プロフィール

インタビュー02

シンシア
事故当時:56歳
インタビュー時:64歳
大学管理者(現在は引退)、離婚し、1子あり(事故で死亡)。26歳の娘が自転車に乗っていて、大型トラックに轢かれて死亡。審問の評決は "不慮の死"とされ、運転手は無罪となった。この事故でシンシアは打ちのめされたが、今は交通事故防止のキャンペーンを行っている。

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語りの内容(テキストのみ)

とにかく、死にたかった。本当に死にたかったわ。ショックで気も動転していたの。何が何だか理解できなかったし、絶望的な状態が長く続いたわ。でもね、二つのある事が流れを変えたの。最初は、私はもう今までとは同じ人間ではないと感じていたわ。どうしてかはわからなかった。だって頭はロボットのように何も考えることができなかったから。私は前とは同じ人間じゃないとわかっていても何が違うのかわからなかった。そうね、小さい子供に返ったような感じかしら。何をどう理解していいのかわからなくなってしまったのよ。
でも、ある日、昔からの友達が、「あなた美術が好きだったじゃないの。美術館に行って、まだ楽しめるかどうか確かめてみましょうよ。」と言って、私を英国美術館へ連れて行ってくれたの。そのときの特別展示はボッティチェリのダンテ「神曲」。ボッティチェリもダンテも知らなかったけど、展示されている最上階に上がったわ。その入り口にあった詩の引用にはこう書かれていたわ。『人生の真ん中で目が覚めてみると、暗い森の中に迷い込んでいる自分がいるのに気がついた。』 こんな風に感じたのは私が最初ではないのね、ここで作品を見てみよう、そう思ったの。結局、そこには、その後5回も行ったのよ、合計6回。同じ展覧会に。どうしてだかわからないけど。でもね、私はどこかで何かを試行錯誤していたのよ、きっと。自分自身、何を考えているかわからなかったけど、とにかく心の赴くままに出向いて、作品を鑑賞し続けたの。
それから、ある日、同僚と散歩に出たときに、偶然にも、法廷で目にしたトラック運転手側の弁護士にばったり会ったの。電気ショックを受けたようだったわ。家に帰ったら涙が溢れてきて、3日間泣きっぱなしだったわ。でもね、その3日目の最後には、何だか頭がすっきりしたの。そうね、時々何か突然思いついた人たちの話を聞くじゃない、そんな感じだったわ。3日間泣き明かした後、私の自殺願望は私が怒りの極地にいたからだとわかったの。その怒りの矛先を私は自分に向けていたのよ。以前は、あのばかげた裁判は、私が甘すぎで周りの人を信じすぎてしまったせいだと自分を責めたわ。すべて悪い方向にいったのは私の責任だと。
でも少しずつそれは私のせいではないと理解できるようになってきたの。起こったことすべてに対してとても怒りを感じていたけれど、それを変えたいと思ったのよ。あんなばかげたことをただ耐えしのぐなんてことはしたくなかった。いろいろな人と会って話をしているうちに、他の人も似たような体験をしていることがわかったわ。そしてその人たちと一緒になって一つのゴールに向かえば、いろいろなことを変えることができると確信したの。

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