インタビュー時:65歳(2010年3月)
関係:妻(夫を介護)
診断時:夫65歳、介護者63歳
2008年に夫がアルツハイマー型認知症と診断され、アリセプトの内服が始まる。夫婦・息子の3人暮らし。文具駄菓子屋経営。2年ほど前、近所の人から夫の行動がおかしいことを知らされ、自覚のない夫を説得し神経内科で検査を受けた。デイサービスなど公的福祉資源の活用はしていないが、家族・近隣のサポートを受けながら自宅で介護を行っている。

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プロフィール詳細

D.G.さんは夫と同じ東海地方にある200世帯ほどの田舎の集落の出身で、21歳で嫁いだ。村中が親戚のようなつきあいで、昔ながらの共同体が今も残っているようなところである。そこで、D.G.さんは、文房具駄菓子屋を営んでいる。夫は一人っ子で、夫の母親はリウマチで寝たきりなので、D.G.さんが14年間姑の介護をしてきた。3人の子の妊娠中も、動けない姑の体位交換や移送など一人でやってきたが、実家の両親が子育てをほとんど引き受けてくれたので苦労と思ったことはなかった。しかし、そのため夫は何も自分でできず、家にもあまり帰ってこない自由奔放な生活だった。もともとの生活習慣もあって、夫の変化に気がつくのが遅れた。

診断を受ける2年くらい前にD.G.さんが怪我で一カ月入院したときに、見舞いに訪れた人々から、それとなく夫がおかしいという話を聞いた。その後さらにおかしい行動が目立つようになり、定年退職後の地域の役員の仕事も、物忘れのためか会合の日にちを何度も確認して、夜中に出て行こうとするなど行動がおかしくなった。近所からも、他所の家にあがりこんで話し込むなどの苦情があった。

D.G.さんはいらだって、何度もそんなことをしてはいけないと注意したが、夫はただ怒るばかりでいうことを聞かなかった。姑の世話もしてきたので、夫の世話そのものが大変と思ったことはないけれど、人様に迷惑をかけていることがつらかった。とにかく夫を説得して地元の病院に連れて行き、紹介状をもらって神経内科を受診した。するとMRI検査で海馬の萎縮(いしゅく)があり、アルツハイマー型認知症と診断された。そのころにはもう夫は生年月日も分からない状態となっていた。

毎朝1錠のアリセプトが処方されたが、朝食を家で食べない夫は、薬を持参しても外出先で服用することはできなかったので、アリセプトを持たせることを止めて昼食や夕食など家で食べた時に飲ませるように工夫してみた。現在は認知症が進行し、アリセプトは2錠に増量している。主治医を信頼し、全面的に任せているが、受診時は何か言うと夫が怒るので、毎回手紙にして主治医に夫の状態を伝えるようにしている。

認知症について、新聞・本、テレビなど積極的に知識を得ており、病気だと理屈では分かっていても、はじめのうちは起こっている現実を受け止めきれない苛立ちがあった。今は、近所の人には夫の病気のことを隠さず話し、駄菓子屋を営んでいるので、盆正月にはお店の商品を持参しては近所に挨拶するようにしている。近隣のサポートが得られたこととで、徐々に状況が改善していると感じる。最近、夫が積極的に散歩をしてくれることと、昔は家であまり食事をしなかった夫が作った料理をおいしいと言って食べてくれるようになったことが何よりうれしい。

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