診断時:65歳
インタビュー時:68歳(2014年1月)
首都圏で妻と二人暮らし。長く銀行員として勤め、現在は企業コンサルタントとして、様々な会社で役員や相談役を務めている。50代から前立腺肥大の治療を始めたが、PSA値が下がらない状態が続いていたため、定期的に検査を受けていた。細胞診を2度受けたが、がんは見つからず、そのまま8年ほど経過。一度ちゃんと調べたいと思い、遠縁の医師を頼って採取本数を増やした3度目の細胞診を受け、その結果がんが見つかった。医療コンサルタントの友人に相談し、セカンドオピニオンを希望。その病院が、たまたまロボット手術を先駆的に行っていて、出血のリスクが低いという説明を聞き、当時は先進医療で高額ではあったが、即決。術直後の痛みと苦しみはひどかったが数日で回復し、術後2年が経過した今では尿漏れもほとんどなく、PSA値もゼロのまま、半年に1回のフォローを受けながら、普通の生活を送っている。

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プロフィール詳細

A.Yさんは銀行員として35年勤めあげたのち、現在は企業コンサルタントとして、様々な分野で会社役員や顧問を依頼され、あちこち飛び回る毎日を過ごしている。子ども3人は40過ぎてそれぞれ家庭を持ち、夫婦二人の生活である。

若いころに盲腸炎を経験したぐらいで、大きな病気をしたことはなかった。銀行員時代の50歳くらいから、尿が出にくい感じを覚え、前立腺肥大を意識するようになった。同じように前立腺肥大で治療を受けていた上司に紹介してもらったクリニックで、温熱療法などの治療を受け、PSA値を測って経過をみていた。4~5と、値はそれほどでもなかったが、上下はあっても下がりきらないため、通院を始めて5~6年が経ったころに、医師から細胞診を勧められた。数カ所採取したものの、異常は見つからなかった。ほっとはしたが、PSA値は依然高い状態が続いていた。数年後、また細胞診を受けたが、がんは出なかった。前立腺炎だろうかと医師は首をかしげていた。そうこうしているうちに、もう3年が経過し、一度ちゃんと調べてみようと考え、遠縁の泌尿器科専門医を頼り、今度は採取本数を16本にして生検を受けることになった。検査に1時間以上もかかり、正直二度と受けたくないと思うほど苦痛だったが、結果3本からがんが見つかったと言われた。初期なので死ぬことはないだろうと思った。

しかし、治療の選択肢を提示してもらっても、どれがいいのか分からなかった。やはり取った方がいいのでしょうか?と尋ねると、画像検査で転移も見られていないし、かなりの肥大もあるし、年齢も若いから、転移のない今のうちに取った方がよいのでは、との返答だった。

医療コンサルタントをしている友人に相談すると、セカンドオピニオン先として医師を一人推薦してくれた。ためらいもあったが、思い切って「セカンドオピニオンを受けたい」と申し出ると、担当医は意外なほどあっさり快諾してくれ、紹介状を書いてくれた。最初はつてをたどるつもりだったが、連携室というものがあり、セカンドオピニオンが制度化されていると、その時初めて知った。

セカンドオピニオンで受診した医師の所見自体は、前のものとほとんど変わらなかった。ただ、たまたまその病院は、ダ・ヴィンチというロボットを使った手術を先駆的に行っている病院だった。すでに500例近く経験があり、手ブレが起きない、極めて精妙な操作ができるものなので、出血のリスクがほとんどないという説明を聞き、驚いた。前の病院では出血は避けられないと聞かされていた。当時、ロボット手術は先進医療で高額と聞いたが、経験豊かな医師が担当するとの話だったので、その場で受けることに決めた。

手術は3ヶ月後になった。入院は手術の前日で、特別な準備は必要なかった。ただ、このとき初めて、男性機能は手術してみないと残せるかどうか分からないと言われ、少し戸惑った。なるようになるしかないという心境だった。手術室に入って、目を覚ました日は、身体を動かせない苦しみと、激しい痛みとで、眠ることすら難しかった。しかし一晩経過するとだいぶ良くなり、その後は日ごとに回復し、12日間で退院した。今では尿漏れもほとんどなく、普通の生活を送っている。PSA値も0が続き、術後2年経過した今は、半年に1回の通院となった。

もともと考えていたことではあったが、今回思い切ってセカンドオピニオンをお願いして良かった。別の可能性を見つけたり、治療方針を確認したりする意味で、大切なことだと思う。また、自分の場合は、前立腺肥大でPSA検査をずっと受け続けていたのが、結果的に良かった。前立腺がんになることはしようがないと思うが、早めに分かれば対処のしようがあるので、ちょっと心配なときは、思い切って早目に専門医の診断を仰ぐというのが、全てに通じる鉄則と、みんなに勧めている。

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