プロフィール

インタビュー43

診断時:59歳
インタビュー時:68歳
1982年に乳がんの診断。乳房切除術、タモキシフェン投与。1996年に別の悪性のしこりが発見される。再び乳房切除術、タモキシフェン投与継続。

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語りの内容(テキストのみ)

担当医は「手術後の傷跡を自分の目で見るように」勧めるのですが、自分ではみることができません。あちこちに手術で縫合した痕があったからですが、私は「いやだ」と言いました。傷跡を見るたびに「ひどい!」と、嘆かずにはいられませんでした。夫には背中を向けて寝ていました。お風呂に入るときも、自分の姿を見ることができません。ただ、スポンジであちこちを洗うだけで、みることはできません。1ヵ月たってもまだ見ることができずにいたのです。
手術後10日後に抜糸したときでさえ、私は自分の体を見ることができなかったのです。それでも術後1ヵ月ごろから自分の体を見始めるようになりました。鏡に映った自分の姿を見て「これまでみたことのないような変な姿で、ひどく醜い形」と嘆きました。そこには乳房は1つしかない女性の姿が映っているのです。
しかし、時間の経過とともに私は人工乳房をつけた自分の乳房に違和感を感じなくなり、鏡を見ながら「どうせ誰も知らないのよ」、「素敵よ」っていうんです。「でも、いまは私、結構幸せなのです。私はとうとう2つの乳房を切除しまったけれど、以前のように夫に対して恥じることはなく、彼に背中を向ける必要もなくなりました。事実、彼も「君は素敵な傷跡を持ってるね」といってくれ、今はもう何も悩むことはなくなったのです。

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