投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

クライオの後1週間ほどで血尿は収まったが、日本に帰国してから尿が漏れるようになり、4年経っても治らない

やっぱり血尿がありましたね。これはあの、「(血尿が)あるから、別に心配しなくていいですよ」って、医者から前から言われてましたので。1週間ぐらい続いたかなあ。どうしてもおしっこの中に、血液が混ざっちゃうんですね。それはだんだん薄くなってきて、色が薄くなってきて、最終的にはおしっこだけになって、治りましたけども。
それは手術でもあるんですけども、尿漏れ、これがあるんです。

――クライオのほうですか。

クライオでも。僕もありました、確かに。で、まあ、それは覚悟して行ったんですけども、あの、帰って来るまではなんともなかったんですよ、大したことなかったんですよ。ほとんど漏れなかったかなあ。だから楽観してたんですけども、そのうちにだんだん漏れるようになって。知ってます?あの、パットっていうの、使う。

――どんな感じか、ちょっとご説明いただいてもいいですか。

あの、女性が使うあれがあんじゃないですか、生理用の。ああいうやつです。あれのもうちょっと大きいやつ。水、水を含む量が70cc、120cc、200cc、300cc(笑)みたいに、分かれているんですよ。それごとに厚みとかサイズが違ってくるんですけどね。だから漏れる量に応じてその中の適当なものを選んで、当ててなきゃなんない。それもね、1年ぐらい経つと治る人が多いって聞いてましたけれども、僕はいまだに治ってないです。

――いまだに。

4年経っても。

前立腺がんの語り

HIFUをやったことによって括約筋の部分までやられたせいか今も少し尿漏れがあり、活性炭入りのパットを使っている

やっぱり、超音波とはいっても、そこに集中してこう処理するもんだから、腫れたりする関係から、尿道にカテーテルを突っ込んだままにしなきゃいけないのがちょっとつらくてね。あの、おしっこが出なくなったりするのが一番困るからということで、自分でカテーテルを突っ込んで、尿を排出する方法から何から、わたしは全部やりましたけれど。幸いにも、それは…もう出なくなるほどの腫れはなかったようですけども。ですけども、HIFUをやったことによって、やっぱりあの、何ていうか、おしっこを止めたりする括約筋の部分までやっぱりやられたせいか、つまり焼くわけですから。あの、やけどの状態起こすわけですから。それが、ちょっとある関係で、今も少し尿漏れがね。あの、ハクションしたり、力仕事とかちょっと力んだりしたりすると出てくる…漏れたりすることがあるもんですから。尿取り用の、まあ、女性用というか、まあ、男性用というか、その匂いのしない、活性炭の入っているパットなんかは、ずっとやっている状態が続いております。
そういう生活QOLのことに関しては、尿漏れっていうのは、すごく大事な部分で。わたしのように、いつも座っているような仕事だとまあまあそんなに大したことないんだけど、会議やら何やらしょっちゅう、あと、出張やらあったりする場合は、やっばり、常日頃その行く先々のトイレがどこにあるかとかね。一番初め、初めにやっぱり何かと、何をするにも最初にもうトイレに行って済まさなきゃならないって。いつも普通の仕事をしていたときよりも、トイレに関しては、神経を相当使わなきゃならない状況になってきておることは事実ですね。

前立腺がんの語り

クライオセラピーの施術後1週間は尿道カテーテルと尿を溜める袋をつけたままで過ごしたが、痛みはなかった

おしっこの管はね、別に、その尿道にまた別の管を入れて、あの、膀胱から直接管を通っておしっこが出るようにして、で、出たおしっこは、このへんにね、あの、プラスチックのバッグがあって、あの、これに溜まるようになっているんです。バッグをこうやって吊るしておいて、で、それをいっぱいになったら、トイレに行って流す。そういうところは不便でしたけど、いやそんなことね、別にどうってことないじゃないですか。で、1週間経ったらその管をね、抜く作業をしなきゃならないんです。で、1週間経ちました。行きました。で、おしっこのあの、管を取って、引き抜いて…で、あ、そうだその前に、管から普通の水を入れたんですね、膀胱に。で、管を抜いてちゃんとおしっこがでるかどうか、トイレに行ってやってきてください(笑)って言われて、で、その入れた水がジャーと出るかどうか試したわけですね。で、ちゃんと出ましたって報告したら、じゃ、もう大丈夫ですって。それで帰ってこれたんです。

――その痛みとかはいかがでしたか?

痛みまったくなかったです。

前立腺がんの語り

HIFU後、バルーンカテーテルを抜いた後は自己導尿をしたり、尿道を拡げるために鉄の棒を通したりした(テキストのみ)

そのうちに、もうだいぶ良くなってきたんで抜いてもらった。それから、自己導尿用にバルーンの付いてない、普通の、ビニールの管、ストローと同じ。ストローの長いのですよね。それを3、4本もらってきた。それで、自分で、尿意を催すたびに差し込む。ちょっと痛いけどね。外出するときは早めに、駅のトイレに走り込んで。手慣れてくるとね、大便所に入らなくても、立ちながら、やりました。隣の人は何をやってんだっていうような顔してのぞき込んでいたけど。

――それは、その、だいぶ長い期間やったわけですか。そうでもなくて、割と1日、2日とかいうことですか。

いや、もっと長かった。1ヵ月ぐらいかなあ。
で、カテーテルを外しても、だんだん詰まってくるんですよね。尿路が狭くなっているというとき、鉄の棒を尿道に、入れるんですよ。それが痛いです。ちょっと、鉄の棒の先に麻酔かけますけど、最初細い棒をスッと入れて、次にもうちょっと太いのが入って(笑)、最後に小指ぐらいの太いのを入れて、そのときは痛かったです。

――その痛いのは、何回ぐらいなさったんですか。

そうだね。4ヶ月に1回ぐらい。2度か、3度ありますね。そういうふうにして、広げると、ある程度筋肉が広がるんでしょうね、だから、人間の肉なんて伸縮自在ですからね。例えば、アフリカの女の成人がこう、こうやって、金属で広げてますね、ああすると広がるのと同じで、狭くなって来たらまた金属を入れて広げる。で、もう最近はそんなことはしませんけどね。

前立腺がんの語り

HIFU後、尿道カテーテルの扱いが面倒だったが、抜いた後も血尿が出たり、尿が出にくくなったりして大変だった

管を入れたままで、退院するときは、そのまあ袋はぶら下げてないんですけども、管の先をこう栓で止めてね。こう、止めてね、こう。そうやって生活するわけですね。それだと、シャワーでも風呂でも入れるんですよね。だから、まあ何ていうかな…まあちょっとややこしいけども、おしっこするとき、いちいちこうやって栓を外して、こうやって、ね。管でやりますから、まあそういうのがちょっと面倒は面倒ですけども。
まあ聞いてはいたんですけども、あの、前立腺を、生身の、こう焼くわけですから、そのぼろぼろ焼いたカスが詰まるとかね、血も出ますし。で、しょっちゅう…1つにはその、尿が出なくなる、そういう障害が多いっていうのを聞いてましたんで、そういうのになったらどうしようかっていう不安もね、ありました。不安がね。
で、確かにそういうこともあったんですけどね。もう全然、何か膀胱が(尿でいっぱいになって)腫れているのに出ないってなると、もうカーッとしてきてね。こうなって、「大変だ、どうなるんかなあ」と思って。「これはすぐに医者のところへ行かなきゃな」ってんで、車へ乗って、もう行くんですよね。そうすると、その震動が何か効くのか知りませんけども、もうものすごい尿意で、もう我慢できなくなるぐらいに、なってくるんですよ。それで、もう途中、その病院まで案外遠いもんですから、途中コンビニかなんか探して飛び込んで済ませたりしましたね。で、まあもう出たんだから、病院行く必要ないなあと思って。また、帰り、またすごい尿意がね、催して。で、もうそれは、あとは家まで我慢しなきゃあかんと思って、こうやって行きましたけども。そういうことがあったんで、今度は、また出なくなったときは、またね、車を運転してそこら辺をドライブしてくればいいっていうことになったんですわ。確かに、これは私の場合ですけどね。その震動かなんかで、あの、出るようになるんですよね。
バルーンカテーテルは抜いた後は、まあそういう、ちょびちょびっていうかね、その、やっぱし、パンツが汚れるんですよね。その、血がにじむようなとか、色が付くとかね。それで、何かいろんな、私もそのホームページでいろんなことを聞くと、おしめみたいなのをね、当てている人もいるし。で、私も何かちっちゃな、こうカット綿みたいなのを、こうパンツの中に入れて、あまりパンツが汚れるのも気持ち悪いからっていうことでやっていましたけどね。でも、それもだんだんと、きれいになってきてからは、まあ卒業しましてね、ええ…。

前立腺がんの語り

クライオセラピーは全身麻酔で1時間程度の日帰り手術だった

クライオ自体はね、その日だけで終わっちゃうんです。その日で終わりなんです。で、2時間ぐらい経って、はっと思ったら目、覚めたんですね。すると周りに医者がいて看護師がいてうちのワイフがいて、えー、ずっとベッドの周りを取り囲んでいて。それで、やっと気が付いて、あ、もう終わったんだって思ったんですけども。で、あと1時間ぐらい、まあそのまま、あの、なんて言いますか、休んで。歩いても歩けるし、おしっこもちゃんと出るというのを確かめた上で、あの、退院―退院ってことはないですよね、入院したわけじゃないから―病院から出られたと。
あの手順はね、最初にやった内部照射とほぼ同じですよ。要するにあの、前立腺に、管を通して、そこにあの、急速に冷凍する液体、液体じゃないわ、気体ですね、アルゴンガスみたいなやつを流す。流すと、ばーっと凍りついちゃうわけですよ。マイナス160度ぐらいって言ってましたかね。それを5分おきぐらいに2回やったっつったかな。医者はそう説明してました。…要するに尿道も一緒に凍らせちゃあまずいわけです。尿道って大切でしょ、おしっこの出る管ですから。それも一緒に凍っちゃっちゃあまずいわけですよ。だから尿道にはね、あの、別にこう、プラスティックのパイプを通して、その中にあの、お湯を通しているんです。お湯を循環させてる…凍らないように。

前立腺がんの語り

入院した日の午後にHIFUを受けて夕方には病室に戻った。本当に治療できているのかと思うくらい簡単な手術だった

行った日の午後やったと思うんですけど。午前中に、浣腸だけしてですね。あとは、そうです。その後、即手術やって夕方(病室に)帰ってきて、そのときには、カテーテルが尿道に入っていたですけども。それで、痛みも何もないですし、そしたら血尿が…やっぱりね、焼いただけで。やっぱり尿道の近くもずっと尿道残して、焼くみたいで。そこで少し、赤い血尿ですか、あっただけでね。ほいで食事は…どうだったかな、その晩は少し食べれたような気がしますけども。はい。
それで、家内の、何ていいますか、乳がんの手術と思うと、もう全然、家内のは全身麻酔でやりましたもんで。HIFUはほんとに、私は、手術という言葉自体が、何か手術かなあ…? でも、先生は、「手術」って言われるんですけれども。「HIFU治療」と言っていますけれどもね。そのぐらいの、とにかく簡単な…。ほんで、はたして、その前立腺の中のがんがなくなっているのか、治療できてるのかなあと、それぐらいの手術っていいますかね、治療法です。

前立腺がんの語り

HIFUは下半身麻酔で始まり、途中から痛くなってきたのでそのことを伝えたら、点滴の中に麻酔を入れられて、意識がなくなった

あの、手術っていうのは、まあ麻酔をするんで、実際には何も分からない。分からないんですけど。だけど、最初はこっちが痛みを、ひどい痛みを訴えない限りは分かるような麻酔なんですよね。で、あのう、看護師さんがそばにいて、「もし、痛いときは言ってくださいよ」っていうような形で、それで麻酔をして、始まるんですけども。
まあ、案外珍しい治療からか何か知りませんけども、その、見学者が多いんですよね。ええ。若い女の人もいるんですよね。こっちみんな、こうね、あの、下半身、裸で足広げてこう。で、こう皆さんに、医者が説明して。うーん、で、「ビデオも撮りますけどいいですね」とか言ってね(笑)。もうそこまでなっといて、こんななってんのに、そう言われても、どもならんな(笑)、ええ。まあしょっちゅうビデオ撮るわけじゃないでしょうけどね、たまたまそういうときだったんでしょうけども。
それで、手術っていうのは、その、肛門から、こう…棒状のものを入れて、その先端から、その超音波を出して、前立腺で焦点を結ぶようなそういうやつですね。でも、90何度になるらしいですけども。それで、コンピューターで、この何秒照射して、したら何ミリ動かすかって、そういうことで、ずうっとこうやっていくので、だいぶ時間がかかりましたね。まあこっちはもう麻酔で分かんないんですけども、始まりから終わりまで全部で何時間かなあ。3時間ぐらいは、3時間か4時間ぐらいかかったんじゃないでしょうかね。で、途中、痛くなったんで、「ちょっと痛いんですけど」って言ったら、もうすぐに点滴の中に麻酔の薬を入れて、それからもう分からなくなったんですよね。だから、まあそういう痛みとかなんかそういうことはあんまり気にはなりませんでしたけどね。

前立腺がんの語り

先に放射線をかけていて選択肢が限られてしまったため、クライオセラピーを選んだが、4年しか持たなかった

で…、「30さんの場合はやっぱりある程度限られちゃうなあ」って言ってましたね。というのは最初に放射線かけちゃうと、手術は非常にしにくくなるんですね。なぜかっていうと、あの、前立腺が尿道の隣りにありますよね。あ、違う、尿道じゃないや、あの、腸の隣りにある、直腸の隣りにある。だからくっついちゃうんですね。癒着しちゃうんです。ですから非常に切り離すのが大変だって言ってました。で、限られた中で何か一番いいかといえば、アメリカでやってるクライオかなあ、っていうふうにおっしゃってましたね。
アメリカではクライオをね、最初の治療、ファースト選択に選ぶ人も結構多いんですって。別に放射線とかあるいは手術と同じように、始めっからね、クライオをやる人も、もう結構いるらしいんですよ。かなりだから、あの、普及している、特殊な治療法ではなくて、普及している治療らしいです。で、僕の行った病院は大学病院ですけども―UCLAっつったかな―そこの看護師さんも医者も、そのクライオをやってからね、「もうこれであなたもう治ったんだから仕事も復帰できるし、なんでもできるよ」みたいな、すごくポジティブなことを言ってくれて。あ、僕仕事してると思ったらしいんですね、職業のことなんか言いませんから。で、リタイヤしてると思わなかったらしくて、仕事もバンバンできるよみたいなね、そんな言い方をして。まあ励ましてくれたんでしょうけども、でも実際にはそうじゃなかったんですね(笑)。それもやっぱり4年しか持たなかったですね。ちょうど今から4年前ですから、クライオやったのがね。

前立腺がんの語り

最初にかかっていたがんセンターからはHIFUでは再発して死ぬかもしれないと言われたが、モルモットでいいやと思った(テキストのみ)

「そちらのほう行ったら、再発して死ぬよ」と言われたんですけど。まあその大学の先生も、手術(HIFU)の症例が非常に少ない。僕がね、42番目と聞いたんですね。がんセンターっていうのは、一般に認められたものしか扱わない。実験的にやっているのは大学、各大学病院でいろんな方法の治療方法をやってられて、これで絶対大丈夫っていうのしか、がんセンターでは使わない。僕はもうモルモットでいいやと思って行きました。