投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

IMRTの治療中、自分で車を運転し、遠距離を通院していたので、交通事故を心配された

あとやっぱり、一番心配…みんな心配したのは、行き帰りの車の交通事故。これは治療受けている先生方からも、「あなたの場合、車でのあれだから、バスか何か、電車か何かで(通院)できないんですか」ってよく言われました。結構やっぱり、ほら、眠くなったりとか。続けて、夏の間ね、自分ばっかりしっかりしていても、誰かの居眠り運転にあって、交通事故なんかあって、入院しなきゃならなくなったら「放射線治療を続けてするのが、意味があるのであって、これが途中で中断したら、全然意味がなくなる治療なんですよ。そこ分かっているんですか?」ってよく注意受けましたもの。

前立腺がんの語り

IMRTの治療中は、通院した。職場には迷惑をかけたけれど、入院して何もしないでいるよりは良かった

IMRT、放射線は、1日で一気には当てられないけれど、毎日しなきゃならなかったんだな。土日休んで。多分そうだった。うん。
――入院は考えられなかったんですか?
あの、入院してもいいんですけども、治療する以外のときは、ただ何もしないでいなきゃならないんですよ。これもつらいじゃないですか、だって。うん。だから、それよりもやっぱり、生活のリズム。少し…治療しなければならないっていうのもあるんですけども。だからその分、その点…職場の皆さんには、多分迷惑かけたと思います。皆さん理解していただきましたけどね。…ある意味これは、地方公務員だからできたようなものであって、普通の民間の人だったら、ひょっとしたらクビになってたかもしれないし…厳しいところで、そんなに簡単には。やっぱり思い切って入院でもしてもらったほうが、よかったかもしれないですけど。まあ、わたしのある意味、わがままで。そうやって外来で通って、休みをいただいた。だってIMRT受けている方々、ほとんど皆、わたしよりご年配の方でも全部外来でしたもん。

前立腺がんの語り

三次元原体照射は通院でも受けられるが、距離が遠かったのと日常生活に自信がなかったので、入院して受けた。その方が安心だった

通院でも照射はできるんですが、距離が遠かったということと、やっぱりちょっと、日常生活を送りながらでは、年齢的にちょっと自信がなかったもんですから、まあ入院したっていうことで。通院で照射を受けられて、完治されたっていう方はたくさんお見えですね。体験談っていうのか、それを見てみましてもね。で、同じように、照射を受けながら入院されてる患者さんも随分見えましたね。遠距離の方も見えたんですけど、近距離の方でもね、通院でなくて、やっぱり入院して照射を受けたほうが楽だっていうことで、そういう方も見えます。ですから、通院でも不可能ではないですけども、私の場合は入院でやりましたですね。そのほうが安心なもんですからね。

前立腺がんの語り

最初の病院ではホルモン療法しかないと言われていた。放射線治療を受けられて、5年生存率が5割以上に上がったと希望が持てるようになった

精神的な面で。放射線治療イコール…ひょっとしたら…5年生存が2~3割やなしに、5年生存が5割以上に打率が上がったぜっていう希望も…それには結び付きますね。結び付く、一番それが大事なことなんで。今まで何でかっちったら、「あんた、放射線治療もできんよ。ホルモン療法しかないよ」という説明だったんで。本当は…今の時点でそのまんま、ここ(最初の病院)でお世話になっとれば、次の状況…同じ薬と同じ注射ですからね。(放射線療法を受けることに)なっていっとったかも分からん。ただ、こっち(頭)のほうがついて行っとったかどうかはまた別でね。もう過去のこと言っても、それこそ神さま…神のみぞ知る。今にして思えばという話ばっかりですが。

前立腺がんの語り

重粒子線治療で、真正面から照射する時に、尿道から膀胱へ水を注入するのが嫌だった

20回のうちの4回かな、4回か5回が、横からやるときはいいんですけども、それは排尿してきて、それで受けるんですけども。今度、真正面からやるときには、膀胱を痛めないためにということなんでしょうかね、膀胱の中に水を入れるんですよ。で、ちょうど真正面だと膀胱に当たっちゃうからなんでしょうね。で、そのときに、尿道から水を注入されると。それが何か嫌でね(笑)。割と皆さん、嫌がってる人が多かったですけども。

前立腺がんの語り

重粒子線治療は、楽だったけれど固定具をつけて横になっている時間が20~30分あったのが面倒だった

最初受けるときに、前もって病院行って、ワンポイントで相当きついのをやりますから、体が動いてはいけないので固定具というのを着けるんですね。で、固定具というのを着けるんですけども、それは人によって体の大きさとかお腹の大きさが違いますから(笑)、前もって行ってですね、CTの検査だとか何かするときに一緒にその固定具もあつらえるというか、作ってくれるんですね。ビニールというかプラスチックというのかな、そういうもので、熱するとあったかくてこう軟らかいけど、だんだんこう冷めてくると固まってくるという、そういうのをこう、お腹の上にくっつけましてね、それで形を取っちゃうんですね。で、それで決まって、そういうものを着けて、それで向こうは、コンピューターか何かで全部こう照射して、どこへこうワンポイントで当てればいいかということを決めるわけですね。そういう計算を全部やってるんですね。ですから、そういうものを毎回、自分がやるときは(自分用の固定具を)着けて、それで横になってやるわけですけどもね。照射をする時間というのはほんとにね、何秒かなぁ…、30秒足らずじゃないかと思うぐらいに、1分もかかってないんですよ。で、ベッドに横になって、固定具を着けて横になって、さあ、行きますよというまでに20~30分かかるんです。ということは、向こうで、とんでもないとこに当たっちゃうと大変ですから、全部こうね、神妙にこう検査してるんですね。覗いて。ですから、それがちょっと。20~30分の間、割とおとなしくじっとしてなきゃならないのはね、面倒でしたけどね。割とそういう意味では楽でしたし。

前立腺がんの語り

初期だから性機能も100%大丈夫、治りますよと医師に言われ、粒子線(陽子線)治療にしたが、治療後に転移が見つかった

で、粒子線に行ったときに、まあもちろん、骨シンチで転移もない。限局してるし、その当時、PSAも6ぐらいだったんですかね。ですから、まあ10以下っていうのは非常に初期ですから、向こうの部長も「普通粒子線でもね、ある程度もうはみ出したり進行してる人、症状があったり進行してる人は、まずホルモンを打って…半年前からね。で、縮小させてから粒子線をする」というのを(説明)されていたんです。私の、ちょうど友達も、そこで会ったんですけど、「え、おまえも来たんか」いうことでびっくりしましたけどね、彼なんかも、ホルモンを先行してやっていたんです、ある程度、中程度(のがん)、私は初期ですから、ホルモンも何もしないですぐやったわけですね。なら、部長も「男性機能もこれは100%大丈夫だし、抗がん治療はね…あなたのは初期だったから、もう全然問題ないです。100%治りますよ」と言ってくれたもんですから、そりゃもう任せて安心ということで。まあ300万円って高いですけどね。(※)そのときはもう、密封小線源も保険適用になってましたけどね。あと、HIFUとかいろいろありますわ。そういうのもありますけど、それはやめて、300万円払って。まあ、アメリカ行ったらもっと高いですからね。やったわけです。で、安心しておりました。
ちょうど1年後に、(PSAの値が)8か9ぐらいになったときに、どうもそれ、下がらんのおかしいと。もう一度、その、骨シンチ。MRIはね、別に異常ないんです。「骨シンチを撮ってくれませんか」ということで、その、粒子線の部長が言いましたもんですから、骨シンチを撮ったんですね。そしたら「右の第6肋骨に転移があります。だからまあ、原因はこれでしょう」と。で、「ああ、先生。100%言うて、私なんか初期なのにね、何でこんなこと起こるんですか」って言ったら、「いやあ…」。その院長もね「申し訳ない」と。「あなたの場合は、本当に稀なケースで、お気の毒としか言う言葉がありません」ということで言うんですけれどもね(笑)。そんなこと言われてもしょうがないですね。まあ大変ですけど、そういうことで、転移。
(※)このインタビューは粒子線治療が保険診療外だった、2008年に行われました。

前立腺がんの語り

X線と重粒子線治療の説明を聞き、新しい方法で不安もあったが、これまでの治療データでなら大丈夫と言われたので重粒子を受けることに決めた

何も(治療を)しないよりは、やっぱり何かしたほうがいいし、それには放射線がいいんじゃないかと。で、「放射線は最近非常に、レントゲン、エックス線でもね、相当進んできて、自分のところの病院のレントゲン科でも相当いい機械も入れてね、昔と違って副作用も少なくなってきているし、ワンポイントで照射できるから、一度紹介するから、そちらへ行ってその先生の話を聞いた上で判断されたらどうですか」と。で、そのときにね、私、「重粒子線というのもあるんですね」って言ったんですよ。で、それはね、私の後輩が既にC病院で治療を受けてましたんで、で、その彼から、非常にそれの優位性というのを聞いてましたんでね。「先生、どうなんですか?」って言ったら、「ああ、いいですよ」と。で、「そちらのほうも紹介しましょう」って、
で、私は両方聞きに行くことにしたんです。それで、その病院のエックス線のほうへ聞きに行ったら、女医さんだったんだが、大変親切でね、熱心で。あなたのがんだったらすぐ治りますと言わんばかりに言ってもらったんだけども、やっぱりね、副作用を調べてみたら、やっぱり結構まだあるんですね、進んでるとは言いながら。で、C病院のほうのあれ(重粒子線治療)と比べるとやっぱり劣るもんですからね。で、C病院のほうへ話を聞きに行ったら、C病院のほうの先生も、「まあ、今までまだコマーシャルベースに入ってないけども、もうかれこれ10年近くになって、その中で前立腺がんが一番よく効いている」と。で、「大体、まあ90%ぐらいはほとんど良くなってます」と。で、「あなたの場合だったらね、生検の結果をもう一度自分のところで、調べ直した上でないとはっきりは言えないけども、今までのデータで言うならば99%大丈夫でしょう」と、太鼓判押してもらったんで、それでね。僕はやっぱりいろいろ、心配ではあったけど、今まで調べてましたから、データで。大体もう、モルモットじゃなくて本当はもう大丈夫なんだなと思いましたから、それでC病院に行くことに決めたわけですけどね。

前立腺がんの語り

重粒子線は身体に負担の少ない治療法と聞き、先端医療なので好奇心もあって受けた。治療費が一番の副作用だと思う

重粒子線というのは、やはり新しい治療ですし、非常にお金も高い治療です。保険もききませんし。ただ、非常に体に負担のない、いわゆるがんの患部に行って直接そこで効果を発揮するという治療ですから、非常にそういう意味では、治療の後遺症とかそういうものは、あまりございませんのでね。それはそれで、まだ先端医療でしたし、そういう意味では免疫細胞療法も先端医療ですし、お金がね…やはり両方ともあんまり副作用ないよと言いますけど、お金がなくなるのが一番の副作用でね(笑)。やはり、先生を存じ上げていたとかですね、そういうもの(先端医療)にトライしてみようという好奇心もあったんでしょうねえ。

前立腺がんの語り

IMRT前に、リンパ節切除のため全身麻酔の処置を受けた。そこまでするなら、手術の方が良かっただろうかと再発した今、悩む

このIMRTっていうのは、当然、放射線治療ですので、計画を立てなきゃならないんですよ。で、計画っていうのは、どういうことかっていいますと、人間1人1人その内部の臓器が違うもんですから、その臓器の形をまず確定しなきゃならないし。それで、動くでしょ、中の前立腺なりいろんな周辺のものが。膀胱であったりね。だから、そういうものの位置を決めるために、そのIMRTを受ける前に、ですから金マーカーっていうのを入れるんですよ、前立腺の中に。金です、金。金属の金。で、これを目印にして、そして、そっからこう立体的な、わたしのその、放射線を当てるべき、前立腺および精嚢の部分のかたちを、映像化して。それに対する放射線をどういう角度で、どういうふうに何回当てようかっていうのを、放射線の計画っていうんです。それの計画をまず組まなきゃならないと。その計画にもとづいて、そして放射線の技術者っていうのが、こう回転しながら、何分間ぐらいずつ、いろんな角度からずーっとこう当てるんですけどもね。
(IMRTを)やったあと、やっぱり、やり遂げたと。だけど、これがよかったのか、手術がよかったのかって思いながら、その2ヶ月間、40回のIMRTは、続けている間は、これでいいのか? これでいいのか? って思いながらやっていましたね。ええ。それは葛藤ありますよ。だって、どれがいいかなんていうのは分かりませんもん、われわれ。うん、自分にとってね。ただ、その準備のために、先ほど金マーカーを前立腺に3ヶ所こう入れたと。その入れるときに、リンパ節をとって、そして、そのリンパ節までいっているかどうか、全部じゃないんですけども、一番いきそうな部分をとって検査するんですよ。で、それでも、がん細胞ありませんでしたよということをね。だから、金マーカーを前立腺に入れるっていうときに、全身麻酔しているわけなんです。そんときに腹の中に穴をあけて、そしてリンパ節を(切除する)。そんなことやるんだったら、もう手術したほうがよかったんじゃない? っていう思いも今はありますけどね。