インタビュー時:61歳(2016年9月)、疼痛期間:14年、診断名:複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)

近畿在住の男性。妻と二人暮らし。競走馬を調教する仕事中に、厩舎に入った直後の馬と壁に挟まれて負傷。左手関節・左指・右足の骨折、左肩腱板断、反射性交感神経性ジストロフィー(現在はCRPSと呼ばれる)と診断された。腱板断裂修復手術を受けたが、痛みは左肩と左手首から次第に全身に広がり、手足に焼けるような痛みとしびれがある。現在は離職して収入がないことが一番つらい。

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プロフィール詳細

堀越さん(仮名)は現在、近畿圏で妻と二人暮らししている。競走馬の調教作業中、急に馬が暴れ、自分の体と腕が馬と壁の間に押し挟まれて負傷したことがきっかけで痛みが出現した。近所の病院で、手首の捻挫と言う診断を受け様子を見ていた。しかし、痛みが続いたため受傷1か月後に別の病院で骨シンチ、MRI、X線造影撮影などを受けて(反射性交感神経性異栄養症、RSD:reflex sympathetic dystrophy)と診断を受けた(現在はCRPSと言われている)。左手関節骨折・左指骨折・右足脛骨近位端剥離骨折、左肩腱板断裂などが分かり、腱板断裂修復手術を受けた。

当初、強い痛みは左肩と左手首に限局していたが、現在は徐々に全身に広がって、左右両腕、両足の膝から下、特に足の甲、足の先、足首・肩、手首、手の甲、指先の痛みや(焼けるような痛み・灼熱痛)しびれが強い。特に、季節の変わり目の温度変化や気圧の変化、扇風機の風などが患部にあたること(通常では心地よい程度の風が痛みとして感じる)、不快な生活音などにより痛みは増す。現在も毎日、寝る前には痛みがピークになり、徐々に増強し続けている。

3か所の大学病院や個人病院で受診したが、どの医療機関の医師からも、病気が解明されておらず原因や治療法もはっきりとわからないと言われた。ペインクリニックで神経ブロックや、点滴注射による痛み止めを7年間定期的に受けたが改善しないので、現在は保険診療範囲で内服薬(リリカ、ガバペン、睡眠薬)、自費で漢方薬、鍼灸治療、マッサージを受けている。医療費は労災でカバーされているが、月々2から3万円の自費負担はある。

病気については自分で文献を調べたりして今の医療では治せないと認識している。症状を悪くしないためには、無理をしないように生活するしかないと思うようになった。熱帯魚の観察や、音楽を聴くなどで癒されて気を紛らせ、雑念を取り払って、痛みのコントロールをはかっているが、あまり変わらず難しい状況は続いている。現在はそれもできなくなっている。

負傷を機に仕事ができなくなり、妻が働くことになったが、男として仕事ができないのは一番つらいことだと思っている。収入を失うことはかなりショックで、第2の人生を考えようと思っても、半端ではない痛みがあり、乗り越えることは容易ではない。周囲に理解されないのが最大の苦痛だが、そこに経済的苦痛(負担)も加わるので、追いつめられて死を選ぶ患者さんもいるが理解できる。自分も自殺を考えたが、妻がいるので踏みとどまっている。

妻は痛みがある自分の行動や精神状態について、理解に苦しむことがあったと思うが、病変が映っている検査の画像などをみて、痛みがあることを理解してくれた。妻は、乳がんの経験を経て、痛みがあることを理解してくれた。家族や周囲の理解があれば痛みをもつ患者は(少しは)楽になれると思う。痛みを訴えているのにうそを言っていると思って治療にあたる医者がいると、自分と同じような人を増やすことになる。医療従事者が早期に発見、治療すればある程度防げる病気であることを強調したい。

周囲に理解されない痛みと、経済的な苦痛(負担)が積み重なり、追い込まれて自殺した方もおり、そのような人には、誰かが手を貸さないといけないと思っている。深刻な問題は、職を失い経済的な問題を抱えていることが共通しており、社会保障制度の情報など皆が知らないと思う情報を提供している。そのことにより患者同士で話すとことですこしでも痛みのことが分かるひとと話ができて良かったという反応があり、ボランティアだができる範囲で相談をうけ続けている。

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