投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

PSAの値が10になったときは尿の量がちょっと細くなったが、今はどこも不調がないので、検査は3ヶ月に1回がちょうどいい

3ヶ月に1回PSA検査やってます。

――3ヶ月に1回っていうペースはご自身にとっては、いかがですか。

いいところじゃないですかね、大体。3ヶ月に1回程度が。いいところだと思っていますね。これで、体調がね、具合悪いとか、しょっちゅうね、おかしくなるとかっていうんだったら、もう、「毎月でも検査してください」って言うと思いますよ。全然、変化、感じないですからね。一応、あのPSAの数値が、10になったときにはですね、尿量がちょっと排出量がね、ちょっと細くなったなということはありましたけどね。今、7ですけれども、別に排尿に困難を生ずるということは、一切、ありません、ええ。ですから、わたしの場合は、比較的、前立腺がんとしては、良好なんじゃないですかね、いいほうのがんなんじゃないですかね。自分では、そう、思っていますね。

前立腺がんの語り

2年間ほど様子を見て、PSAが7~8ぐらいまで上がってきたので再度生検をして、手術を受けることにした

「現状では、大丈夫だ」ということ。「ただ、まあ、それがいろいろ起こってですね、分散しますとね、いかんので、まあ、数値が10前ぐらいに上がってきだしたときに考えましょう」いう話を聞いてました。
そういう、PSAを取りながら、定期的に見ていって、数値が、最終…7か8ぐらいまで上がってきましたかね。その段階で、まあ一応、「切りましょう」ということで、先生とも「じゃ取りましょうか」言うことだったんですけど。もう切ってしまえば一番間違いないということを、先生言われましたんでね。きれいな形のときに取ってしまえば、一番問題ないと。はい。

――7か8まで上がっていくのに、どのくらいの期間が?

2年、約2年間ぐらいかな。

前立腺がんの語り

何もしないで様子を見ることも考えたが、近所の人で見つけるのが遅れて骨転移した人に今のうちに何かした方がいいとアドバイスされた

で、生検をやりました。そうしたところ、10本のうち1本出たんですね。で、1本だけ出ましたと、顔つきはいいですというふうにまあ言われました。まあ、がんの顔つきですよね。で、それは少し助かったかなという気はしたんですが、「あ、ほかの人より10年早い」という思いがあったんですね、そのときは。まあ大体70歳過ぎで見つかるじゃないかと。まあ、文献によれば80過ぎの男性の2人に1人はあるよということが書かれていますけれどもね。ちょっと早い、10年早いという気がしたわけです。
で、まあ、一応出ちゃった、どうしよう、なんですね。で、あの、がんは、前立腺のがんは非常に進行が遅いと、いうふうに言われているわけですので、しばらくそのままで、もうちょっとマーカーが上がるとか、またしばらくたって、何年かたって再度生検をしてみてからでもいいかなと。その間、まあ待機療法というんでしょうかね、しばらく観察しながら、いこうかなという選択肢もあったんで、随分それを考えました。やはりあんまりいろいろなことはやりたくない。
うーん、じゃ、何もしないで様子をみるかと、いうことを考えたわけですが、えー、やはり同じ近所の方で、ちょっと見つけるのが逆に遅くなってしまって、前立腺の外にもう浸潤が進んじゃって骨転移までしちゃってるという方がいらっしゃいまして。そうなるとね、ちょっと手のつけようがなくなって、それは非常に逆につらいことになるから、今のうちに何かしたほうがいいんじゃないですかと、まあ、同じ患者同士のね、アドバイスをもらったわけなんです。

前立腺がんの語り

放射線やホルモン療法でも何らかの後遺症(や副作用)があると認識していたので、経過観察が何よりだと思った

「経過観察で十分です」って言われたんで。もう安心しましたね。ということは、成長が遅いということは、もう、知識として頭の中にありましたからね。何回も聞かされて。それで、「経過観察で十分ですよ」と言われたっていうことは、非常に安心しましたね。その時点で。放射線受ければ、あの、後遺症が出るっていうことは、もう認識していましたからね。いろんな面で、後遺症があるということも理解していましたしね。ホルモン療法だって、いろいろと後遺症がね、あるのも分かっていましたしね。うん、ですから経過観察が何よりだなと。経過観察で、ねえ、今すぐ命を奪われることもないなということが分かりますしね。もう、ほんとに安心しましたよ。
今、ずっと経過みていてね、まあそんなに、排尿で苦労するわけでもないし。で、PSAもそんなにね、増えていかないし。今もう、何にもこのがんに対する恐怖なんては全くないですね、今。これで、胃がんとか、ねえ、肺がんとかだったら、こんなにのんきなことは言ってられませんよね。これ前立腺がんだからだとわたしは。自分自身では、なぜ、こんなに…。自問自答していますよ。何でこんなに安心しているのかなと。ま、前立腺がんというのは、成長が遅いんだと。ねえ、わたし比較的遅く発生ですよね。71歳のときですからね。がんが発生したというのは、告知されたのが。ですから、経過観察で10年は大丈夫だと、大学病院の先生に言われましたから。そうすると、81ですよね。そしたら、何も治療しなくても、このままで、ねえ、何もしないで十分だと、平均寿命を超えるという妙な自信みたいなものが、そんときありましたね。うん、ですから、これはもう前立腺がんで、死ぬ前にほかの病気で、老人病で、ほかの病気で死ぬほうが早いという、今そういう認識です。

前立腺がんの語り

自分のように悪性度が高い場合は別だが、前立腺がんは進行が遅いので、何もせずにPSAのフォローをするというのも正解だと思う

この前立腺がんの場合はですね、まあ、ちょっと私の例はやや特殊に近いかもしれないんですけれども、PSAも非常に高くてあれだというんで、まあ、同じぐらいの方には、あんまり悠長なことは言ってられないんですけど、基本的には前立腺の場合は非常に進行の遅いがんだと大体言われてるんですよね。進行が遅いから、えー、前立腺がんそのもので寿命を失うかですね、その、ほかの病気を原因で寿命を失うのか。あるいは自然と生き延びる寿命が、もうそっちのほうが自然に先にやってくるのか。まあ、ちょっとその辺の見極めがね、非常に難しくなってくると。
あと、5年、10年、これ、なかなか難しいんですけれどもね。あの、あと自分の期待余命というのがなんぼか、ぐらいの話がよく言われるんですよね。でも、これ、患者に聞いても、なかなかね。90の人に聞いても―お医者さんが言うんだったら、「もういいだろう」と言うだろうと思うんですけれども―90の患者さん本人に聞けば、「もういいだろう」とはなかなか言わないもんで、まあ難しいだろうと思うんですけれどもね。
でも、まあ、要するに、前立腺というのは、特に、グリーソンスコアが普通―8~9になってくるとちょっと話が別なんですけれども―まあ、6以下、もう少し言えば7以下ぐらいまでだったらですね、そう慌てなくて、様子を見ながらという、まあ、治療法いうのが(ある)。これはほかのがんにはないんですよね。ただ、前立腺がんだけに経過観察とかですね、そういう治療法があるんですけれども。これは治療法と正確に呼んでいいのかどうか分からないけれども、結局そういうぐあいにしてずっと観察フォローを続けながらやっていくほうが、患者さんのQOLにとっては非常に(いいと)。どこも悪いことが出てこないわけですし。それをお医者さんに、PSAのフォローとかですね、きっちり定期的にフォローさえしていただいてたら、まあ、手遅れにならない程度にはまだまだ間に合うということなんで、大慌てで、切って手術するとか、そういうことをするより、その、自分がほかで抱えておられる病気のほうをまず慎重に見ていかれるほうが、前立腺がんの場合は正解じゃないかなと思うんですよね。

前立腺がんの語り

がんはがんだと言われたが、医師が友達になって75歳まで辛抱して付き合っていきましょうと言ってくれたので嬉しかった

「がんはがん」と。「しかし、まだ良性(のタイプ)だ」と。「だからこのまま、あなたの今の年齢は70歳だから、75まで辛抱して付き合えたら、もうそれで手術しなくてもいいんだ」と。「だから、これからお友達になって長く生きましょうね」と。「お友達ですよ」と言われたその言葉が私…私にとってはものすごく嬉しくって。そして、またいわゆる…安心というんですかね。そういうものを与えてくれたと思うんです。まあその辺がね、人それぞれによって悲しくなるんか、嬉しくなるんか、ちょっと分かりませんが、僕は後者のほうでね、嬉しかったです。はい。

前立腺がんの語り

治療について色々説明を受け、希望を聞かれたので放射線治療を希望したが、紹介先の大学病院では、経過観察で十分と言われ、ほっとした

医師から治療について、いろいろと説明を受けました。ホルモン療法とか放射線とか、摘出とか、前立腺のね。ただし今の段階では、そんなにねえ、PSAが高いわけでもないから、どういう方法がいいかということは、放射線治療か、ホルモン療法になるのか、それは今後の経過をみてということになりますねと。とりあえず希望を聞かれましたから。まあ、放射線治療がわたしとしては望ましいという話を医師にしました。それで医師のほうから、大学病院を紹介されまして。で、大学病院の泌尿器科の教授の診断を受けたときに、「この状態であるならば、放射線まだいいでしょう」と。「希望分かるけれども、わたしとしては、経過観察で十分です」と。「前立腺がんというのは、成長が遅いですから。ですから、今の年齢からいっても、10年くらいは、このPSAの数値であるならば、10年くらいは経過観察で十分です」ということ…の説明を受けましてね。それでまあ、一応ほっとしたっていうのが実感ですね。
まだ、4か5くらいでがんが出たっていうのは、ほんとに初期だろうと思っていましたしね。で、骨シンチをやって、全然転移もないということでしたから。初期のがんだというふうに、わたし自身は思っていましたね。うん、で、大学病院で、「経過観察で十分ですよ」と言われたから。ああ、なるほどなと納得しましたよ。

前立腺がんの語り

アメリカの病院で受けたクライオは治療費だけで300万円、ホテル代や航空運賃を含めると360万円ぐらいかかった

アメリカの病院ですから、僕の立場で行けば当然保険は対象外ですから、自費になるわけですよ。で、はっきり数字で申し上げれば、治療だけで300万かかりました。それプラス、入院…入院代じゃないわ、ホテル代と往復の交通費ですね。

――総額でどれくらいになりますか?

だから…、360万ぐらいいったんじゃないでしょうか。

前立腺がんの語り

HIFU自体の治療費は80万円プラス消費税で、取り残しがあって再度治療をする場合は60万円と聞いた

実際、HIFU自体の治療費は、80万でしてですね。それプラス消費税で、それで84万でね。一切合切、えーとね、手術の当日は、あと部屋代と食事代がいるだけです。後ほんで、通常のPSA検査とかああいうのは、保険が利きますのんで、1ヶ月おきにPSA検査して、尿検査は、保険内容で、私の場合は、70超えましたんで、今んところ1割負担でね、済んでいますし。で、まあ、80前は、がん保険、私の場合は、そんだけなかったですけども。それでも、だいぶがん保険で充填できましたんでね、何とか。で、2へん…2回目は、もし取り残した場合、しかも、前立腺の中にまだ残って、焼き残しですね。その場合はですね、次は60万だそうです、ええ。インターネット見ていると、HIFUやった方で、2へん3べんやった方…あるみたいですね。

前立腺がんの語り

HIFUでは性機能が残るといわれ、1年くらい経って試してみたら残っていたが、射精はないので子供はできない

あの、性機能がわりかし、残るよということで、全然心配もしてなかったんです。今までどおりでいいなアということで。もう、年齢的なものもありますんで。ただ、あの、精液は出ないよというふうに、あとから、っていうか説明書の最後に載っていましたんで。「ああ、そうなんか。そうすると、機能との関係で、まるっきり駄目になっちゃうんでもないかな」と。「ま、でもいいや」ということで、1年間ぐらいしてね。まあ、ほんで、試してみたら残っていた。「ああ、こういうことなのかな」と。ただし、射精は全然ありませんのでね、「子どもをもうけることは、やっぱりできないんだな」っていうことは思ったですけども。
あの、やっぱり、「男は死ぬまで男だ」とやっぱり基本的には私も感じとるんで。「ほとんどまあ、男は卒業だ」とかいう人もあるんだけど、じゃ、100%心の中でそう思っているのかなと思うと、まあ、そういう人もあるかもしれんですけども。やはり、基本的には、男の原動力ではないかなあとは思っているんですけども。それでもまあ、確かに、だんだん薄れていくことは間違いないですけども。確かに「ゼロになってしまうよ」っていうと、なってしまえば仕方ないですけども、そんでも、さみしいなあと思いますね、男としてね。