認知症本人と介護家族の語りデータベース

研究事業名 平成21~24年度科学研究費補助金 基盤研究B
研究課題 認知症本人と家族支援のための「健康・病・介護体験の語り」Webサイト
の構築と評価
研究代表者 竹内 登美子(富山大学大学院医学薬学研究部)
研究体制 下記別表

研究の主旨と進捗状況

厚生労働省の推計によると、平成22年の認知症の全国有病率は15%で439万人です。また、今後認知症を発症する可能性のある軽度認知障害(MCI)の全国有病率は13%で約380万人です。この数値はあくまでも65歳以上の高齢者についての推計値であり、わが国全体の認知症有病率の実数は未だ把握されていません。

また、健康問題だけでなく雇用不安をも抱える若年性認知症を含む認知症の人が、どこでどのような暮らしをしながら、どのような医療・介護サービスを受けているかといった実態も十分には把握されていません。

このような状況の中、認知症の人やその家族が抱える不安や悩み、そして介護者の負担は増大し続けており、「認知症本人とその家族に対する支援」に関する研究は、非常に緊急度の高い重要な課題だと考えています。

研究代表者である竹内は、老年看護学を専門とする大学教員です。
共同研究者には精神看護学、社会学、薬学、臨床心理学、老年医学等の専門家がおり、認知症の人と家族の介護体験をとりまく個別的状況や、各地の文化に対応した思考プロセスを掘り下げて、深まりのある質的データとして提示できるように話し合いを重ねて、認知症の語りデータベースを構築しました。

最終的には7人の認知症本人と35人の家族介護者の協力を得ることができました。

言葉が消えていく不安感、昨日まで出来ていたことが急にできなくなる事に戸惑う家族の思い、そのような状況だからこそ強まった絆等、認知症の人や共に暮すご家族の日常が胸に迫ります。

表情や声の調子等の情報が加わった語りは、同じような状況にいる人々や、高齢社会の新しい文化を創造しようとする人々に、多くのヒントを提供してくれることでしょう。

早期に病気と向き合い適切な対処がとれるようになること、早期治療や介護サービス利用等に向けた意思決定の助けになること、更には一般の人々の認知症に対する偏見が改善することも期待しています。

今後はデータの二次利用を通して、学術研究や保健医療教育を支援したいと考えています。

研究体制(平成21~24年度)

区分 氏名 所属・職(専門)
研究代表者 竹内 登美子 富山大学大学院・教授(老年看護学)
研究分担者 新鞍 真理子 富山大学大学院・准教授(老年看護学)
共同研究者 青木 頼子 富山大学大学院・助教(老年看護学)
  〃 青柳 寿弥 富山大学大学院・助教(老年看護学)
  〃 堀田 美沙 富山大学・大学院生(老年看護学)
  〃 長江 美代子 日本赤十字豊田看護大学・教授(精神看護学)
  〃 岡本 恵里 三重県立大学・特任教授(看護倫理学)
  〃 後藤 惠子 東京理科大学・教授(薬学)
  〃 澤田 明子 いわき明星大学・臨床心理士(臨床心理学)
  〃 佐藤 りか DIPEx-Japan・事務局長(社会学)
  〃 射場 典子 DIPEx-Japan・理事(成人看護学)
  〃 堀内 ふき 茨城県立医療大学・教授(老年看護学)
  〃 長瀬 清香 高山赤十字病院・看護師(認知症認定看護師)
  〃 保住 功 岐阜大学大学院・臨床教授(神経内科・老年学分野医師)
  〃 高田 知二 岐阜県立多治見病院・精神科部長(精神科医師)
  〃 別府 宏圀 DIPEx-Japan・理事長(神経内科医師)
  〃 小澤 和弘 岐阜県立看護大学・講師(看護情報学・工学)
  〃 隈本 邦彦 江戸川大学・教授(メディアコミュニケーション)
  〃 田中 敦子 医療法人八誠会守山荘病院(精神看護学)