月別アーカイブ: 2022年3月

新型コロナウイルス感染症の語り

入院するまでに直接接触した人には感染したことを伝えたが、それ以外は仕事場への風評被害を恐れて話すのを控えた。学校への報告は親としての義務だと思う(テキストのみ)

私、多分コロナ感染してるときに、(気づかずに)お食事したって、最初、一番最初に言ったと思うんですが、仕事の子とお客さまと3人で。で、当然すぐに、(感染したことを)報告したんです。(そのお二人は)熱も出ずに、普通に、あの、症状は何もなく。ただ、一人の方は、一応2週間は、出ないようにするって言ってました。

うーん……(学校や)子どもの習い事(の施設に)とか、こう、報告しなきゃいけないと思ったので。で、あと、入院してすぐは、やっぱり…それまでの間に関わった人に連絡しました。町のお医者さんから、あの、私立のERまでの間に(関わった人には)、「あ、それもいけない」と思って、町のお医者さまにまで電話して。やっぱり私たち陽性でしたっていうことで、あの、ちゃんと除菌のほどお願いしますってことで、したり。その間に行った美容室にも電話したり。一応可能性があるところには電話しました。

――その辺りは、この、保健所のほうもそういう、追跡調査みたいなことはするんですよね。

あ、しました、しました。しました。

――ご自身では、もちろんその、接触はあったかもしれないっていう方たちには連絡したっておっしゃってらっしゃった、あとお子さんの習い事してるところにも連絡とったとかおっしゃってらっしゃったんですけど、どのくらいの範囲までご自分の、感染されたことってのは、伝えられたんですかね。なんか「もう、ここから先には言わないでおこう」みたいなとかあるんですかね。

あ、仕事ですね。仕事場で、影響があることはできるだけ避けなければいけないので。風評被害はやっぱり、うん、責任を感じてしまうので、できるだけ、あの、口にしないようにしてきました。ずっとしばらくしゃべらないようにしてました。はい。

――そうすると、むしろその学校関係とか、まあ、ママ友とか、そっちはいいけれどもっていう、その、そこの線があるわけですね。

そっちは、義務ですね。やっぱり、あの、義務、責任ですね。かかりましたっていう報告をしなければいけないという。でも、学校は守ってくれるとこだとも思ってましたから。実際守っていただいたと思います。いい先生に当たって。すごく。はい。

新型コロナウイルス感染症の語り

唯一の家族である兄には陽性になったと伝え、療養中もLINEでやり取りしていた。あとは職場の上司と一番親しい友人に伝えて、それ以外には伏せておいた(テキストのみ)

――ご家族は、えーと、お兄さまがいらっしゃる?

兄貴だけなんですよ。両親はもうとっくに亡くなってしまって。

――ああ。お兄さまには、その、かかったことはお伝えになったんですか。

あ、伝えました。伝えました。もう、うん、陽性なって、うん、やっぱ、そんときに兄貴は伝えましたね。

――どんな反応で。

「うわ、ほんまかー」ってなんか言ってたけど。「大丈夫なんかー」みたいな。「いや、全然、大丈夫や」みたいな感じで、うん、そっから、まあ、定期的にやり取りしとって、はい。まあ、ちょっと心配はしてくれてましたけどね、兄貴とかその兄貴の、ま、まあ、えー、彼女、嫁はんじゃないんですけど。すごい仲いいんで、そっからはちょこちょこ連絡、LINEでやり取りして、はい。

――あとはご自身が他に、お知らせ、お伝えした方っていうのは、どこら辺までいらっしゃいます?

僕ね、えっとねー、もうとにかく陽性言われて、もう言うたんは、とにかく会社のその担当、僕の上司の人と、その、兄貴以外には言うてなかったですねえ、うん。ほんで、(隔離解除後に)キャッチボールしたって言うとった連れに、ホテル療養入った日に言うとこうと思って、ぐらいですかね、うん。あとはもう、隠しとこうと思って言わなかったですね。

――ああ、そうですか。

そうなんで、僕、あんま連絡も取れへんし、もうコロナ禍になってから、そんなにもう飲みに行くことも我慢しとるし、人にもそんなに会ってなかったんで、はい。とにかく伏せとこうかなと、はい。

――伏せておくのが、そんなに大変ではなかったっていう?

そうですね。

新型コロナウイルス感染症の語り

高齢な両親には心配かけないよう職場復帰してから話したが、あえて話したのは両親が体調の変化を感じた時にすぐに言ってもらいたかったからだ(テキストのみ)

――あとは、えっと、ご家族の反応っていうか、そのときの、お嬢さま方とか、あるいはご両親の反応ってどんな感じだったんでしょう。

やっぱりすごく心配しましたね。特に両親なんかは、やっぱり報道されてるようなことしか分かってないですから、「だいじょぶなのか」っていうふうなこと。それはもうある意味、そういう反応をするだろうということは想定していたので、なってすぐには両親には言わなくて、ある程度こう回復してから、職場復帰もして回復してから、お話をして。で、なんでお話ししたかっていうと、万が一あなたたち(両親のこと)がなる可能性がやっぱりあるわけですから、これだけ市中に広まってますから、特に両親なんか、なったら命に関わるぐらいのことは思ってますから。でも、心配掛けまいとあんまりそういうことを言わないのも、また高齢者なんで、ちゃんと教えてもらわないと困るから、なんか変だなって思ったときには、早く教えてもらわないと困るんでと思って。そういうふうに私が言うことで「ちゃんと言ってね」って、「私もこうやって言ったよね。心配掛けるの分かってるけど、言ったのは、お父さんやお母さんにも、ちゃんと言ってもらいたいと思うから言うんだよ」っていうふうにして話をしました。
で、娘たちはですね、やっぱり、まあ、真ん中が一番ちょっと反応した感じはあったんだけど、ほんとに、「ママがいなくなっちゃったらどうしようみたいに思った」みたいなふうなことは言ってましたけど、でも、まあ、だいじょぶだよってことも言いましたし、ま、ホテルに行ってる間もですね、ずっと、ファミリーLINEがあるんですけど、きょうの朝はこれとか、昼はこれとか、夕ご飯はこんなのだったよみたいに、LINEとかをして話をしてたので、ま、そんな感じでやってましたでしょうかね。

新型コロナウイルス感染症の語り

妹には症状の出始めからLINEで様子を伝えていたが、近所に住む弟夫婦と結婚式を控えた姪にはうつすことを恐れてコロナで動けないということは伝えなかった(音声のみ)

――まず、お一人暮らしでらっしゃるわけですよねえ。

はい。

――はい。近所に誰か頼れるお友達とか、あるいは、ご家族とかっていうのはいらっしゃらないんですか。

はい、歩いて12分のところに、あの、弟夫婦が住んでいます。

私は妹にだけ知らせてたんですね。で、妹も心配かけるから誰にも、知らせなかったんですよ。それで、えっと、先日12月に…その、姪の、弟の娘の結婚式がありまして、で、そのときに、初めて、あ、その前かな。その前にLINEでやり取りをしている頃に、初めて、「えー、○○(ご本人の名前)おばちゃん、コロナだったのー?」という感じで言われました。「誰も知らなかったのに」って。「あ、それはね、心配するから、妹が言わなかったんだと思う」って言ったんですけど。で、「えー、いつ?」っていうから、「うん、4月」って。その姪の結婚式が実は4月だったんですよ。それで、3月の下旬ぐらいまで迷って迷って、4月にしてどうしようって言いながら、迷って結局、(結婚式を)延期したんです、12月に。なので、「4月だったら行けなかったねー」って言ったところだったんですけど、もう誰も知らずに、はい。そういうことはありました。
だから私もなかなかあんまり、普通の風邪とかね、何か、ケガとかだったら知らせますけど、いやあ、もうコロナは知らせたくなかったですね、今でも思いますけど。とりあえずコロナで動けないっていうのは、あんまり知らせたくはないですね。だって、うつるかもしれないですしね。それはちょっとなかなか、妹もだから、「私が行こうか」って言ったんですけど、妹にも小さい子どもがねえ、いますし。やはり、「いや、来なくてもいいよ」って、もしうつってね、戻って。で、「症状がなくてもうつるから、それはもうやめたほうがいいと思う」というのは言ってたので、とりあえず、誰かに知らせてっていうのは、考えなかったですね。

――その妹さんに連絡されたっていうのは、入院された後ですか、それともその前に、お部屋、ご自宅にいるときですか。

ううん、もう、最初っからもう。「いや、もう、ちょっと熱がねえ、高くて、もしかしたらそうかも」っていうようなLINEは時々してたんです。それで、「もうこれちょっと熱も下がらないし駄目みたいだ」と。で、「保健所に電話してるけど、なかなか検査受けさせてもらえないんだ」っていうようなこと、毎日1回か2回はLINEしてたんです。で、症状がだんだん重くなって、「これ、絶対間違いないね」とかっていうのは、LINEしてたので、大体その辺りは、妹も分かってましたね。どういう私が症状か。だから、もう食事もできないことも分かってたので、「私、行こうか?」って言われたんで、「もうそれだけはやめて」っていうのは言ってました。

新型コロナウイルス感染症の語り

コロナにかかったことに罪悪感があり、家族にも言わないでおくつもりだったが、祖父の葬儀があったので言わざるを得なくなった。参列した親戚からは優しい言葉をもらえた

日頃から自分の起こったこととか趣味のこととかのTwitterをやってて。で、改めて、コロナになりましたっていうときに、自分のもともとのアカウントで呟こうかなと思ったんですけど、やっぱりさっき話したように、こう、人に言っちゃいけないとか、かかった罪悪感もあったので、匿名のアカウントを作って、全然、日頃の私とは関係ないアカウントを作って、こっそり呟き始めたっていうのが最初でした。

――なるほど。だんだんこう、そういう意味では、少しずつ情報開示の範囲を広げていった感じなんですかね。

そうだな…うんと、そうですね、最初は本当に家族にも言わないでおこうと、同居してる彼にだけ言おうと思ってたんです。…なんですけど、家族からちょうど連絡があって、母親から。で、「何してるの」って言われて。「いや、ちょっと今忙しいから」ってごまかしてたんですけど。「なんかあったの?」って聞いたら、あの、おじいちゃんが亡くなってっていう…。(まず)危篤でっていう連絡がありまして、で、その数日後に亡くなってっていう連絡があって。で、さすがにお葬式断る理由ってないじゃないですか(笑)。だから、これはコロナって言わざるを得ないなと思って。で、家族に話したっていうのが最初で。
で、家族に話してみたら、まあ全然責められることもないし、なんかお葬式会場からも親戚がみんなでこう自撮りして、「元気ー?」みたいな。「元気じゃないかー」みたいなやり取りがあったりして。意外とこう、コロナになっても周りの人って優しいんだな、みたいなのを感じましたし。あとTwitterをやってても、こう、いっぱい質問がくるので、みんなが私の情報、かかった人の情報を必要としてるんだなっていうのを感じて。だから、まあ、言っても大丈夫か、と。結局こうね、変な差別をする人もいましたけど、結構多くの人が、コロナって言っても優しくしてくれるっていうのを感じたのと、Twitterとかでも情報を必要としてる人がいるっていうのがだんだん分かってきたので、それで、最初は言わないでおこうと思ったけど、だんだんいろんなとこに情報発信するようになりました。

――なるほど。じゃあ本当最初は、そのおじいさまのことがきっかけでご家族に話したのが、最初の一歩だったっていうことだったんですね。

そうですね。で、なんか、そのお葬式も、例えばあと2日3日早かったら、私コロナの(ウイルス)、を持った状態でお葬式に参加しちゃうことになってたとこだったんですよね。陽性が出る前、あの、診断が下る前に亡くなってたら。だから、家族の間では、「おじいちゃん、うまく調整してくれたね」みたいな話があったりとかもして。そうですね、そういう笑い話になってるので(笑)、よかったなと思います。

新型コロナウイルス感染症の語り

搬送時に長時間エントランスにいたので、退院後同じマンションの人に「実は」と感染したことを話したが「全然知らなかった」と言われ、差別的な対応もなかった(音声のみ)

同じマンションの方ですぐ上の方がいらっしゃって、まあ、たまたま、ごみを捨てに行くときにばったり会ったので、「あ、どうですか」って言われて、「いや、実はね」っていう話はしましたけど、「まあ、全然知らなかったわ、そんなこと」って言われて。まあ、結構、誰にも知られなかったみたいですね。あの、マンションのエントランスにずっといたんですけどね。

――だけど、そのときの反応っていうのが、例えばご自身がその後、退院された後とかに、コロナになったということで、なんかこう、差別的なとかそういう嫌な思いをするとかってことは?

私自身は別に、なかったですね、そういうはね。私の知り合いのお姉さんが、なんかコロナ菌をばらまくなって言って、なんか食べ物ぶつけられたとかっていうお話は聞きましたけどね。まあ、だからそういう差別をされているっていうのを話には聞くことがあります。でも、私自身が…。分かりませんけどね、もしかしたら差別されてるのかもしれないけど、気が付かない(笑)のかもしれません。

――でも、あまり、周りの方に話されなかったっておっしゃったのは、別にそこの差別が怖いから話さないようにしてた、隠してたってことではない?

あ、そういうことではなくて、まあ、別に、タイミングもなかったし、特に、そういう話にまで至らなかったっていうところですかね。

新型コロナウイルス感染症の語り

感染後、自分を避けたり話をしなくなったりした人たちがいる一方、父がコロナで亡くなったことを知って泣いてくれたママ友もいて、そこに人間性が垣間見えた(音声のみ)

あとはもう、(感染したことを)分かってても知らんぷりする人も結構います。はい。多分うわさでは聞いてるけど、声掛けづらいんでしょうね。ま、悪くいうつもりはないんですけど、うん、あの、ね、やっぱり触れちゃいけないんじゃないかなと思ってるんだかで、避けられてたりとか(笑)。それは感じますね。前はしゃべってた人としゃべらないとか。はい。

――なんか、あからさまな、なんか、攻撃じゃなくても、やっぱりそういうのって傷つきますよね。

うーん、そうですね。なんか、人、なんでしょうかね、そういうとき、何て言って声掛けてあげればいいのか分からないとか。もう私のほうから声掛ければ、実はこういうことがあったのよって言えばあれですけど。あ、でも、1人だけ同じマンションの、ママ友がいて、ちょっとお裾分けのものを持ってったときに、「あ、おじいちゃま(亡くなったことを)、聞きました」って言って泣いてくださって。「いや、泣かれちゃったらもう私まで泣いちゃいます」って言って、「ありがとうね」って言って。いや、「おじいちゃん、たまに見かけてたから」なんて、「もう何て言っていいか分からない」って泣いてましたけど、もうそうやって人間性がすごく見えました。はい。

新型コロナウイルス感染症の語り

感染の2か月後にネイルサロンで感染したことを話したら施術を断られた。身の回りに感染者を見かけないのは、こうした差別を恐れて話さない人もいるからだと知ってほしい

あの私、ネイルを、ジェルネイルをお店でずっとしてもらってて。で、これちょっとやめると爪が折れちゃったりとかするんですよね。なので、まあ、月に1回か2カ月に1回ぐらい爪を塗ってもらってるんですけれども。コロナが治ってから、ええと、2カ月後ぐらいに爪を塗りに行ったんですよね。いつも行ってるお店に。で、いつも話してるネイリストさんだったんで、この人なら大丈夫だろうなと思って、「実は去年コロナにかかってしまいまして」っていう話を軽くしたら、あの、「え、じゃあ、ちょっとうちではもう施術できないんで帰ってください」っていうふうに言われたことがありまして。
で、そのときはもう全然コロナも治って、随分時間がたった後でしたし、ま、そもそも療養が終了した時点で感染力はないので、なんでここで施術をやめられなきゃいけないんだろうっていうのはすごく思いまして。で、すごく抗議もしたんですけど、ま、結局受け入れてもらえず。で、「次の予約の時間になっちゃったんで、取りあえず今日は帰ってください」みたいになって。で、まあ、一応爪が折れないように、透明なジェルは塗ってくれたんですけど、こういうきれいな爪にはしてもらえないまま帰されて。それはすごく悔しい思いをしました。
そのときに、まあ、この人を信用して、この人だったらコロナって言っても大丈夫だろうと思ってしゃべったのに、それが受け入れられなかった悲しさもそうですし、ま、言わなきゃもちろん分からないことだったので、こんなことになるんだったら言わなきゃよかったっていうのも正直思いました。で、あの、これだけ感染者がいても、なかなかこう、友だちがかかった、家族がかかったっていうのをなかなか聞かないもので、だからこそ、まあ、友だちも「別にかかってないから大丈夫でしょう、コロナ」みたいな認識がすごくあると思うんですけど。実際私みたいに、差別とか嫌な言葉をかけられるのを恐れてコロナにかかったなんて言えないっていう人はすごくたくさんいると思うので、実際に周りでかかったって聞いてる数と、実際にかかった感染者数っていうのは比例しないんだなっていうのは、みんなに持ってもらいたい考えだなって思いました。

新型コロナウイルス感染症の語り

退院から3カ月目に次男を連れて行ったかかりつけの小児科で、感染したことを受診する前に伝えなかったことを激しく責められ、診療を拒否された(音声のみ)

退院から3カ月目にして、またちょっと風邪を下の子がこじらせたので、いつもの小児科、かかりつけの病院に行ったんですね。で、かかりつけの病院の、女の先生なんですけど、もう、長男君が生まれたときからずっと親しくして、いい先生で、仲良くしていただいてたんですけども、診察になって、「どうしたの?」っていうことで、いや、こうこうこうでって(説明した)。ちょっとアレルギーも出たりして、じんましんも出たりしてって。「何でじんましん出たの?」って言うから、いや実は、ちょっと4月にコロナにかかって入院してって。したら、「えーっ!」て。もうこういう、ホールドアップ、両手を挙げて、私たちを避けるように病原菌扱いして。「なんでいるの?」って。「なんで言わないの?」って、すごい勢いで責められて。
「え?」って。「先生、もう私、許可出てますし、陰性なので、大丈夫なんですけど」って言ったの。「ここは小児科よ」って。「赤ちゃんも来るのよ」って。「それでもあなた、(前もって感染したことを)言わないのがおかしいでしょ」っていうことで、ものすごく責められたんですね。しかもみんなの前で。大きな声で。もうそれが、もう私、真っ白になってしまって。子どもの前でそんなひどいことを、私は父もそれ(コロナ)で亡くしてますし。「あなた、先生ですよね」って。「病院の先生ですよね」って。「じゃあ私は、コロナに感染しましたって言って歩かなきゃいけないんでしょうか」って。「どこ行くのも言わなきゃいけないんでしょうか。じゃ、私、あなた訴えますよ」って。「もう二度とここには来ません」って。「出てってください」って言われたので、「こちらから出て。普通の一般の、出入り口じゃなくてこっちから出てってください」って。もう私、泣きながら出てって。
で、すぐに、保健所に電話して、こういうことがありましたと。私、この病院、訴えたいですと。そうしたら、「ああ、おつらかったんですね」って。「それはおつらい思いしました。残念なことに、あの、お気持ち分かるんですけど、残念なことに、大きなね、病院ですと、先生へのクレームとか、そういった訴えを受け入れしてくれる窓口みたいなのはあるんですけど、町の小さなお医者さんでは、やっぱり個人病院に(対して)訴えることはできないんですね」って。ま、民事でね、自分でお金払って、弁護士さん立てて訴えたりっていうことはできるんでしょうけど、別にそこまでするつもりもなく、そのときの感情だったので。ただただ、もう泣いて悔しい思いをしたなっていう。
ま、でも、多分その先生も、よっぽどコロナに、そのときもう、多分町中が、日本の先生方ももう戸惑ってたと思うんですね。ただ、そういうときだからこそ、先生がしっかりした対応をしていただけたらね、よかったんではないかなって。町のお医者さんは、3軒も4軒も、コロナのことで嫌な思いはしました。

新型コロナウイルス感染症の語り

隔離解除後にかかりつけ医にレントゲンの予約を入れると、一般患者とは別の入り口や待合室、手洗いを使うように言われ、併せてCT検査も受けないと診察できないといわれた

ええと、療養終わってすぐその日にレントゲンを撮りたいっていうことで、かかりつけの呼吸器内科に連絡をしたんですよね。あの、療養生活中はレントゲンを受けたりとかっていう検査ができなくって。ま、入院すればそういうのを受けることはできるけど、外来でコロナの人が検査受けれるところはないと。で、ホテルにレントゲンの機械などはないので、もし気になるんだったら療養終わってから、ええと、自分でレントゲン撮りにいってくださいっていうふうにいわれまして。で、まあ母とも相談したんですけど、ま、やっぱもともと咳ぜんそくがあって不安なので、何もないことを確認したいっていうふうに母からも言われたので、かかりつけに連絡をして、レントゲンを撮りたいっていう話をさせていただきました。
で、いったんは予約が取れたんですけども、1時間後ぐらいに病院からもう一回連絡がありまして。で、院長のほうに改めて確認したところ、別の入り口と別の待合室と、別のお手洗いを使うっていうのがまず第一条件と。で、もうひとつ、CTスキャンを受けるんだったら、うちで診察しますっていうような条件をつけられまして。で、まあ、1個目に関しては、感染力がもうないはずなので、ま、ちょっと嫌な気持ちはあったんですけども、まあ、周りの人の気持ちとか病院の気持ちを考えたら、まあまあ、やむを得ないかなとも思いました。ただ、二つ目のCTスキャンっていうところに関しては、ま、CTスキャンって数千円かかるわけじゃないですか。で、別に私もそんな裕福なわけではないので、それを私が必要としてないのに病院の都合で必ず受けてくださいと。で、これは受けないんだったらうちでは診察できませんっていうのは、あの、なんて言うんでしたっけ、そういうの。応召義務っていうんでしたっけ、あの、病院は診察をしてほしいって言った人を断っちゃいけないっていう法律*が一応あるんですけど、それに違反するんじゃないかなと思って。ま、そこでちょっと病院ともめたりはしました。 
*医師法第19条第1項「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」
で、結局それは法務局っていうところに相談したんですけれども、ま、一応そういうやり取りがあった事実は認めてはくれたけど、それは法律に違反する人権侵犯にはならないっていう判断になってしまいまして。で、一応病院のほうには「もう少し丁寧な、配慮のある、声掛けをしてあげてくださいね」っていう、説明は法務局からしていただけたんですけど、特に私のほうに直接まあ、謝罪があったとか、改めてじゃあ診察しますよっていう連絡はなかったので、最終的にはもやもやっとした気持ちが残ってしまいました。
やっぱり、お医者さんの中でもまだコロナに対して間違った認識を持っている人がいるっていうのがこのことですごく分かりまして。あの…ま、お医者さん、病気に対して一番詳しいはずであるお医者さんがそういう対応をしているうちは、例えば会社の人とか学校の先生とかがかかってしまった人に対して間違った対処をしてしまうのは、仕方ないことなのかなと思いまして。なので、やっぱり病気に一番詳しいお医者さんの中ではせめて今のコロナの最新情報をきちんと共有して、で、人権にも配慮した、あの、説明というか、診察ができるようになってほしいなっていうのはすごく感じました。