投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

小線源療法を受けた後、放射線源が入っているため日常気をつけなければいけないことが書かれたパンフレットを渡された

病院では入院する前に、さまざまなパンフレットを、これ、読んでくださいということで渡されました。その治療法についてですね。それから、後は、じゃ、麻酔についてもこれを読んでくださいと、大変懇切なものを渡されました。退院のときもそうなんです。この注意がありますよということなんですけれどもね。で、とにかく法律上、そうなっているということなんですが、個室でないと駄目よと。埋め込んだら放射線が出ますということなんですね。で、その手術した日は、家族も入れませんということなんです。まあですから、結構…廊下とベッドとの間の距離がある個室は用意されていました。じゃ、完璧に隔離されるような部屋かというと、それほどではないという説明でしたけれどもね。やっぱりそばに寄ってはいけないんです、ということでしたね。それから半減期、放射線の、ヨードを使ったわけですけども、半減期が約2ヶ月なんで、59日ですかね、約2ヶ月なんで、その間は、これから妊娠したりさせたりする可能性のある人のところへは近寄らないでください。そういう人と一緒にいるときには、ある一定の距離を取ってくださいということも厳重に注意をされました。ところが入院してみたら、看護師さんたちは、毎日接していますけど、そんなこと気にしてたらやってられません(笑)、ということなんですよね。まあ、そこにちょっとギャップを感じましたけれども。うん、それでも、まあやっぱり、法の決まりはそうなんですね。で、1年間は、きちんとカードを持って歩いて、途中で事故死するようなことがあったら、すぐ病院に連絡をくださいと。前立腺の摘出をいたしますと、死体からね。はい。1年間は。まあ、そういう放射線管理上の注意を受けて、カードをいつも持って歩いてます。はい。で、それとその、最初は尿閉が怖かったもんですから、保険証もいつも持って歩いてました。はい。

前立腺がんの語り

小線源療法は、性機能の温存については一番心配のない方法だと言われたし、実際大きく低下したようには感じていない

えーとですね、性機能はあの、一番その心配のない方法だと言われましたね、小線源治療はですね。で、実際あの、年齢的なものがあるから、やっぱり衰えはね、これはもうどうしようもないですから。あの、まあ年齢的なものよりも、この手術をしたことによって、少しはやっぱり衰えてきてるのかなという感じはしますけど、決定的ではないです。ですからその、特に性的なものでまったく駄目ということは(笑)ありませんね。そのへんはお医者さんもそう言われました。別に、その機能が駄目になることはないと。だからそういう意味で、あの、この小線源治療を、まあ、お勧めしますということでしょうね。うん。

――そういった意味で、パートナーの奥様との性生活に何か影響は?

いや、ないと思いますけどね。ないと思います。それは、妻は言わないから、わからないだけかもしれませんけどね(笑)。ないと思います。まあそれはあの、若いときのようではないし、そりゃ妻も若いときのようじゃないわけで(笑)…おあいこかなと思ってますけどね。だからその、えー…まあ、まずは妻に聞かないとわかりませんけど、まあ私は特に、大きな変化があったとは思ってないんですね。で、機能が非常に低下したとも思ってはいないですね。

前立腺がんの語り

小線源治療後5ヶ月経つが、夜間頻尿などの排尿障害が続いている。文献で書かれている期間ではなくならなかった

で、一応手術が終わりまして、で、現在なんですけども、4ヶ月、5ヶ月たってですね、やっぱりちょっと支障はあるんですね。うん。で、まあ、アメリカの翻訳した本や何か読みますと、1~2ヶ月で、排尿困難とかですね、夜間頻尿とか、切迫尿とか、そういうのはなくなりますよと書いてあるんですが、続いています。ですから、排尿のときに結構痛みはあるんです。それから、夜もやっぱり二度、三度起きます。まあそういう意味のね、生活の質を維持できてるかというと、それはちっとも変わってないんですよね。うん。それから、おしっこの量がうまくコントロールできない。うまく出ない、残尿感が少しあるとかね、そんな現象もあります。それはやはり、資料、文献のとおりにいかなくて個人差がある分野なのかなと。で、まあそこは、医師と、今の手術をしてくれた泌尿器科医、専門医と相談をしながらやっているわけですけれども「まあ、1年ぐらい続く患者さんいますね」ということなんですね。で、アメリカの文献のとおりにはいきませんと。もうちょっとかかっていますというようなお話があります。そうすると、あ、それはそれでいいのかなということですね、はい。

前立腺がんの語り

小線源治療後、トイレが我慢できない状態になり、おしめを当てて早めにトイレに行っていた。約1ヶ月後に中国に旅行にいったが楽しめた

トイレしたいというのがもう起こってきたら我慢ならないんだということを、やっぱり意識してて、ですから早め早めにまあトイレに行くようにしてたということですね。で、あとはまあ、おしめをあてて対応したという、まあその2つでしょうかね。

――ある程度時間が長時間拘束されることもあると思うんですけども、そういったときの対応策とかってありますか?

そうですね、あのですね、実は8月6日に手術でしょ。で、9月の中旬ぐらいに中国に1週間、旅行に行ったんです、息子夫婦とですね。で、そのときはね、少しはね、飛行機の中で何時間か乗らなきゃいけないし、ちょっと不安はありましたけど、だけど、まあ早め早めに対応すればいいというふうに思ってましたんで、別に特に、トラブルっちゅうのはありませんでしたね。無事に中国旅行を1週間ぐらい、やってきましたね。楽しかったです(笑)。

前立腺がんの語り

歩きなさいと言われたので、小線源治療を受けた翌日には病院を散歩した。周りの皆に「簡単な治療なんですね」と驚かれた

病棟に帰ってきましたら、「歩きなさい」と。「しょんべんも自分でしなさい」ってなことで、「とにかく歩いていいんですか」っていうことで、「いいよ」って言うから、私も大体、アウトドア派だもんですから、外ばっかりが好きなんですね。そんなら、すぐさま、もう外に出かけまして。毎日、その1週間の間、そうですね、2~3時間ずつぐらい、午前午後、大学病院の中を、構内を散歩しましてね。これが患者やろうかっていうぐらいなことで。皆さんからね「あんた、どうしたん?」って言うからね、「いや、手術したんよ。がんの」って。「どこのがん?」「前立腺がん」「そげん簡単に、痛(いと)ない?」って言うから、「うん、何かうそみたいよ」って。「歩け、歩けって言うから、歩かせてもろとります」と。「タバコを外で吸っていいって言うから、タバコも吸わしてもうとります」と(笑)。「なかなかに簡単な治療やな」って言うてね。もう皆さん、大学病院だからいろんな方がおられますね。片腕とかね、足とかもう、ない人とかね、いろんな方がおられるんだけど、「がんの治療の人はえらい簡単だな」って、皆さん、びっくりするような治療ですね…うん。で、その後(あと)の健康体っていうのがね、それは皆さん、信じられんみたいでね。「何、3日前に手術したの?」「4日前に手術して、そんなに歩いていいんか」ってなことでね。「ああ、いいらしいよ」って。「何の差し支えもないから。自分でも不思議だよ」ってな話でね、やったんですけど。この治療をしたのは、私としてはもう成功だったですね。今でもよかったなと思っております。

前立腺がんの語り

小線源療法は「これで済んだ?」という感じ。尿道カテーテルの方が痛い。レントゲンできれいに線源が入っているのを見て安心した

手術はもう2時間でさっさと済んでしまった。だから前立腺そのものは「あら、これで済んだのかな? 」って感じだったんです。その…その前の尿道のあれ(カテーテル)が痛いって感じやったですね。
あの、放射線(源)の本数は何本か忘れましたけど、頭の中ではもう「うわー、そんなに多く」って。何10本か何100本か、それがあまり頭にないんですけど、「わー、そんなん打ち込んでいいのかな? 」っていう数だったと思います。今いくらだったか忘れてしまいましたけど、それを打ち込んでもらって、大丈夫かなということやったですけど、今度はレントゲンで見せてもらって、本当に理想的にきれいに入っているっつうことで、これでいいということだったもんですから、その写真を見て安心しましたけど。
もう数字は忘れましたけど、すごい数がきれいにこう、菊の花みたいにこう、入ってるんです。

――ちょうどその前立腺を全部覆うような?

前立腺に全部こう、入ってるんですよね。

――丸い感じですか、菊の花って。

なんか花火みたいにこう、いっぱい、いっぱい隙間なく入っていました。

前立腺がんの語り

小線源治療を受けたときの様子。剃毛しストレッチャーで手術室へ運ばれた。治療する部屋は放射線管理区画で、まるで倉庫のようだった

あの、入院して翌日の説明ですとか何かありました。それからまあ、余分な毛はそらなきゃいけないよと、電気カミソリ持ってきて。そこ見えないからねといったら、看護師さん、全部そってくれましたけれどもね、うん。あの、会陰部を全部、毛そりますからね。で、後はですね…今、専用のソックスはきますよね、血栓の対策のことがありますので。それはもう、退院まで脱がないでくださいと言われました。あと、そうですね、もう手術室へ行くときもストレッチャーで寝たまま行く決まりになってますからというんで、寝たままでしたよね。うん。で、想像していたのは、いわゆる電気がこうこうと、無影灯がついてという手術室だったんですが、そうじゃなくて、地下の放射線管理区画の一角の「えっ、ここで?」みたいなね、「あれっ、倉庫に近いんじゃない?」みたいな一角でしたね。うん。で、まあ、その前にちゃんと麻酔医や何か一通り全部顔を出してくれました。きちんと、こういうことをやりますからと説明をきちんとしてくれましたので、心配はしなかったです。それで、硬膜外麻酔ですかね、ちょっと正確に名前覚えていませんけれども。で、その先生いてくださって「じゃ、今からやります」ということでした、はい。ですから非常に…うん、心配はしなかったですね。

前立腺がんの語り

小線源療法は2時間もあれば済むと言われていたが、線源を入れる位置決めに時間がかかり6時間かかった。変な姿勢で節々が痛くなった

で、まあ、その当時の話では、「まあ、2時間もあれば済みますよ」と。自信満々にこうおっしゃったんですけどね(笑)。はい。じゃあ安心だなと、えらい、えらい簡単やなというふうに、私は内心思ったんですけどね。はい。それで、実際に「2005年の4月に手術しましょう」ということに、そこまで決めて。それから大学病院のほうで、定期的にまた、検査を受けまして、日にちを決めましたということで、2005年の4月の末ですかね。「末にじゃあ、やりましょう。26日に入院、27日に手術しましょう」と。「はあ、えらい簡単ですね」と。「前の日…入った次が、手術ですか」って言ったら「うん、こんなもんですよ」ってなことでね、非常に私も内心びっくりするような、簡単な進行だったですね。
で、私、気付いたのは、手術が終わってから気付いたわけですが、もう夕方なんですよね。目が覚めたのは。「うん? どうしたことや。どれくらい寝とったんやろか」と思いましたら、実際、2時間ぐらいの予定がね、6時間ぐらいかかったということなんですよ。というのは、後から聞いた話なんですが、私がまだ頭から(その病院で小線源治療を受けた)3番目ぐらいだったと。手術がですね。だから先生たちも、まあ、いろいろ模索しながらやられたと。位置がよく決めきらんかったと。だから「位置決めにね、大変時間がかかって申し訳なかったけど、手術は成功しましたよ」というようなことで、無事、手術は終了しました。もう6時間も、へんてこな格好でね、こんな格好で手術受けるわけですから、節々が痛くてね。もうまともじゃなかったですけどね、はい。もう手術そのものはもう簡単で、それからすぐ、もう車いすでベッドに連れてかれまして。

前立腺がんの語り

小線源治療は、針を使ってカプセルを入れるので怖いかもしれないが、麻酔で痛みはないし1~2時間で終わるので生検と変わらない

ブラキセラピーの実際は、あの、小さなカプセル状の線源を70個から90個、前立腺内に永久的に留置するという手術なんですけども、その挿入は針で行うために、かなり怖い治療だと思われる方も多いと思うんですけれども、治療は、ほとんど麻酔をしておりますので、痛みを感じませんでした。大体、1時間から2時間で終了する治療です。いわば針生検のときと同じくらいの治療というふうに、患者サイドでは考えてもいいと思います。
シミュレーションするために、1度検査入院いたします。まあ、いってみれば予行練習みたいな形で行われるわけですよね。

――その検査は、具体的にはどんな? CTですか?

ああ、レントゲンと、直腸に超音波検査機を入れて、映像をきちっと、立体映像をお医者さんのほうでもって作りまして、それを持ち帰っていろいろ計算をしたり、何個入れるかっていうことを決定をするというような、そういう作業がありましたね。

前立腺がんの語り

早期と聞いたので小線源治療を希望したが、性質の悪い細胞があるからと全摘手術を勧められた

検査の結果は、早期だと。だからいろんな選択…治療のですね、選択肢はあるけれども、はっきりは言われなかったんですが、まあ手術というふうなことをおっしゃられて。あの、小線源といいまして小さな放射線を入れる治療方法も、あったんですね。私もそれは知っていたんですけど、「それじゃいけませんか? 」と。痛くなくて済みますからね。で、言われたんですけど。「それは(G.Aさんの場合は)ダメです」と。というのはがん細胞の中に、ちょっと性質の悪いのが混ざってまして、これがあるから小線源じゃなくて、もう摘出のほうが、より結果がいいじゃないのかなという、アドバイスを受けたんですね。で、私も「もうこれは、いよいよ手術せないかんのかな」という覚悟はしていたんですけれども。