ですからあとはもう放射線治療なんですけど、その外部からする治療と、それから小線源治療というのとね、2通りあると言われて。ところがですね、その治療が行える場所がA県の場合には、別々だったんですね。つまり、外部から照射するところは、あるところに行って、それから内部で小線源治療はまたそれと別のところだったんですね。で、外部の照射っていうのは、ちょっと実は遠いところだったんです。ここから少し離れてるんですよね。で、それから一方、小線源治療のほうはまあ比較的近いところでした、ということもあって。で、まあどちらでも、私の場合にはどちらを選択しようかと思ったんですけど、そのまあ距離の問題と、それから…あと1つですね、あと1つの要素は、要はその、外部から照射するのは比較的、これはもう経験があるっちゅうんでしょうか、治療法としては結構、まあ古いんだけれども、小線源治療というのは新しいと言われたんですよね。アメリカのほうから、最近伝わってきた手術法で、案外新しいですと。それは少し不安材料ではありましたね。つまりその、経験があまりないという…ことだけども、まあ果たしてその、安心になるのかっていうちょっと不安はありましたけど。ですけどまあアメリカで経験があって、日本でもまあここ3年ぐらい前からやれるようになったって聞きましたんで。それとあと一つはやっぱり、ときどき行かなきゃいけないから、その地域の問題ですね、近さの問題。その3つと、それから先生が、私の場合には「小線源治療がいいんじゃないでしょうか」と言われて、そのへんがやっぱり決め手になりましたね。
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会社勤めしますとね、どうしても、あの…うーん、結構、長い時間、会社でお得意先も回るし。だから、その日のうちにひょっとしたらね、ズボンが黄色くなる可能性もあるわけですよね。まだ私の場合は家が近くだから「あっ」って思ったら帰ってきて、着替えすりゃいいんだけど。そういうわずらわしさをなくするためにはやはり、尿漏れっていうのをね。切れがいいやつ(笑)、そういう(治療)方法があれば、まあ60過ぎてもまだ働けるかなと思っていましてね。
「病院には(小線源療法は)いつ入るんですか」って言ったら、「そうですね、1年ぐらいしたら入るんかなあ…分からんとですよね、はっきりね」って。「大学病院はどうですか」って話しますと、「自分の母校ですから、それも問い合わせしてみましょう。ですけど、やっぱり1年ぐらいはかかるんじゃないでしょうかね。先生達は今アメリカあたり行って勉強しとりますから」っていうようなことやったんですよ。「じゃあ先生、とにかくどっちか早いほうでやりましょう」と。(小線源治療の)手術をですね。「東京、大阪に(の病院に)は行きません。その間(かん)は薬で治療してください」というようなことで。
小さなカプセル状のシードというのを前立腺の中に挿入する、あの、比較的当時としては新しい治療を受けて、現在に至っております。治療の名前は小線源法…ブラキセラピーという治療でございます。私が選択したこの治療は、非常に患者の体に負担が少ないというような、いい面がある治療ということで、しかも、大きな手術を伴う全摘出手術と同じような効果があるというふうに、外国の文献で見ることができまして、この治療を受けるということに至ったゆえんでございます。
この中でIMRT、これは非常に面白いなと思いましてですね。で、これを地元の県のがんセンターね、がんセンターの相談窓口に電話して、聞いたんですよ。で、(手術を受ける)1年前ですけどね、その当時はまだIMRT(強度変調放射線治療)は保険が利かないとのこと。78万円ぐらいかかると言ったかな。それで、保険が利かないということは自由診療になるんで、ほかの検査とかが全部駄目で。100万円くらいかかると。A病院の重粒子線は300万円ぐらいかかるという話で、これは私みたいな年金暮らしで、1年間に年金を300万円ももらってないような貧乏人のやることじゃないなあと、そう思いましてね。
まあ、例えば…性機能みたいなことで話させてもらっても、別にそれはそれで大丈夫なんです。ただまあ、どう言いますかね、精液の量はだいぶあれは減るんです。量はかなり減ってますけれども、別に機能としては、放射線の場合は、資料を読めばですね、率はだいぶ、手術なんかよりははるかに少ないんだけれども、そういう、無理だという方もだいぶおられるのは確かなようですけれども。私の場合、何ともないですね。ですから至って、もう本当に頼りないぐらい、何も(副作用が)ないんですよね。
晩期合併症で、大体、直腸出血だとか、そういうのが出る可能性があるっていうようなことを聞いてたんですけれどもね。で、私が…今年の2月の中旬に1回だけ出血がありました。ちょうど2年経ってるんですね。で、その直後に受診したんですが「ああ、やっぱりそうか。直腸の出血だね。まあでも、心配要りませんよ」と言われたんで、その通り、全く心配なかったです。1回こっきりだったですからね。ああ、やっぱりそうだったんだなっていうふうに、まあ、思ったんですけれども。74グレイで止めといてやっぱりよかったのかな、先生の言う通りに、三次元原体照射でやってよかったんだなっていうふうに、今思ってますけどもね。やっぱりもし、あのときに強引に、IMRTをおねだりしてたら、もっとひどくやられたかなというふうに、今、思ってますけどもね。
私の場合は、そう、確かに一時頻尿がありましてね。それで主治医のほうへ行って、主治医に薬をもらいました。それを飲んで、そしたらずっと、もう簡単に治っちゃいました。簡単に治ったんで、じゃ、もうやめていいのかと思ったら、いまだにずっと飲んで、同じものを飲み続ける。もういいでしょう、やめましょうなんて、先生言わないですよ(笑)。行くたんびに。
――出されるんですか?
ええ。大変ですね。ですから私は、その分と、心臓のほうの病気ですね、そちらのほうも薬が出てますから。もう何か食べるように薬を飲まされていましてね(笑)。大変ですね。ええ。
それで照射しているときに、第1週目で、1週間目ですね、そのときに一応、今の自分の体調の状態を、全部書いて出すわけなんですよ。そのときに普通の、全然変わらない、以前と体調は変わらないと。それで2週目ぐらいまで、2週目というと大体5日5日ですから10日ですよね。そのくらい…10回までぐらいには、ほとんど変わらなかったんです。それから、その10回過ぎてから、少しずつ、便が出るときに硬い便になってきたんです。で、だんだんとそれが、日にちが経つにつれて、今度出るときに痛みを感じることに。結局、その、まあそのとき、そういう痛みを感じて便も硬くなっているということを、そういうのをまた書いて出すわけなんですよね…状況を、体の具合をね。そうしますと先生は、多少そっちのほうに、その被ばくのあれがあるから、ちょっとそっちの方がまあちょっと火傷っていうか、多少、そこのところにちょうどやはり、直腸というかあれがね、来ているから重なっているから、それで痛みを感じるというので薬をいただいて、その肛門から中へ入れてあれをしてた。うん。それもね、だんだん慣れてきて、あれしてきたらね、痛みも少し少なくなってきて。ああいう、まあ薬を付けたせいもありますけどね、ええ。それでやっていって、それで今度、3週目、また20回過ぎた頃から、便が今度、毎日出てたものが、それがちょっと出なくなってしまって。それで薬をもらって、それをやったら、今度便が、軟らかい便が出るようになって。それでね、ずーっとそれが長く続いておったんですけど、その期間ずーっと、便も変わらず出ていたんですけど、痛みがね、少ーしずつ、やはり、だんだんと残ってきて。便通がある…通じがあるときだけ痛いんじゃなくて、少しずつ何か肛門の中が最後の頃になったらちょっと痛みを感じて、それでやはりその薬を使って、痛みを治すようにしててやっておりました。
そのリニアックを入院でやった人もいるんですよ。で、それね、がん保険入ってたらね、それ(保険)ききますよと言われて、僕知らんかったから、通院しましたけど。それでもね、ずっと45日ぐらいでしょう、あの入院するでしょう。これずっと、保険ききましたよいう人がおりましたね(笑)。
簡易保険なんかやったらそれは出えへん場合もあるらしいんですけど、がん保険に入っとったら何もかも、その…(保険が)ききますよという感じは、ね。皆さん知ってたほうがええ…ええよ、得やよ。しんどい目して、車で、近いからいうてね、通う必要もないなと、入院しとったらええんやなというね、うん…気は、その人の話聞いてからね「ああ、そうやったんか」て。そんなしんどい目せんかってよかったのになあと。まあ、知らなかったからなあという気はしましたけどね。
――通院は、かなりしんどかったんですね。
そうですねえ。
――どんな感じだったとか、具体的に教えていただけませんか?
あのね、花見、花のシーズン言いましたよね。そしたら、印象的に残ってるのはね、ちょうど行くでしょう。で、帰りしなね、もう決まったもう、ファミレス決まってるんですよね、そこへ行くいうてね。いつも行くでしょう。で、いつもの定食食べますやん。で、そこは中年か高年のまあウエイトレスさんがいて、「あ、この人ら病気やな」みたいな感じね、そんな感じでしたよ。「あ、また来てるわ」みたいな感じやった。そんなことしてまあ、途中で帰って、で、帰って、もう2人だけですから、自分は寝るだけ。それも何も、ね、お風呂入るいうたって、お風呂の用事も皆家内がしますから、だから、しんどいのは、自分の体しんどいから、しんどいから何かせないかんいうことはなかったから助かったと思うんですね。だから、むしろその、シーズン的によかったんで、うっとおしい気分は、花見なんか行って晴れるというので、しのいでいたと。で、一つ仕事終わったなという、手術という仕事が終わった後に、まだ生きてるから、これでええんかな、みたいなんで。だから、あんまり不安も何も感じなかったですけどね。
結局入院しててですね、ほんの、ですから準備で20分か30分かかって、もうあとは、もう時間の中、数え切れないぐらいの短さですから。ただ、あれの機械が、非常に重粒子線というのは大きな機械で回しているんで、で、何か時間どおり、ぴしゃっぴしゃっといかないらしいんですね。だから、あなたは何時何分ですよということできちっとしていれば、恐らく入院なんかしなくても済むんじゃないかと思いますよね。ところが順番をちゃんと無駄なくこうするために、明日の午前中、大体何時ごろというようなことで言っていますけども、時間的にはずれることが結構多いですよね。
――結構ずれるんですか?
ええ。だから、それがきちっとできてれば、何もあれもないんですから、通いで良い訳ですね。ところが、そういう時間を無駄にしないために、むしろ泊まらせられてるっていうような感じですね。いや、他の部位の人は知りませんよ。少なくても前立腺がんで入院していた我々仲間はそうですよね。何しろ、ですから、一日のうちにそれだけですからね。あとはもう退屈でしようがないわけでしょう。かといって病院を出ていくわけにいかないんで、病院の中にいなきゃいけない。それで、まあできるだけ、散歩なんかは、先生は勧めているんですけどもね。で、勧めているんですけども、病院の中歩いてても、狭いし面白くないから。私らね、時々抜け出して、公園もすぐ隣にあるし、あるいはあの辺の町をぐるっとね。そのうちに、朝はそれこそ早く、朝食食べる前に抜け出してね(笑)、散歩して。そうしたらやっぱりそういう仲間がいましてね。
許可なくして外へ出てはいけないということになっているんですよ(笑)。それでですね、もう看護婦さんにちょっと目つぶってもらって、もう看護婦さんも知ってるんですよ、われわれ仲間がね、朝早くたむろして、どっかぐるぐる出て回ってるのを。たまにはあの辺でちょっと電車に乗って少し違うところの公園に行ってたり(笑)。結構ね、そういう意味で楽しかったですよ。ええ。