診断時:75歳
インタビュー時:79歳(2016年3月)
甲信越地方在住。退職前は公務員として勤務。定期健康診断でPSAの上昇を指摘され、娘に勧められて近隣病院で生検を受け、がんが見つかった。全摘手術を選択し、経過は順調だったが、術後後遺症の尿漏れがひどく、2年間改善のための様々な工夫を試みたが、居合道の稽古や入浴など生活に大きな支障が出て、半分ノイローゼのような状態に。そんな折、2012年春に保険適用になった人工尿道括約筋手術を紹介された。術後は尿漏れが完全になくなった訳ではないが、自分なりに工夫して、尿漏れに煩わされることはほとんどなくなった。前立腺がんの経過も安定している。

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プロフィール詳細

F.Kさんは、退職前は公務員として勤務。居合道の免状を持ち、生きがいとして、また健康を保つために、日々稽古で鍛錬を重ねている。妻と2人暮らしで、近隣に娘夫婦と孫が住んでいる。

10年ほど前の2006年ごろ、定期健康診断でPSAの上昇が認められたことが、そもそものきっかけだった。上昇といっても4~5程度の値で、まあがんではないだろうと思い、当時かかりつけ医も「様子を見ましょう」と言っていたので、しばらくそうするつもりでいた。それから数年後の2011年、医療関係の仕事をしていた娘に、たまたま検査結果を見せたところ、「調べないとだめよ」と強く勧められ、その年の秋に市内の病院で生検を受けたところ、がんが見つかった。見つかって、自分は幸運だったと思う。

放射線治療も選択肢の中にあったが、医師から「放射線治療は再発する可能性がある」と言われたので、全摘除手術を選ぶことにした。2012年、検査を受けた病院で手術を受け、術後の経過は痛みもなくいたって順調だったが、後遺症の尿漏れはひどかった。
尿漏れのせいで、風呂にはゆっくり浸かれない。重さで下着がどんどん下がる。パッド交換のため、外出のたびにトイレに個室があるか気にしなければならない。何かに集中しているときはそうでもないが、じっとしていると気になって仕方がない。何よりずっと陰部が濡れている煩わしさといったらなかった。

術前の説明では、尿漏れへの対処法は骨盤底筋体操しかないと聞いていた(※)ので、毎日の瞑想の合間にも懸命に取り組んだが、残念ながら全く効果は感じられなかった。妻が「女性用のガードルだったら、下着のずり下がりは防げる」とアイディアを出してくれ、そのおかげで体を動かすのは随分楽になり、稽古もできるようにはなったが、そんな状態が2年も続くと、気持ちが落ち込み、半分ノイローゼのようになってしまった。

それから半年ほどが経過した頃、主治医が替わり、新しくやってきた医師から、人工尿道括約筋手術の存在を教えてもらった。この煩わしさから解放されるなら是非にとお願いをし、近隣の大学病院で手術を受けることになった。

人工尿道括約筋手術を受けた後は「地獄から天国」と思うほど、生活が変わった。尿漏れがゼロになったわけではなかったけれども、排尿時に骨盤底筋体操で学んだ動きを意識して、筋肉をぐっと絞めたり、立って排尿するようにし、尿道を下から上にしごくようにしたりして、出来るだけ最後まで尿を出し切るように自分なりに工夫することで、尿漏れに煩わされるような事態はほとんどなくなった。風呂にも入れるようになり、パットも使わなくて済むようになった。

ここまでやってこられたのは、妻をはじめとする家族の支え、そして親身になって丁寧に話を聞いてくれた医療者のおかげだと思う。本当に心から感謝している。

同じく前立腺がんを患った人には、前向きに治療に取り組んでもらえたら、と思っている。

(※)人工尿道括約筋手術は、2012年4月より保険適用となりました。それ以前は、手術と機器の費用が全額自己負担となる先進医療の枠での取扱いでした。

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