あの、「目を閉じて、左足の輪郭が描けますか」の、あのときです。…あれ、衝撃でしたね。痛いとは思ってたんですけど、それ以外あんまり。痛い、動かないは思ってたんですけど。
――目を閉じたら。
閉じたら、左足がそれこそ消える。自分の、これ説明するの難しいんですけど、自分の指先がどこにあるのか全然わからない。膝下がもう、消えてる。…「えっ?」って。ただ痛みだけがなんかその辺にある。あれはびっくりしました。
――目を開けてたときには、あんまりそういうふうには思ってなかった?
目は、そうなんです。気づかないんです。
――ああ、そこが痛いみたいに。
そう、そう、そう。あの、目開けてるとき、足、普通にあるので、そこが痛いと思っているんですけど。普通、目を閉じて、足がどこにあるかなんて考えないですよね(笑)。で、目を閉じると、まあその、まあ痛みとしてはあるので、左足が痛いというふうにはずっと思っているんですけども、「目を閉じて足の輪郭が描けますか」と聞かれたときのびっくりは今でも覚えてます。
――じゃ、それがないから、当然立ったり。
そう、そう、そう、そう。それなんですよ。当然立つことも、動かすことも、支えることも、まあできない。こう、見ればあるんですよ。だけど、ね。だから見て、何とかこうやってみようとするんですけど、目を閉じてということは、要するにそこから情報ですよね、視覚以外の情報が全く返ってきていない状態ですよね、目を閉じて、ないということは。目を閉じて、ないものは、ないものを使って歩けるわけがない。あるとすれば…、という感じですね。