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大腸がん検診の語り

胃腸は丈夫なので心配していなかったし、周囲には乳がんや子宮がんになった人はいても、大腸がんの人はいなかった。大腸がんは高齢の男性がかかるイメージ(音声のみ)

……で、胃がんは、それが、その旦那のお母さんが胃がんにかかってたりするので、えーと、そういう意味では身近なんですけど、何か自分は胃腸が強いっていう何か、あの、……感覚があるので、…何か受けようっていう気にならないですね。……でも、可能性はあるんでしょうけどね。はい、と最近、思うようになりました。

―― まあ、じゃ、たまたま、そのー。

ええ。

―― 乳がんとか子宮がんが身近に患者さんになられた方がいらっしゃるっていうことで。で、大腸がんは、ま、確かにね、高齢の方が多いんですけど。

あ、やっぱり、そうなんですか。うーん、あんまり、若い人でね、聞かないよう、ま、知らないだけなのかもしれないですけどね。あと、何かね、あんまり女性はならないような、多分、全然事実の根拠はないのかもしれないんですけど。何か、大腸がんって、ま、なってる人って、たまに知っていても男性だったかなとか、さっきおばがいるって言ったんですけどね。でも、その場合もおじのほうが先だったんですよ。その、そのおばさんの配偶者の人のほうが。何かイメージとして(笑)、全く非科学的ですけど、……。

―― ほんと男性のがん。

うーん。

―― それよりも…同じ時間しかなかったんだったら、乳がん、子宮がん。

ええ、ええ、そうですね。うーん。

大腸がん検診の語り

年齢が上がってきて家族にも心配されるようになったが、自分だけは大丈夫だという気持ちがあった。何か病気はあるかもしれないと思っていたが、まさかがんになるとは思いもしなかった

わたしんとこに、手伝ってくださっている彼女も(大腸がん検診を)1回もやっていなくて(笑)。だから、お互い「ねえー」なんてやっていましたけど。でも、わたしがこうなったときに、やっぱ、彼女も、ただ、…あのー、血圧の薬は彼女は飲んでいるって言うんですよね。だから、どっかで、やっぱり、ねえ、あのー、勧められたんでしょうね。だから、わたしは、それすらも飲んでいないから、…あのー、「大丈夫よ」なんてわたし言ったら、息子に、「お母さんは、大丈夫と思っても、その、……あとの人がね、もう、そのすんなりと死ねればいいですよ」なんて息子に冗談で言われましてね。あの、血圧でその脳梗塞やら何やらというと、人に迷惑をかけることでしょう。だから、「そういうことは、お母さん、自分で自覚してください」なんて言われましてね。笑って、あのー、「あ、そうだね、ごめんね」なんて言ってね、あれなんですけど。ま、余談でごめんなさい(笑)。そういう母親でしたから。
まあ、とにかく怠け者で、自分の体なんてそんなに心配したことなかったんですよ。健康が取り柄で。だから、もう、ほんとに、あのー、「検診受けてちょうだい」って、…ま、皆さんに今は言っていますけどね。ほんとに、……ま、こんなことってあるんですね。…びっくりしましたもん、わたし、我が身にふりかかってくるなんて思ってもいませんでしたから、ねえ。
どうせ、この年になったら何かかにかあるだろうとこう思っていましたから、もう70になりましたでしょう。そろそろ考えなきゃなあって思っていた矢先でしたし。それもあっての、自分でね、血液検査っていうか、血圧検査っていうか、そういうことがきっかけですからね、やっぱりね。だから、やっぱ、そのば、何かかにか出るとは思っていましたけど、こういうことがね、「がん」って言われたときの…そのショックはやっぱり……それも「悪性です」ってこう言われ、あの言葉だけは忘れられないですよね。

大腸がん検診の語り

4人の子どもを育てている間、健診に行くことは不可能だった。在日韓国人への差別がある中で、病院に行ったり、子どもを誰かに預けることにも抵抗があった(テキストのみ)

はい、えーと、20代後半に結婚しましたので、その仕事についているときで、まだ出産をしていないときは、あのー、健診を受けることができましたね、職場で。ですけれども、30代に入ってから間もなく、あの、出産をして、ま、仕事、職場からは遠ざかって、まあ、あのー、主婦になって子育てをしているときは、健診はほぼ受けられなかったです。ていうのは、あのー、次々生まれて4人子どもを生まれましたので、で、あのー、ま、やんちゃな男の子でしたので、それを預けて自分が健診に行くっていうことは、とても不可能でした。
それで、また、子どもたちが大きくなって、あのー、40代50代に入ってからは、えー、また職場に、あのー、復帰しましたので、そこでは、職場の健診を受けることができました、はい。……。
そうです、何でもないんですけど、だから、子どもたちはいい時代に結婚したってね、思って、ほんとにほっとしたんですけども。わたしたちのときは、あの、そうではなかったので、ま、在日の二世なんですけど、わたしは。一世二世の時代はそうではなかったので、やっぱり、公共の場で名前を呼ばれるっていうことにものすごい恐怖感があったんです。いじめにもあったり罵倒もされたり、いろんなことがおきたのでね、うん。だから、名前を隠している人がたくさんいたじゃないですか。

―― そうですよね。ま、じゃ、それが、もう、例えば、その病院の場でもそうだったっていうことですね。

そうなんですよ。で、人権侵害ですからね。やっぱり、その、自分っていうものを、あの、チャレンジしようにもありのまま生きていないと、喜んでチャレンジなんてできないんですよね。だから、その子ども育てているときに大変だったっていうのはそういう問題もあって、あの、病院に行ったりとか誰かにね、親しく預けたりとか、迷惑かけちゃいけないとか、何言われるだろうかとか、そういうね、緊張感がものすごくあって生きてきたんですよ。だから、すごく自分は頑張ってこの子育てしなきゃいけないと思っていた。

大腸がん検診の語り

大腸がん検診がどういうことをするのか知らなかった。健診も、自営業だったためずっと先送りにしてきた

―― はい、と、えーと、大腸がん検診ってどういうことをやるかご存知ですか。

知らなかったんです。実は(笑)。

―― ああ、検便も、じゃ、ずっと、その0次*でやっていなかった。

うん、やっていなかった、そうです、はい、検便とったの…多分学生以来とっていないと思います。

―― すると、もう、えーと、ま、学校出られて、1回就職とかされています?

あ、でも、あのー、身体検査はなくて、はい、受けてないです。受けよう受けようと思いながら、ドックの勧めもあったんですけども、なかなかその仕事のほう都合がつかなくて。何か、先送り先送りにしてると、はい、結局受けずじまいですんでしまってました。はい。

―― それは、あのー、普通の会社の社員として。

あ、ではなく、あの、プライベートで受けようと思ってね、人間ドックだとかそういうので受けようと思っていたんですけれども、はい。

―― あの、ということは、会社で健康診断とかなかった。

あ、そうですね、あのー、自営業をしていたので、わたし、はい、あのー、……なかなか、はい。

―― ということは、えーと、社会保険ではなく。

ではなく、国民保険、ずっと。

*0次健診とは地域のNPO法人と大学が共同で実施している健診で特定健診を兼ねている。市民の健診データを大学の研究のため継続的に提供するもので、無料で受けられる。

大腸がん検診の語り

特に検査が嫌だから検診を受けなかったわけではなく、自分だけは健康だという思いが強く、受けなかった

―― でも、まあ、もうね、かかってしまったということでしたけれども、じゃあ、もう、あのー、特に、その、検査に対してこういうデメリットがあるとか、こういうことが嫌だからとかいうことではなかったんですか。

ええ。自分。

―― もう時間があれば。

ええ。自分はすばらしく元気だってずっと思ってたから、そういう気持ちにはならなかったですね。

―― ああ、そうですか。ふーん。ご家族の方でも特にがんにかかられてる方はいらっしゃらなかった。

いませんでした。

―― そうですね。じゃあ、ご自分が、ま、検診を受けなくても、がんにはならないと思ってらっしゃったということ。

と思ってましたね。

―― ああ。で、あ、じゃ、ま、あの、奥さまをね、あのー、ま、前に亡くされているというお話だったんですけれども、えー、奥さまのその闘病生活を見ながら、ご自身はどうかっていうことは、あまりそれは考えられなかったですか。

うん、ねえ、考えてみたですね、自分もこういう病気があるのかなっていうことはね。

―― ああ、ちょっと考え。

ええ。ねえ。毎日看病に行ってましたですからね。

―― そうですよね。うんうん。ま、それがこう、検診を受けようとかそういうふうにはあまり結び付いては。

うん、ねえ、そのときには思わなかったですね。自分だけが健康だと。

大腸がん検診の語り

特定健診に入っていなかったり、会社でもオプションだったりするのは、たいした検査でないと(行政が)判断しているからではないか(音声のみ)

で、特定健診はもちろん無料ですよ。いろいろ違うんですか、市町村によって。

―― 出ないところもあります。

あ、そうですか。あ、だから、お金がかかったら、ちょっと、ね、金額によってはね、まあ、そんなこと言ってられないけど。

―― じゃ、大腸がんや胃がんの検診も。

40歳45歳、大体、あの、ある年齢以上ですよね、確か、胃がんとか大腸がんは*。
それは、多分、適応になっているけど、確かやっぱり、45とか50とか、何かそういう境目で、毎年受けようと思って受けられるもんじゃないかもしれませんね。

―― けど、その年齢なら。

え、無料ですね。はい、だったと思います。

―― そうですか。……。

でも無料でさっき言ったように、無料検査の中の、…中に入っていれば、…その潜血反応のやつなんかだったら受けますよね。何で入れてくれないんでしょうね。…その、自治体が、…大腸がんを。ていうことは大したことないのかなって(笑)。

―― あ、入ったこと、入っていないから。

うん、うん、うん、そんなに稀なケース。

―― やっぱり心配な人が、こう、自分で。

オプションでやるものでしょ(無料だけど一般(特定)検診とは別に申し込むという意味です)。血液検査はみんなして、尿検査と血液検査は、それまあ安いからかもしれないですけど。必要に応じて受けるもの、心配な人が受けるもの、っていうふうになるから、わたしは、あんまり心配じゃないから受けないっていう…ことなのかしら。うーん……。

*本人補足:大腸がんは便潜血検査(2日間便を採取)で40歳以上、胃がんはバリウムのレントゲン検査で35歳以上なら毎年可能で、前立腺がんが60、65、70歳、緑内障検査が45、50、55、60歳でした。ほかに無料で受けられるがん検診は肺がん40歳~、咽頭がん40歳~がありました。

大腸がん検診の語り

行きつけの病院の先生から暇があるときに検診を受けたらどうかという話は出たこともあるが、お互い忙しかったので受けずに来てしまった

―― で、えーと、ま、ある程度の年齢になってくると、こう、市の広報とかで、あの、がん検診受けませんかっていうものが回ってくるところもあるんですけれども、あの、受けようかなって思ったことはありますか。

うん、そ、それはね、あの、言われたことあります。

―― あ、そうですか。

うん。

―― それはどなたから言われ。

先生から。

―― あ、えーと、病院、行きつけの病院の先生からですか。

ええ、今の。

―― で、それは、ま、あのー、言われてどういうふうに思いましたか。

うん、後で暇があったときに検査してあげますということは言われました。

―― じゃ、とてもお忙しくて時間が取れなかった。

お互いにね。
時間的に先生のほうも忙しかったんだろうけどね、やりましょうっていうことは言われていたけどね、時間的になかったんですかね、忙しかったって、やらなかったですね。で、あのときにやっていれば、あの、見つかったんだろうと思いますけどね。やってなかったですね。だから、やろうっていう話はあったですよね。でも、全然やらなかった。

―― やっぱり心配な人が、こう、自分で。

オプションでやるものでしょ(無料だけど一般(特定)検診とは別に申し込むという意味です)。血液検査はみんなして、尿検査と血液検査は、それまあ安いからかもしれないですけど。必要に応じて受けるもの、心配な人が受けるもの、っていうふうになるから、わたしは、あんまり心配じゃないから受けないっていう…ことなのかしら。うーん……。

大腸がん検診の語り

積極的に受けたいという気持ちがないので強制されなければ受けないと思う。健診項目にも入っていなかった気がする(音声のみ)

そうですね、まぁそういう機会がなかったというか、ええと、職場の健診とかでも大腸がん検診がなかったので、たまたま受けてないということだと思いますけど。積極的に自分から受けに行きたいと言うそういう気持ちがないので、なんか強制されない限りは受けないということだと思います。

―― 職場の健診のメニューの中に入っていないということでしょうか。

ええ、入ってたという記憶がないんですけど。もしかしたら、やってくださいと言われたのかもしれないけど、まぁ、定期健診の項目には入ってないんで、それで、やってなかったのかもしれません。

―― 今のお話ですと、あまりこう、積極的に受けたいという気持ちもなかったと…

そうですね…だから、いや、あえて避けてたというわけでもないんですけど、受けるチャンスがなかったというか、自然に受けないうちに今に至ってしまったということだと思います。

大腸がん検診の語り

職場の健康診断の中で便潜血検査は任意だった。上層部からの指示は特になかったので、受けなかった

―― あのー、他の人からとか、あと、上司の方とか、あと健康保険の方とかから。

ああ、指導はないです。

―― あ、そうですね。

はい、あのー、任意だったっていうこともあって、全くの、その要するに「受けなさい」ということも言われなければ、「受けなくていい」っていうことも言われないし、ただ、あのー、1回検査を受けたときには、その検体をさっと渡して、それですんだんで、とにかくそれだけのことだったんで。あのー、ま、上司からも、その上層部の、まあ、わたしの勤める上層部のほうからも指示はなかったんで、あのー、そうですね。だから、全く受けていないです、はい。

―― ほかの方も、別に、受けなくても…。

そう、そうです、そうです。もう任意ですから。受けたくない人は受けなかったのかなと思いますけれども、はい。

―― それで、まあ、安くなるとか、あのー、お金が、そういうことは全くなかった。

えーと、要するに、その、会社組織として、その健康診断をとって、やっていたので、そのお金には一切無関係ですね。あのー、いろんな、任意の検診があったんですが、それは、もう、全然、その、もう、お金の心配はなく、組織としてこういう検査があるんだから、まあ、やったらどうですかということであって、たまたま、わたしがそれを最低限の、あのー、ま、レントゲン写真と、うーん、採血ぐらいですか、を、受けただけで、見送っていました、はい。

大腸がん検診の語り

便の状態が細くなったので市の検診に申し込んだ。市の検診は毎年募集しているが、毎年受けなくてはいけないとは思っていない

ちょっと便が細く…便の状態がですね、えー、細くなってきたことがありまして、それでちょっと気にかかってたところで、あの…市の検診がありましたので、その検診を受診したところ、まあ、あの、便の潜血検査で…便に潜血ありという診断が出まして、精密検査を受診することになりました。

―― 具体的な、えっと、申し込むと、どこか、あの、例えば医療機関に行って、一式、検査。

いや、一式、潜血検査のあの、あれは、用具は一式送ってくるんですよ。

―― あ、そうですか。

それで送り返すんです。そして、結果だけ送ってくるんですね。陽性か陰性かという結果だけを。それで陽性の場合には精密検査を受けてくださいよ、という通知が結局来るんで、それを持って今度は大きな病院に行って、内視鏡の検査を依頼するわけです。

―― そうですか。なるほど、はい、わかりました。じゃあ、あの、市の検診でそういうのがあるというのは常に知っていたけれども、その時は、ちょっとあの、便の状態がいつもとは違うので、検査を受けてみようと。

そう、そうなんです。あの、毎年来ますけれども、毎年受ける必要もないかなとも、思ってますんでね。

―― それはあの、検査項目としては、大腸がんの他にも、他のがんも検診は受けられるようになってるんですか。

えーっとね、あれは、大腸がんは大腸がんの、潜血検査は潜血検査だけの申し込みだったと思います、はい。

―― ちなみに、たまに、あの、便潜血検査が大腸がんの検査だっていうのをご存じない方もいらっしゃるんですけれども、それはご存じでしたか。

僕は、それは知っていました、はい。