投稿者「dipex-j」のアーカイブ

乳がんの語り

HER2陽性だったので、再発に際してハーセプチンが使えることはわかっていたが、非常に高額なので、医師にまず費用のことを相談した

まず、一番最初に、ハーセプチンが使えるっていうのはもう情報として持ってたんで、「これは、ついにハーセプチンだね」っていうことで。
で、そのときに出てきた問題が、まあ、まず再発はもう仕方がないからやっつけたいんだけど、私は、一人暮らしで、働いていて。保険、民間の保険に全然入っていなかったんですね。だから、高額な…非常に抗がん剤、高額ですし、ハーセプチン、またとってもお高いですから、それをやるに当たって、「どれぐらいの費用がその間、必要になるのかっていうのは、お金じゃないのは分かってるけど、まず教えてほしい。集めないといけないので、お金をいろんなところで」(という相談をした)。

乳がんの語り

健康保険から出る休職手当(傷病手当)が3ヶ月で切れてしまうので、抗がん剤治療と放射線照射を並行して受け、抗がん剤治療がまだ1回残っている状態で復職した

あまり長く休めないので、普通は、抗がん剤と放射線治療っていうのは重ねないらしいんですけど、私はもうそんなに休んでられないないし、放射線、毎日って聞いてるから、「もうやっちゃってください」っていうことで、一気に全部やってもらったので。放射線のほうはちょうど休職の最後の最後で終わってましたし、で点滴は、あと1回残す感じになってました、最後の最後が。最後もう、かなり重ねれば重ねるほど副作用って重複されてくるので、しんどくなってくるんですよね。で、かなりきつかったですけど、最後は点滴受けてから仕事に行くみたいな形だったので。
家にいても仕方がないですし、逆に、まあ、しんどいといえばしんどいんですけど、寝てるからってしんどくないわけではないんで、動けないということであれば仕方ないんですけど、動けたら、まあ、1日も早く普通の生活というか、仕事をしたいと。休職の期間でも、えーと、何ていうかね。休職手当。健保のほうからのが3ヶ月でもう切れちゃったので、それ以上休むとお金もなくなりますからね(笑)。行きましょうといって行きました。しんどいのはしんどかったですけど、病気だからしんどいっていうつもりはなかったです。やはり誰でも、お仕事、しんどいものなんで、まあ、いいかと。

乳がんの語り

再発の抗がん剤治療は、仕事を休まないでできるよう、平日夜間にもやっている隣県のサテライトのクリニックに通った

最初のうちは2週…1週間に1回とかそれぐらいのルーチンだったので、それで休んで病院のほうに行ってた。また私、休むともう有休ないし、クビになっちゃうから、「そこは何とかならないでしょうか?」ということで、夜に行く方法とかないかと。「サテライト的に、もう診断がついてる患者に抗がん剤だけ夜間にやってるところがあります」っていうふうに、その先生が、「僕が担当しています」とおっしゃってくださったので、「そこに、仕事終わってから行きます」って、仕事休まなくてもいいように、まず段取りをつけていただいて。で、えーと「ハーセプチンとタキソールっていう二つの抗がん剤を併せてやりましょう」というところから始めていきました。
えーと、最初ですね、ハーセプチンとタキソール、ハーセプチンの回数が、ん? 2週間に1回かな。で、タキソールが1週間に1回ということで、基本的には毎週毎週、点滴を打ちに行くみたいな形ですね。で、タキソールはちょっと吐き気とかもあるから、先に錠剤飲んでから点滴打ちますという形で、えっとまあ、40分から1時間。
で、夜、職場から、隣の県というか、他府県越えをしないといけないので、定時に退社して1時間半ぐらいかけてその病院行って、点滴を受けて帰ると。8時までに滑りこめば何とかなるので、8時までにとにかく病院に行き着いて、点滴をして、9時ぐらいに帰っていくっていう生活でした。

――お休み、本当に取らずに、ずっと治療された感じなんですね?

そうですね。休みは、しんどいときにちょっと、まあずる休みじゃないですけどね、しんどいからっていうので休んだりはしましたが、その後、ひょっとしてちっちゃい入院とか出てきたら、有休、大事においとかないといけないので、極力使わないように、使わないように、使わないように。休むとしたら半日ぐらいで、みたいな。

乳がんの語り

検診の予約を取った時点で、上司にがんの可能性があることを伝え、その後の経過も包み隠さず伝えたことで、移動の少ないポジションを与えてもらえた

私の場合、やはり、どうするかっていうところも含めて、これは相談をしていこうと思って。検診の予約を取った時点から、信頼のおける上司に、「すいません」ということで、「個人的なお話なんです。たぶん、私、がんだと思うので、これから検診行きます。つきましては、ちょこっちょこっと休みますけれども、よろしくお願いしますね」って言ったら、「そうかあ…」って。「分かりました」っておっしゃってくださって。
いつ行って来ますって言うのも全部、その方には言ってたので、「どうか?」って言うんで、「いや、駄目でした。黒でした」って言ったら、「どうする?」って言うから、「いや、こういうふうな治療受けます」と。で、「治療受けた後、こういうふうなことを言ってます」と。「でも、私は復帰したいです。いいですか?」って言ったら、「ああ、じゃあ、まあ、すぐだとちょっとあれなんで」っていうことで、「ちょうど4月まで、じゃあ、休職していいよ。4月に待ってるから」っておっしゃっていただいて。その間も、ずっと連絡してましたし、「自分がどういう状態である。どういうふうに休む。どういうふうな治療方針である」と。
「つきましては、最低限、これだけの休みは取りますが、それ以外のときは働きます。いいですか?」っていう確認を取ってたので、特に、「いきなりそんなこと言われてどうこう」でもなかったですし、会社側も、「いや、いてほしいんで、帰ってきてください」ということで。同じ仕事やらせてもらうんでも、まあ、移動の少ないポジションを与えてもらったりとかっていう配慮はすっごくありましたので、ありがたかったです。私も全部、あの、包み隠さず言ってましたし。
「もし私の仕事をしている中でのことが、病気であるがゆえに、信頼おけない部分とか、仕事上でここは任せられない部分って出てきたらおっしゃってください」と、「改善できることなら改善できるし、改善できないならば、そうではない、自分自身ができる仕事か、ポジションを探して私も努力するから、そこは私の、続けたいっていう気持ちをくんでくださいね」っていう話をして。だから、それがよかったと思います。最初から全部見ててくださったので。

乳がんの語り

外食が多いので食べものに気をつけるより、ハーブティーを飲んだり、お風呂にゆっくり入ったり、音楽を聴いたり、猫をなでて話しかけたり、ゆったりすることを心がけている

――何か、今、生活の上で気を付けてらっしゃること、もちろん食べ物とかもそうですし、運動とか、生活全般に、何かご自身で注意してらっしゃることってありますか?

「注意してる」というか、「したいこと」なんです。なかなかやはり働いてるとね、続かないので、食べ物も気を付けたいんですけど、外食がちだと選べないときもありますし。
だから、えっとお茶は、まあ、ハーブティー、一般的には「これ、効きます」って言われるやつなんだけど。まずいと飲まないので、一つ飲んで、ずっと飲んでるものが、それは結構おいしい。おいしいっていうか、ウーロン茶チックの味なんですよ。それはそんなに高くもないですし、気休めに飲んでたりします。
あとは、お風呂にはできるだけ時間を取ってゆっくり入るようにしてるし、音楽を聞いたりとか、あとは、動物を飼っているので、猫をなでて話しかけたりとか、ゆったりするようにはしています。で、あとは、楽しいもの。要は極端な話、落語とかも聞きにも行きますし、楽しいことをいつも探して考えるようにはしています。

乳がんの語り

肝転移に対して、抗がん剤と分子標的薬の治療で一度小さくなったが、リバウンドしたため、自ら希望して動注化学療法とラジオ波治療を受けた

ハーセプチンとタキソールをやってたんですけど、リバウンドしました、途中で。(肝臓の腫瘍が)最初5センチから3.7センチくらいまではちっちゃくなってたんですけれども、途中で盛り返されたというか、15センチぐらいになってしまって、これは駄目だな。で、どうしよう、こうしようって考えてたときに、私が「動注化学療法っていうのがあるよね。直接、動脈に(抗がん剤を)入れて。肝臓っていうのはもともと、ものを浄化したりするから、そりゃあ、薬、効きにくいわな。まして、私はすごいお酒を飲むので、肝臓を鍛えちゃってるから、これは駄目なのかもしれないね」っていう話で、「とにかく、じゃあ、動注やりたいんだけど」って。で、「それは、診療科が多分、放射線科のほうがいいでしょう」ということで、放射線科のほうに渡してもらって、「動注化学療法やりたいんです」って。で、「エビデンスがはっきりしないっていうか、ないから、それやって効くかどうか分からないよ」っていう初め、意見だったんですけど、「長々と、ちまちまとやってるよりは、それは直接片付けたほうが早いでしょう。で、私はやりたいんだけど」っていうことで紹介していただいた放射線科のドクターが、「いや、大丈夫ですよ。効きますよ」って簡単に言ってくださったので、「じゃあ、お願いします」ってことで。
と、その前に、肝生検。肝細胞を生検して、元の(乳がんの)細胞とどれだけ違うかって見て、「一応、同じでした」と。「HER2強陽性です」っていうところも調べて。それから動注のリザーバーを鎖骨の下に埋める。で、血流改変っていう手術を受けて。そして、少しそこからよくなってきました。
で、よくなってきて、それでもなかなか、やはり元が大きいので小さくならなくて、3センチぐらいまでになったときに、また私がいろいろと情報を、何か「これはどう? これはどう?」みたいな形で言って、「ラジオ波で焼くっていうやり方、ありますよね。どうですか?」って聞いたら、「ああ、それもいいですよ」っていうふうに言っていただいて。で、それが非常に、資料の中では、「施術は非常に、負担がかからない。簡単で、入院期間も短くて」っていうようなことを書いてあったので。で、たまたま、多発性ではなく1個だけだったので、「もう焼いてください」っていうふうに頼んで。元のドクターにも、「私もう、決着は早いほうがいいと思うし、焼くわ」って言って。で、その動注から1年後ぐらいに、ラジオ波で肝臓の腫瘍を焼いてもらいました。そこからは、非常に成績がよくて、飲み薬の抗がん剤もしばらく続けていたんですけれども、非常に効果が出てきて、数値も出なくなって。焼いたことによる焼き跡っていうの残ってるんですけれども、PETとかで撮ったら、「一応、写ってないよ」っていう状態が、1年半ほど続きました。

乳がんの語り

診察室がいつもと違う雰囲気を感じた。逃げ延びたと思ったら捕まっちゃったというような嫌な気持ちだったが、同時に今後のことを考え始めていた

いつもとね、違うその日の時間の流れっていうのを待ってる間に感じてたので、「これは何か出たな」っていうのが、その間で覚悟が、私、決まってたんですよ。変に勘がよかったんですかね。何となくいつも笑ってくれる、助手さんの顔が引きつってるような気がしたり、「いつもより待ち時間がおかしいぞ」と思って。「こーれは、絶対何か出た」と思ったから、もう顔見た瞬間、分かったので、私のほうから「何か出た?」って言ってしまったので、ドクターのほうが、何とも言えなかったんでしょうね。何か「うん、うん」ってうなずくばっかりだったので(笑)。うーん、逆に、「ああ、これは何かしっかりしないと、気遣わせちゃ悪いや」と思って。「大丈夫だから言ってみぃ。これか?」って言って。けど、それぐらいやっぱり、「大丈夫でいてほしい」ってずっと思っててくださったし、今でもそうですし。だから、ありがたいことだし。本当に何かそんなふうな形で、まあ、どっちがどうってことないんですけど、話ができるドクターと出会えてるっていうのはものすごい幸運なことだなと思うんですよ。

――その画像(検査結果)を見せられて、ご自身としてはどうでしたか? そのときに頭の中でどんなことを?

「あちゃちゃー!」って思いましたよね、やっぱりね。そこまで。後になってなればなるほど、とても怖いことだなっていうのは分かってきたんですけど。「ああ、嫌だなー。またかー」って。多分、逃げて逃げて、やっと逃げ延びたらまた捕まっちゃったみたいな気持ちですよね。ちょうど同じ患者仲間の方と同じその診療のセンターで、よく同じ日に行って、帰りにご飯食べて帰ったりしてたので、(診察室から)出てきて診断ついたときに、まず一番最初に「ああ、再発しちゃった」って言ったら、「えっ!」ってそっちの方が固まっちゃったりしてたので。でも、もう仕方ないですから。出たもんは出てるんで。「どうしよう」っていうことだけなんで。「嫌だなー」っていうのはひたすら思いましたけど、まあ、現実だし、もういくら嫌だって言っても仕方がないし。で、「嫌だ、嫌だ」って思うことと同時に、「どうしよう」っていうのをもう考え始めてたので。仕方がないです。本当に。

乳がんの語り

キノコ系の健康食品を飲んでいた時期があったが、再発したのでやめてしまった

えっと、キノコ系のやつはちょっとやってたことがあったんですけど、それもどこまで効いてるのかは定かじゃないですよね…。実際のところ、分からないですよ、それ。で、再発しちゃったのでやめちゃいましたし、効いてたかどうかは分からないです。ただ安価だったのと、両親がそれ、もうあんま高いもの、あの、買ってくるの嫌なので、「じゃあ、これ」って適当な値段の、数千円のものを言ったら、せっせと買ってきてたから飲んでただけなんですけど、再発しちゃったのでもうやめています。
で、そういう特別な代替療法っていうのじゃないんですけども、普通にビタミンとか、あと、クロレラチックな、ちょっとした、一般の人が飲んでるようなサプリメントは、1~2種類は飲んではいますけど、特別にこの病気の代替療法っていうのは、今のところは特にはしてないです。

乳がんの語り

ホルモン療法中は空気を吸っても太るかと思うくらいどんどん太ってきて、ホットフラッシュ(火照り)やイライラもあってしんどかった

しんどかったですね、そのホルモン剤に替えてからは。書いてある通りの動悸がしたりとか、ホットフラッシュっていうんですかね。汗が出たりとか、むくみが出たりとか。あとすごく太り出して、何が嫌だったって12キロぐらい太ってしまって。ああ、もう急に、水を飲んでも太るとはこのことかと。寝る前に量って、朝起きたら太ってるとはどういうことか、ぐらい、どんどん太ってきて、本当につらかったですね。どうにもならない。食べなくても太るし。空気吸っても太るんじゃないかなと思うぐらい太り始めて。
あとは、そのホットフラッシュっていうのが、本当に突然、パーッと暑くなって、汗がどんどん出て、真冬にふぶいてるときでも、いきなり一人、真っ赤な顔してふうふう言ってて。だから、いつも小さな扇子を持ってたりとか。皆さん、それはおっしゃるんですね、ホルモン療法されてる方が。ホットフラッシュはつらい。
のぼせたりとか。ちょっといわゆる更年期障害の症状ということで、イライラが出たりするっていうのがあって。イライラしてるときに、「あ、これー、もしかして副作用?」ぐらいの余裕のあるイライラだったからよかったんで、自分を抑えられないほどでもなかったですけど。何か、症状というには不快なんだけど決め手がないような症状が続くっていう、随分しんどかった覚えがあります。

乳がんの語り

放射線治療が終わって1ヶ月くらいしたときに、風邪をひいたような、肺が痛いような気がしてレントゲンを撮ったところ、軽い肺臓炎(※)と言われた

えっと、鎖骨のリンパ取ってるところなんかは、骨のほうもちょっと中が、痛いような感じで。それは、放射線による、何でしたっけね。ん?軟骨がちょっと炎症起こすのかな。何かそういうことを言ってました。その後、風邪を引いたときにちょっとひどくなったら、それは風邪じゃないと。「肺臓炎」って、(放射線が)肺をかするので、「肺臓炎」っていうのもあるんだっていうようなことも説明されました。
それから、「放射線の影響ってすぐ出るとは限らないんです」っていうようなことが説明であって、えっと、ちょうど例えられたのが、火山のマグマみたいなのが地下でグツグツグツってして、表、何もないように見えても、後でグツグツグツって上がってくるように、下に、グツグツと、「放射線の影響でたぎっているとこがあったら、ひどい人だと何年か経って出てくる人もいるよ」みたいなことを聞いたので、なかなかやはり大変なものなんだなとは思ったんですけど。

――肺臓炎になられたのは、じゃあ、終わってからしばらくしてからだったんですか。

放射線治療が終わって、1ヶ月ぐらいしたときに、「ちょっと肺が痛いかもしれないんだけど」ということでレントゲン撮ったときに、「軽い肺臓炎です」と。「10人に1人(*)ぐらいの確率ですね。大当たり」とか言われて、要らなーいとか思ったんですけど(笑)。

*日本乳癌学会の診療ガイドラインでは、放射線肺臓炎の発症率は乳房温存術で1.0%程度、乳房切除術では2.4%程度とされています(日本乳癌学会編「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン3放射線療法2005年版」)。