですね。
いろいろあるみたいですけど、当事者にとっちゃあ、ただ分からないの一言です(笑)。
きちんと一つ一つ調べて「これはこうじゃない?」っておっしゃる頭脳明晰(めいせき)なお母さん方もいっぱいいらっしゃるんですけど。
ざっくりした人間からしたら、この制度もあります、あの制度もあります、この制度もって、たくさん用意してくださってるけれども、よく分からないと、ほんとにそれ一言です。

なんで分からないんだろう。そこが何とかならないのと。
使う人が分かりやすいようにしてほしいですよね。

いろんな制度用意してくださってますけど、縦割りで横につながってないですし。
せっかくAIの時代になってて、やりようはあるんじゃないかと思うんで、1人の人に対して、これがポンと使えるって出していただきたいです。

だから(今は)運のようにして、使える制度に巡り合うっていうところもあってですね。
この人に聞いた制度があるから、「もしかしてこれうち使えるんですか」って聞いてみたら、「ああ、使えますよ」って出てくるとか。
そういうのじゃない仕組みづくりをしていただきたいなーっていうのは思います。

いろいろ、ご用意いただいててほんとに助かってるんですけれども、その使い方とかアクセスの面で、もうひと工夫していただけたら。
相談支援員さんって間に立ってくださる方もいらっしゃいますけど、相談支援員さんも相性があったりっていう話も聞くので、そこ頼りではなくてですね。

1人1人がポンと使いやすい制度、見える化した制度、分かりやすい言葉で言ってくれる、漢字を少なくしてくれる、はんこいらなくしてくれるっていう、そこら辺のちょっとした工夫が非常に助かるように思います。

――確かに全部名前が似ていて、どれがどれだか。

外国の方はどうするんだと思いますね、あんな全部漢字で書いてて。