女性の中には、同じような心の作用をもつ人もいれば、違う作用をもつひともいます。たとえば、ある女性はいつもいらいらと思い悩んでばかりいて、私は思索にふけっていました。そこで彼女は私に、どうして不満や愚痴をいわないのかと尋ねたんです。
私は、「私は自分なりの理論をもっているんですよ。今日一日のことだけを考えて、思う存分に生きよう。そして過ぎてしまった日やこれからのことで悩むのはやめよう。過去や未来は今ここにないのだから。今日という日だけが今ここにあって、それだけを考えればいいんだと思っているんですよ。」と答えました。彼女は、「なるほど」と言いましたよ。
そして翌月、治療で彼女と再び一緒になった時、彼女の夫がやって来て「ありがとうございました」と言ったんです。 私は何のことかわからなくて、「何のことですか?」と聞きました。 すると彼女の夫は、「私の妻に、今日1日のことだけを考えて、その1日を生きればいいんだと言って下さったことです。前回の治療から帰ってきて以来、彼女は、ほら見てください。以前より元気が出てきたようにみえるでしょう?」と言ったんですよ。
それを聞いてとても嬉しくて。拍手したいくらいでしたよ。
投稿者「dipex-j」のアーカイブ
英国人の乳がんの語り
私が思うに、そうですね、誰でも苦しい状況から抜け出すことができるんです。
乳がんは死の宣告という訳じゃ決してありません。他の病気と同じように治療できます。乳がん自体、他のどんなことよりももっともっと最悪だとか、そういうものでもないんです。
それにそうですね、もしがんの恐怖を ―最初にがんだと診断された時の恐怖を― 克服することができたら、そうなったら自分はこれを、死に至る可能性のある病気は別にもいろいろあるけれど、そうならない可能性が大いにある何か別の病気にかかっているんだと考えられるようになるんです。
それに、今では様々な医療を受けることができますしね。利用できる薬や治療法は本当に目覚ましいものがありますから。
英国人の乳がんの語り
大事なことは、もしガンと診断されたら前向きになることです。治療に取り組みガンを克服するのです。人にはガンを克服する力があるはずです。きっとできます。本当に強い意志を持って、ガンに負けないようにするのです。毎朝起き、今日も生きていることを神に感謝し、自分がすべきことをするのです。決してじっと座って「いつかきっとよくなるはず」と考え込んではいけません。もちろんきっとよくはなるでしょうが、大人しく座っていては怠惰な気持ちになりますし、どうでもいいという気持ちが出てくることもあります。でも、何かしていれば、しようとしていれば、少なくとも積極的でいられます。前向きになれるのです。本当に前向きであるがことが大事です。そして、ちゃんとした食事を取り、まともな生活をし、運動をするというような、やるべきことをやっていかなくてはなりません。ジムに行けないのなら、散歩に行けばいいし、近所を一周して帰ってくるだけでもいいのです。とにかく、前向きな気持ちでいなくてはなりません。
英国人の乳がんの語り
患者と会う時に、ただ一つだけ私がいつも強調して言うことは、決して一人の人が受けた化学療法、放射線療法、タモキシフェン(ホルモン療法のひとつ)・・・だけに関心をもつことをしないようにという事です。それは、あなたにとってどちらも必要のないことであったり、専門医もあなたにとっては不必要と判断するかもしれないからです。
アドバイスとして、私は敢えてこう言いたいのです。あなたの心配事を押し殺さないこと。心配事はオープンにして、必ず楽になるはずです。もしあなたが悩みを話すことで、すぐに解決されるわけじゃなくても、少なくとも自分自身に何が起きていて、起きていることにどう対応していくのかという考えや見解が持てるようになるはずです。病気とどう付き合ってゆけばいいか、その考えのチャンスを与えられるから。
わからないでいること、未知なことが、私達を不安にするのは事実です。治療という長い道のりを歩んできた人に会うこともとてもいいことですね。なぜなら、「そう、もし彼らがそう出来たのなら、あたしにだって出来るはずだ」と、自分でも思うはずですからね。
英国人の乳がんの語り
平静を保つこと。できる限り前向きに考えること。。医師との面談は、必要なら質問を紙に書いてもって行くこと。癌と診断された後、初めて診察へ行くときは、前もって一生懸命考えてから行くこと。
私は、思い起こしてみて、そうすればよかったのにと思うので言っているだけです。きっと、じっくりと考えていればもっと疑問が出てきたと思います。実際には少しはありましたけど。それから、常に診察に行く時は、それが癌専門医であろうと外科医であろうと、誰であっても、思っていることを質問した方がいいでしょう。自分をごまかさないで、先延ばしにしないで質問して下さい。その答えに納得できなければ、再度あなたが聞きたかったことが聞けるまで、または理解できるまで質問した方がいいでしょう。あなたが知りたいのなら、聞くしか方法はないのです。
英国人の乳がんの語り
治療後は乳房が真っ赤になりました。入浴のとき胸までつかったり 石けんをつけたりすることは禁じられていますから、ただ水をかけるだけです。
六週間ほどはバスタブの中で少々不便な思いをしましたね。私は入浴の方が好きです、シャワーはただ濡れるだけだから。
入浴しているとき私は局所クリーム、医師に勧められた特殊なクリーム、を使いました。また、治療効果があるとか研究されているアロエの一種も使いました。乳房全体は真っ赤になり、でも、乳首は黒ずんでいって まるで竈で焼かれたようになったけど、最終的には皮膚表面は完全に剥けて下から新しい皮膚が出来てきました。まるで焼かれたみたいで、ちょっと驚いたけど。
でもいつもヒリヒリ痛んだわけでないのよ。不思議だけど、しょっちゅう痛んでいるわけではなかった。
英国人の乳がんの語り