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新型コロナウイルス感染症の語り

副反応が怖くてワクチンは打ってないことは正直に言えるが、コロナに感染していたことは言えない。言ったらみんな逃げて行っちゃうんじゃないかと思う(テキストのみ)

コロナワクチンが、もう世間、本当大騒ぎですけども、自分はもう67なんで、本当は打たなくちゃいけないんですけどもね、ただ、インフルエンザ、会社で、2、3回、打ってるんですけども、インフルエンザのワクチンの注射打ったときに、大体仕事休んじゃうんですね。
その、熱が出て、体がだるくなって、会社休んじゃうっていうのが、3回打って3回ともそうなんで。で、今のワクチン打った場合、あのインフルエンザのつらさをまたやるのかなと思うとね、ちょっと勘弁してよっていうふうな思いで、いまだに、あの、コロナワクチン打ってないんですけどもね。しかし、あの、そのコロナワクチンでも、今コロナワクチンパワハラっていうのがかなり、あの、世間でね、あの、話題になってるらしいんですけどもね、ま、そういう部分で、ま、外に出ていくと「ワクチン打った?」っていうのはもう必ず二言目には聞かれますよね。で、ですから、いや、自分、ま、こういう状況で、ま、こういうのがあったんで、今まだワクチン打ってないんだっていうのは正直に言ってますけどね。
ですけど、自分がコロナだったっていうのは、あの、やっぱりいまだに言えないですね。こればっかりは、やっぱし、言っちゃうと、みんな逃げてっちゃうんじゃないかなっていうのは、今でもそのコロナ感染したことによって、ま、それは本当は後悔してますけどね、だけど、周りの人にやっぱしちゃんと言ったほうがいいのかな、どうなのかな、それが今、その思い、今、まだすごいですね。言わなくちゃいけないのかなっていうのは。

新型コロナウイルス感染症の語り

自分の体験を実名で記事にした。誹謗中傷を心配する人もいたが、匿名にしたら感染は隠すべきものと受け止められると思い、家族や保育園の先生の賛同を得た上で記事を書いた

一部の人はやっぱり私が実名で書くって言ってたときに、中傷とか誹謗中傷とかには、お子さんとかそういう子どもへの影響とか、住所がさらされるとか。あんまりそういうの分かんないですけど、私すごいもうずーっと連載とか持っていたので、ある程度、私がどういう経歴で、過去にどんな記事を書いたとか、もう、そんなの調べればすぐ分かるじゃないですか。ていうことで、子ども、写真も出てるんで、その連載には。子育ての連載だったので、だから、お子さんに被害が行くんじゃないかとか、やっぱその誹謗中傷をなんか心配されましたね。

(会社の上司から)誹謗中傷とかも含めてだいじょうぶですかってことはもう最後まで聞かれて、もう記者も15年ぐらいたつんですけど、初めて親に一応、書くっていうことを事前に(伝えた)。もしかしたら、名前も出るし、何て言うんですかね、あの、言っといたほうが(いいかと)。いきなりね、その、書いたことで親がびっくりしちゃうとか、そのやっぱり、こういうことって誰がどう考え、どういうふうに影響受けるか分からない。あとは、お子さんの保育園の先生にも念のため、連絡をして、書きますということを伝えたほうがいいんじゃないのっていうことは言われて。で、そこは、今度はうちの夫の義父母、私の両親も、保育園の先生も異口同音で、もうそれは書くべきなんじゃないですかみたいな、ぜひ書いてくださいかな、もうぜひね、書いて(と)。うちの父親はもう、おまえが書かないで誰が書くんだみたいな。夫の母親は、もうこんな無事に戦い抜いたんだから、もうそれをね、ぜひ大変な思いをした分、ぜひ共有したほうがいいという話を。もう皆さん、やっぱり、私の周りの人間はみんなサポートしてくれるというか、なので。保育園の先生も、別にその、何て言うんですか、「どうぞ、どうぞ」というか。「はい。いいと思います」みたいな。あの、保育園も朝日新聞取ってくれてるんですけど、「楽しみにしています」みたいな。

そうですね、書くと決めたら、もう実名でしかあり得ないと思ったし、書くなら実名しかなくて、私が匿名で書くっていうことは1つは、まあ、ジャーナリストとしてもどうかなと思うのもあるし、例えば偏見の、感染者を責めないようにとか、世間では言うじゃないですか。感染したことが悪いのではないと。でも、私がもし自分のことを隠しながら書いたら、まるで、自分が感染したことを自分で隠したいって思ってるってことを、変なふうに裏付けてしまうじゃないですけど。だから、もう報道というか書くんであれば、もう名前も全部出して、言うしか、書くしかない。で、それがかなわないんだったら、書かない。で、私はもう、書きたいって言ってたし、多くの同僚もそれは書くべきだって言ってくれてたので、最後はその懸念をしてくれていた上司も、もしかしたら誹謗中傷もあるかもしれないけれども、それは、会社としても全面的にバックアップするから、じゃあ頑張ろうみたいな。だから出る前が一番すごく心配されましたね。

新型コロナウイルス感染症の語り

家内や職場から風評被害につながるので感染したことを公表しては駄目と言われていたが、体験記は他の人の役に立つと思い、業界紙に掲載したところ誹謗中傷はなかった

――よくSNSとかで発信、先生もブログもともとやってらっしゃったと思うんですけれども、そのときにその自分の病気のことについて、その時点では発信はなさらなかったんですか。

あ、しちゃ駄目って言われましたね。

――それはどなたから?

あ、うちの家内から。あ、それから職場からも駄目って言われましたね。あのー、ね、風評被害に通じますからね。

――職場の方では、先生が感染したことに関して何か公表というか、広報から流れるとか、あったんですか。

それはもちろん、学内的にはあったんでしょうけどもね。ただそれを公にね、公表するとか、しちゃ駄目って言われましたね。でも、自分でもってね、闘病記書いて出しちゃいましたけどね。

――そうですよね。4月、ええと、4月ぐらいにもう出されてたんですよね。

はい、はい、うん。

――あの、高齢者住宅新聞?

そうですね、はい。うん。

――…に出されたり。「もういいや」っていう感じで出されたということですね(笑)。もう、大学に気兼ねをしないで、もう出そうと決められたということですね。

うん、で、まあ、あのー、そうですね。ま、それで出したら怒られちゃったけどね。
 

――その発信について、何か、デメリットとしての何か風評被害ですとか、逆にサポーティブな反応ですとか、まだまだ、早い段階だったと思いますので、その両面で何か、社会からの反応があったら教えていただきたいなと思います。

あの、ま、いろいろなとこから取材はね、受けたんですけどね。もうそのときはね、高齢者(住宅)新聞に書いた後は、もうやっちゃったんで、「出しちゃ駄目よ」って家内からも強く言われてましたからね、皆、あの、取材はみんなお断りしてましたね。はい。
でも、逆に、特に高齢者(住宅)新聞の記事から、風評被害とか、それも全くないし。特に、なんですかね、よくね「医者のくせになんで、コロナにかかるんだ」とか、そういうね、そういったことも言われませんでしたしね。皆さん非常に理解していただいたんじゃないかと思いますね。
私としては、やっぱりね、こうした病気にかかった、そうした闘病記っていうか、体験談って、非常にほかの方にもね、役に立つと思うんですよね。かかった人じゃないと分かりませんからね。だから、そういう意味では、僕なんか割と積極的にね、公表してくほうでしたからね。あの、特にそれに関して何か――ただ、まあ、大学や、それからうちの家内から言われましたけれども――ま、それ以外は特別なことはなかったですね。逆に本が書けてよかったと思いましたけど(笑)。

新型コロナウイルス感染症の語り

SNSでの発信がメディアに注目され顔を隠してテレビにも出たりした。否定的な反応もあったが、今は顔を出して私みたいな若者でも大変な思いをしたんだと同世代に伝えたい

コロナに関しての情報発信は、最初に具合が悪いなって思ったときからずっと続けていて。で、最初はTwitterで、ま、具合が悪いなっていうだけだったんですけど、だんだんそれがメディアの方の目に止まって、例えばテレビでちょっとお話しさせていただいたりとか、あの、地元の経済紙で私の書いたブログというかnoteというかを載せていただいたりとかして、いろんな方にこう、私の療養記というか、療養したときの体験をいろんな方に知ってもらうっていう機会がありました。
で、そういうのに対する反応、コメントとかもネットで常に確認していたんですけれども、体感では大体、うーん、5割、6割ぐらいの方は好意的な反応というか。ま、例えば、「自分もコロナかかって不安だったけど、すごく、あなたの情報で助かりました」っていうお話とか、「大変だったんですね、頑張ってください」とか、あとは、「こういうところはどうだったんですか、こういう症状はありませんでしたか、こんなときどうしましたか」みたいな、そういう質問とかが大体6割ぐらいを占めてました。
ただ、残りの4割は否定的な意見というかがありまして。その、例えばテレビでこういういきさつでかかってしまいましたって話したときも、やっぱり、テレビで報道、ええと、放送される時間には限りがあるので、一部分だけ切り取られてしまって、それが悪く解釈されるっていうことがたくさんあって。

さっきのネイルを断られた話を地元の新聞に載せてもらったんですけど、そのときも、「コロナかかったくせに、ネイルなんてやりに行くのおかしいだろう」みたいなのとか。「そんな体験をしたのにあっけらかんとこんな話せるわけないから、この人はうそをついてる」みたいなこととか。ま、そういう根も葉もないことをすごくコメントに書かれたりとかしていて。あとは、実際にTwitterのダイレクトメールとかリプライとかでそういうようなことを言われたりもありましたし。そうですね、なので、やっぱり4割ぐらいは否定的な意見も多くて。世の中の認識ってそういう感じなんだなってすごく悲しく思いました。

あとまあ、もともと、テレビに出たりとかするのも、顔を出さずにというか、マスクをして私が誰か分からない状態で出てはいたんですけど。なんかだんだん隠す理由も別にないかな、みたいに思い始めて。逆に、うんと、私みたいな見た目の、髪が明るかったりとか化粧をしっかりしていたりとかって、ま、いわゆる遊んでそうな人ですよね、若くて。が、コロナにかかっちゃいました、で、どうなりましたって発信をするっていうことは、またこの、そうだな、コロナ専門家のおじさんおばさんたちが発信するのとは違う意味を持つんじゃないかな、と。違う層に訴求できて、例えば今遊んでる人たちも、「俺らこのまま遊び続けてたらこの人みたいにかかっちゃうぞ」と。で、「若いけど意外と大変だったんだな」と、「軽症でも大変だったんだな」って思ってくれる理由になるのかなと思って。だったら、顔をしっかり出して、私みたいな人でもかかって大変な思いしたんだよっていうのを伝えていけたらなっていうのを今は思っています。

新型コロナウイルス感染症の語り

息子が陽性だったと誰かに言いたかったが、デリケートな問題なので話せる人は限られる。ママ友のグループLINEもピタッと止まってしまい、保育園からの連絡も途絶えた

ただ、あの、息子が陽性になったっていうことをちょっと誰かに言いたかった、このことをほかに誰が陽性なのかなっていうのが分からなかったので、私は「うち、陽性になっちゃった」っていって言いたかったんですけど、すごくちょっとやっぱりデリケートな問題で、私は陽性っていうふうに言いたかったけれど、もしほかに陽性の人がいたとして、その人が自分ちは陽性だったけど、陽性って言いたくなかった場合もあると思って、それで私が言ってしまうことによってその人が、なんか、言いたくないのに言わなきゃいけない空気になってしまうのもちょっと嫌だなっていうふうに思ったので、陽性っていうことは誰にも言えず、自分の家族と実家の親とか、そういう保育園とはつながりのない人に言うだけにとどめておきました。

――登園するまでの間、その辺はどういうふうに皆さん…ママ友のLINEはどうなってたのかなと思いまして。

はい。あの、なんか不思議なことに、PCR検査まではすごいLINE、ピンコンピンコンなってたんですけど、やっぱりPCR検査をするってなってから、やっぱり、その、誰、それからもやり取りするってなると、やっぱり結果を知ることにもなるし、それってちょっと犯人探し的な側面もあったりするので、みんなLINEするにできなかったのかなっていう感じもして、なんかピタッと止まりましたね。だから、個人的にLINEしたっていうのはあるんですけれど、その全体のLINEとしては、もうやり取りなかったです、全く。で、えっと、たまたま道で会った同級生のお父さんに「ちょっと聞いてくださいよ」みたいな感じで、「うちの下の子が陽性だったんですよ」「うわ、大変ですね」とか言って、あの、そういうことで、あの、発信っていうか、あの、伝えたっていうことはあるんですけれども、それ以外は特になかったかなと思います。
で、保育園からもPCR検査を受けてからは全く連絡がなくなってしまって。なんかそれもどうなんだよっていうふうに私はちょっと思ってしまったんです。心配してくれてもいいんじゃないかなって思ったので。あの、家族が陰性だっていうことが分かって、これはしめたとばかりに保育園に電話して「うちの息子が陽性だったんですけれど、先日家族はPCR検査で陰性でしたので、ご報告させていただきます」みたいな形で連絡をしましたら、「陽性者を把握してない」っていうふうに、保育園が「陽性者を把握してない」っていうふうに言うんですね。
でも、それは絶対そんなことはなくって。陰性者は、保育園…保育園って本部があるんですけど、本部は陰性者から連絡が来たって言ってるので、それを差し引いたら陽性者はおのずと出るので、絶対そんなはずないんですけど、そんなふうに言われたので、「それ、うそでしょ」ってのも、ちょっと言えなくって。その時点では、陰性の人は保育園から連絡がきたって私も知らなかったので、「ああ、そうなんですね」って言って、「うちは陽性だったんです」って言ったんですけど、でも、陽性者を把握しないと、保育園も登園を再開したときにその子のこと守れないんじゃないかなっても思ったし、うーん、保育園としても把握してほしいなっていうのは親として感じました。

新型コロナウイルス感染症の語り

感染が落ちついた秋ごろに実家に帰ったが、地方では東京より怖がっている感じがあり、ピリピリしているので、東京から帰っていることは他の人には言わないで帰ろうと思った

やっぱり東京と地方との認識、東京と地方と認識が違うのかなっていうのも少しあって。実は私自身は地方の出身なんですけれども、ちょっと感染が落ち着いた秋ぐらいにちょっと実家に実は少し帰っていたんですけれども、そのときに、やっぱり地方の認識と東京の認識の違いみたいなところは少し感じるところはあって。ええと、東京は、ま、「最大限に気をつけるけれど、なってしまったらちょっとしょうがないよね」っていうのは、それは多分医療機関が多かったり(して)、なったとしても対応できるからだと思うんですが、やっぱり一方で地方は医療機関も少ないですし、「なったらどうしよう」っていうところで、あの、少しの、感染者の数が少しでもきっとすごく大変なことになると思いますので、ま、そういったところで慎重なのかなっていうところで、うーん、やっぱり東京以上に怖がっているなっていうような感じは受けました。具体的にどうか、その、何かひどいこと言われたかとかそういうことではないんですけれども、やっぱりなんとなくちょっとピリピリしていて、東京から来るっていうのはちょっと、あの、秘密にして帰ろうみたいな、ほかの人には言わないで家族にだけ言って、家族とだけ会って帰ろうっていうような空気はありました。

新型コロナウイルス感染症の語り

「本当に気を付けていた自分がなぜ?」という思いはあるが、その一方で誰からうつったかはっきりわかっていたら、その人に複雑な感情を持たずにいられるかどうか自信はない

その時期、11月に1回熱出してPCR検査受けて陰性だったというときは、ただちょっと熱だけで非常に不利益が大きい、社会的な不利益が大きいってことが分かったので、もうその頃からほとんど外で1人で外食みたいなこともしてなくて。朝ほんとに子どもを保育園に送っていって、そのまま会社行って、あとはほんとに会社と家ぐらいしか行ってないという感じ。で、会社と家も、天気が悪い日は電車でしたけど他は結構、自転車を使ったりしていて。なのでかなり感染という意味では気を付けてたし、リスクも低かったと思うんですけども、なんで、どこでかかったんだろう、一体どこで罹ったんだろうっていうのは、かなり驚きましたし、なんで、結構…こう言っちゃなんですけど周りには、普通に飲み会やったりしてる人もいたので、「なんであんなに気を付けてた自分が」っていうような悔しい思いもありました。

もし人にうつしていて、妻はまあ、妻にはうつしましたけど、同僚とかそれ以外の人にうつしてしまっていたら、やっぱりちょっと、記事を書くことも、こういうインタビュー受けることも、ひょっとしたらためらわれたのかなというふうには思います。やっぱり、いや、そこはもちろん、何て言うかその、私はもちろん職業柄そういうことをしてはいけないというかですね、感染した人を責めてはいけないというようなことを、別に私自身が書いてるわけじゃないけど、うちのメディアとしては発信してますし、頭ではやっぱりそういうふうに思ってますし、けどもやっぱり、そこはやっぱり感情的にそこまで、あの、割り切れないっていうところはあって、やっぱり、うつしちゃったときに、私がうつしちゃった相手が、今までどおり私に普通に接してくれるだろうかとか、まあやっぱり1ミリでもですね、あいつのせいでっていうふうに思わないでいてくれるかなっていうと、やっぱりそこは100%自信を持てないっていうのが…まあその、感染症ってものの嫌らしさというか、難しい嫌なところなんだろうなというふうに思います。
で、私自身のことについて言うと、私ほんとにどこでうつったのか全く心当たりがないので、ま、逆に言うと、そこは幸せというか、まあ、そういう複雑な感情を持たずに、もし例えばうつしたと思われる人が特定できていたら、もちろん頭では別にその人が悪いわけじゃないと分かりますけど、やっぱり1ミリもその人に対して何も思わないでいられるかっていうのは、なかなか自信がないというか難しいところだと思うので、逆に言うと、知らないでいられる、いられたっていうのは、まあ、私自身は逆に言うと良かったのかな。あんまりこう、感染症の経路をたどるっていう意味ではよくなかったのかもしれませんけど、私自身の感情の持っていき場って意味では、誰が自分にうつしたのかっていうことは、知らなくてよかったなーというふうに思ってます。

新型コロナウイルス感染症の語り

36度後半の微熱で、万が一を考え会社を休んだ。3日経って熱が上がってきたので検査を受けた。職場に迷惑をかけないよう、結果を待たず長期休暇を申請した(テキストのみ)

(2020年)12月半ばの夜中ぐらいから、体がちょっと熱っぽいな、なんていう感じはしまして、早朝には、会社のほうにちょっと熱があるっていうか、36.8~9ぐらいなので休ませてほしいと伝えました。

翌日、一応休みはもらってるんですけども、そのときは早朝37.1℃の微熱でした。会社には「今週いっぱい休みをください」っていうことで了解を得て。コロナがどこでうつる、どこで感染するっていうのはちょっと自分で分かんなかったもので、一応そういう疑いも考えて、週末まで休みをもらったってことですね。

で、その週末、あまりにも熱が出たり下がったりで、病院へやっぱり行かなくちゃまずいなっていうんで、近くにある病院に電話して「熱があるんですけども」っていう話をしたら、病院ではPCR検査即受けるってことで。自分の場合は、唾(つば)ですね、それを採るって形で、病院のほうに提出しました。病院では、結果はすぐ分からないので、判定は2日後、直接保健所のほうから連絡があるっていうことで、病院を後にしました。そのときに、コロナ判定だと、やっぱし会社に迷惑を掛けるっていう部分があるんで、万が一を考えて年明け1月上旬まで休みを会社には伝えて、了解を得ました。私の業界は、年末年始は繁忙期で休みがなく、緊急時の交代要員を確保するのが難しいため、結局休みを年明け1月上旬までっていう形で休みをもらいました。

新型コロナウイルス感染症の語り

繁忙期の職場への影響と、コロナ解雇の不安がよぎった。早めに休んでいたし濃厚接触はないから大丈夫と思い込んでいた。報告が遅れたのを申し訳なく思う(テキストのみ)

で、保健所から陽性の診断を受けたんですね。そのときも、やっぱし熱は上がったり下がったりっていう状況で。陽性だっていうことで「あ、自分コロナにかかってしまったんだ」って…がっかりっていうか、そういう部分がありました。で、年明けまで(休むことを、すでに)会社に伝えてあるんで、先ほど言いましたように、事業の繁忙期(で)、「濃厚接触者はいない」って自信がありましたので※、(加えて)コロナパワハラの解雇なども頭にあったんで。それで会社のほうにはコロナ感染は、言えなかったですね。これにはもう申し訳ないっていう部分は、会社のほうには自分としては思っております。

※濃厚接触者の定義は発症前2日間に密な接触があった人までを含むとされます。当時は第三波でひっ迫していた保健所から詳しい聞き取り調査はなかったそうですが、高熱が出る2~3日前から休んでいたので「濃厚接触者はいない」と判断したそうです。(参考)積極的疫学調査実施要領における濃厚接触者の定義変更等に関する Q&A(2020 年 4 月 22 日)

昨年(2020年)12月頃は世間でコロナパワハラとか、バイ菌扱いとか、ネットとかでね、そういうのよく見聞きしてたんで…コロナ感染を会社に言えなかった。まあ、自分は休み(を申請したときの理由)はね、熱があるからって伝えて了解得てたんですけども。結局会社にはコロナだったって、年明け1月、通院後(復帰前に電話で)会社に…管理職に「実はコロナだった」っていうのは伝えてあるんですけども、それは後から、あの…まあ管理職に言わせると「いや、聞いてない」。結局言った言わないの問題になっちゃうんですけども、そういう状況で。コロナ感染は言えなかった。

新型コロナウイルス感染症の語り

回復後に感染報告をして復帰した。その後、特別傷病手当金の書類を提出すると「感染報告を聞いていない」と言われ、シフトから外されてしまった(テキストのみ)

コロナ給付金、国民健康保険の傷病手当金って、国保のほうから支給されるっていうのを聞いたので、役所の国保課に行きまして。傷病手当金の給付申請書をもらいに行ったんですね。

2月上旬に会社にその申請書を提出して、翌日に管理職から電話(があって)、自分は当日休みだったんです。

「ちょっと聞きたいことがあるから、来てくれ」っていうことで、会社に出向いたんですね。このときに、「なんでこれ(申請書)を出すんだ?」っていうように言われたんです。「傷病手当金の国の申請書の手当金の申請書だから、会社に書いてもらいたくて出したんだけど」って言ったんですけども、「いや私らはコロナだっていうのを今初めて知った」って言い出したんですね。「いや1月に、あなたに『私はコロナ感染して入院してて、今日年明けの通院の診療日で、完治した』って電話で言ったじゃないですか」って言ったんです。けど「いや俺は聞いてない」って。結局、言った言わないの押し問答になっちゃうんですね。で…その、結局私がコロナ感染してたことを、会社に黙ってたのは泥棒と一緒だっていうふうに言われて。自分ではあっけに取られたんですね。

「けど、1月(復帰前)に電話入れたとき『勤務させていいかどうかっていうのを悩んでた』って。ということは、自分がコロナだって知ってて、(だから)迷ったんじゃないですか?」って言ったんですけども、「いや、そんなの聞いてない」「泥棒と一緒だ」っていう、もうそういうあれだったんですね。
で、その次の出勤日、会社に仕事終わって終業時に管理職から急に、「日付(待機日の指定)なしで、交代要員」っていうふうに言われたんですね。「えっ?」と思ったんです。「え、日付なしって言ったら、じゃ解雇ですよね」って言ったんですけども、「いや、解雇じゃないです。日付のない交代要員」って言うんです。「だけど日付のない交代要員だったら(日給月給制のため、待機日の指定や実働がなければ給与が出ないので)解雇と同じじゃないですか」って言ったんですけども、「いや、交代要員ですから。会社から電話しますので待っとってください」「じゃあ、電話待ってればいいんですね」「そうです、まあ交代要員だから」っていうことで。解雇ではないことを一応会社、その管理職からは確認取ったんですね。「分かりました」って。「社長のほうに謝罪に行ってくれ」って言われたんで、社長のほうにその足で謝罪に行ったんです。

で、社長からは、自分がコロナ感染したことを言わなかったのは「そりゃ、犯罪人と一緒だ」って言われて。「犯罪人…え、なんで?コロナ感染して泥棒だ、犯罪人だって言われなくちゃなんないのかな」っていうのが、それが一番…思い強かったですね。