インタビュー時年齢:81歳(2014年8月)・女性
頻尿の治療薬の適応拡大のための臨床試験(詳細不明・実薬対照試験)に参加したが、副作用と思われる症状が出て中止。
関西地方在住。2013年に腎臓摘出手術後、定期検診の際に夜中にトイレに起きると主治医に話したところ、男性の頻尿を抑える薬を女性にも使えるようにするための試験に協力してほしいと言われ、その場で同意した。初めて薬を飲んだ直後に血圧が下がって具合が悪くなり、自分から中止を申し出た。

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プロフィール詳細

小林さん(仮名)は、2013年8月に近所のかかりつけ医で腎臓に腫瘍が見つかり、近くの大学病院を受診した。そこで、年齢的なことを考慮すると組織検査はリスクが高いので、検査より腎臓を摘出する手術を勧められた。家族とも相談して腎臓を摘出することにし、術後3カ月に1回、定期検診に通っていた。

主治医との雑談の中で、夜中に2~3回トイレに起きることがあり、その際に尿漏れが少しあることを話したところ、1週間排尿の記録をつけるように言われ、さらに腹部エコーによる残尿検査を受けて、かなり残尿があることがわかった。主治医から今は男性の頻尿に使われていて、女性への使用が公に認められていない薬があるが、それを女性に使った場合のデータを取りたいので協力してくれないかといわれた。頻尿が止まるのだろうかという興味もあり、その場で受けることにした。主治医からごく簡単な説明を受け、説明文書が2~3枚あったが、読む暇もなく「大体今日説明したような内容なので」と同意書にサインを求められた。副作用として血圧が下がることがあるが、他に心配するようなことは一切ないといわれた。同意書のコピーを受け取ったが、持ち帰ってから内容を改めて確認することはしなかった。治験ではコーディネーターがいると聞いているが、この時はそういう人はいなかった。
使うのは有料と無料の2種類の薬があり、どちらになるかわからないといわれたが、同意すると「あなたはこちらの薬です」といわれ、薬を受け取るときに医療費を請求されたので、有料の薬になったのだと思った。まずは2週間試すということで、翌朝から飲み始めたところ、薬を飲んで2時間後ぐらいでとてもぐったりしてきた。おかしいと思って血圧を測ったところ、通常140前後のところ115と見たことのない値だったので、急いで病院に電話をした。電話に出た看護師にすぐ薬を飲むのをやめるよう言われ、翌日主治医の診察を受けた。主治医には、1回目はそういうことあるが、次からはあまりそういうこともなくなると思うから飲み続けてほしいと言われたが、夜中に2~3回起きる辛さと前日に経験した辛さと比較して、もう飲みたくないと言った。主治医はだいぶ渋っていたが、最終的には患者が希望しなければ止めることもできるので飲むのをやめることになった。診察室を出たところで、看護師から同意書や薬、プレゼントとして渡された血圧計などを返却するように言われ、後日返しに行った。

今振り返ると、なぜもっといろいろ詳しく聞かなかったのかと反省している。後から確認したところ副作用として倦怠感なども薬袋に書いてあったが、薬を飲む前には気付かなかった。患者からの電話相談を受けていた経験があるものの、いざ患者の立場になると、医師とうまくコミュニケーションをとるのは難しいことを実感した。協力できるものならしようという思い込みのようなものがあったかもしれず、こちらから詳しい説明を求めなかった。説明をあまりしない医師であれば、こちらから積極的に質問していかなければと思った。

治験や臨床試験に参加するにあたって、患者も自分から詳しく説明を求めるなどして自分なりの理解を深めることが必要だと思う。言われるままに受け入れず、医師との話し合いを重ねていけば、理解が進むこともあるかもしれない。

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