投稿者「taguchi」のアーカイブ

慢性の痛みの語り

土日も病院やリハビリに行くことがあり、友人との時間をとることが難しくなったが、 無理に友人につきあうより、ゆったり1人で週末を楽しむようになった

交通事故に遭う前は、まあ、そうですね、まあ痛みとかそういうのも全くなかったので、まず病院に通うっていうことが、まあほとんどなく、えー、来て。まあ仕事も、まあ、もともとフルタイムではなかったんですけど、休むことなく行ってましたし。土日なり、まあ平日の夕方なりは、まあその友達と遊んだり、まあそういうこともできてたんですけど、その交通事故に遭ったことによってまず通院っていう大きな、今までになかった出来事が加わって、その、うーん…。まあ痛みがあるから頻繁に病院に行ったり、まあ検査なり、リハビリをしたり、で、日曜――土曜日も病院に行ったりっていうのがすごく、その痛みが出てくる前とは違う出来事だったと思います。

―― いわゆる交友関係とか社会的な、生活に関しては何か影響は及んでいますか。先ほどあまり、夕方に、夜とか、あの、遊びに出かけたりできなくなってとはおっしゃったんですけど。

そうですね。まあ、できなくなったというか、しなくなったというか。まあその、自分の中でもこう…、痛いのを我慢して動き回ってて、それを引きずる、その後の日とかに引きずるぐらいなら、まあ、無理にしなくてもいいかなって思うようになって。うーん。でも、別にその、友達が減ったとかそういうのはなく、逆にその、今までなかなか時間が取れなかった、じゃあ、家に帰ってきたら読書しようとか、そういう時間が持てるようになったし。きつきつに予定を入れなくなったことで、逆にその週末をゆったり楽しめたりとかするようになったので、そんなにその悪い影響は出てないとは思います。

慢性の痛みの語り

精神的には趣味を考える余地はあるが、現実は通院や服薬、栄養管理で時間が埋まってしまう

―― 趣味とかね、ご自身のご趣味みたいなことっていうので、今、何とか続けられていること、あるいはこれだけは死守したいと思っているものとか、何かそういうようなものってありますか。

車、雑巾で拭くぐらいなもんですかね、元気なときに。それ以上のことも、まあ僕、機械はね、ある程度、得意分野なのでいろいろやってたんですけど、あの、余計なことをすることによってケガすることっていうのに気づいたんで、もうそれ以上のことはできない。でも、それも、もう今、よっぽど体が調子いいときだったらいいんですけど、あの…、その前にもうね、趣味とか云々、まあお金かかんないように楽しむとか何とかっていう、精神的な部分では別に、あの、幾らでも考える余地は、僕は僕としてはあるんですね。別に金かかんなくて、楽しみ幾らだってあるだろうって思うほうなんで。ただ、現実にそれが叶うかっていうと、今、叶う余裕がないですね。もう本当に医者行って通院して、処置してもらって帰ってくるのがもうやっとこ。で、朝晩、薬飲んで。で、飯食えないところを何とか栄養を確保して。それで、でも大体時間埋まっちゃうんですよね。

それを、だからそれから(笑)逃れたいっていうのがやっぱり、逃れたいっていうか、それを絶ちたいっていうのがあるんだけど、結局、方法としては、うーん、結局やってみなきゃわかんないような治療しかないっていうところに、話が来ちゃっているんで。

慢性の痛みの語り

山野草の栽培が趣味で、その趣味を通して人との交流もあり、痛みを紛らせることもできたが、今はできなくなってしまったことが苦痛である

昔は趣味をしてたので、結構、体を動かすことというのをしてたんですけども、今その趣味ができなくなったということが、もう最大の、もう僕にしたら、もうこれ以上の苦痛はないですね。何とか趣味で紛らわせていたところが今できなくなった。で、お医者さんも、「趣味は持っていなければいけないよ」と言うんですけど、持てなくなったということですね。それがもう一番…の苦痛につながってるのは…、大きな要因と思います。

―― 差し支えなければ、その趣味というのはどんな?

うーんと、山野草とか、あの…、どう言ったらいいんですかね。野生蘭、を栽培してたんでね。小さな鉢でたくさんの鉢を栽培していて、その花を展示したり、まあ交換会といって、その趣味者が持ち寄って、あの、交換するわけですね。そういうことでいろんな交流とか友達とかもいたんですけども、それができなくなったことによって、結局そういうところにも行けなくなって、外出する機会もなくなってきた。……結構いい趣味だと思ってたんですけどね。小さな鉢で、ちょうどいいリハビリ。水やったり、こう、植え替えたりが、ちょうどいいリハビリだったんですけど、それができなくなってきたということですね。

慢性の痛みの語り

筋肉注射は筋肉に傷をつけるからよくないという医師もいるが、硬膜外ブロックで合併症を経験したこともあり、結局は自分で選択するしかない

筋肉注射で、こうトリガーって、まあ引き金っていわれていますけど、そのあちこち痛いところを直接やるよりも、痛いところ…筋肉注射っていうのは筋肉に傷つけるから、やっぱり何回も何回もやるのはやっぱり良くない。要するに毎回ケガしているような状態になるから良くないって考えられる先生が、まず1ついる。そうすると、じゃあ、硬膜外ブロックのほうが、筋肉に対する攻撃がないから、むしろ安全だっておっしゃる先生(がいるの)が今の現状なんですが。

今かかっている、多数の麻酔を、多くの麻酔やってくれるほうの病院で、麻薬の処方をしてくれる先生はやっぱりものすごいベテランの先生なんですけど、その先生は、緩和の目から見ると硬膜外ブロックも――僕、何度かその硬膜に薬が入っちゃって、あの、脊髄ブロック(*1)になっちゃったことあるんですよ。脊髄ブロックになっちゃうとね、もう5、6時間動けなくなっちゃうんですね。まあそれは自分でそういうこともあるっていうのはわかった上でなんですけど――そっちの、薬のことを主に面倒見てくださっている先生の考えだと、硬膜外ブロックでもその付近に通っているたくさんの血管があるらしいんですけど、そこに生きていくために非常に重要な、アダムキービッツ動脈っていうのが、この胸椎――胸椎じゃないや。胸の胸部硬膜外とか腰部硬膜外、腰と胸の間あたりって言ってたのかな。その辺にあるらしいんですけど。万が一、そこに針が刺さったら大量出血して即死しちゃうらしいんですね。で、それを起こさないためにはどうしたらいいかっていったら、硬膜外ブロックはあんまりやらないほうがいい。  だから、いいって言われる先生と、やめたほうがいいよって言われる先生と、(笑)どうしたらいいんだろうって。結局、自分で考えなきゃいけない。自分の選択肢になっちゃう。でも、そこまでやっときたっていうのは、まあ、ありがたいとは思っているんですけど、でもそこまで来ても、うーんと、痛いのを我慢できないから、その治療を受けて。まあ…、まあどこ行っても、「そんなにいっぱい注射してるの、毎週?」って言われるんですけど。まあ先生も。それはそれで先生の結構経験の中で、あの、安全、まあ100%はないにしても安全だという、いろんな(経験に)基づいたもの、まあおそらく先生の手技だとか経験、オペの経験だとかの中で薬の濃度だとか、――まあ先生がおっしゃるには先生なりに、「教科書どおりやったら、こんなにやっちゃったら大変なことになっちゃう」っておっしゃるんですよ。でも、まあそれが、あの、いろんな先生がどう考えるかというのは、まあ僕が何とも言えることじゃないんだけども。

*1 硬膜外ブロックの麻酔薬が硬膜より奥に入ってしまう状態。広範囲の脊髄神経が麻痺して、血圧低下および呼吸困難をきたし、重篤な場合、呼吸停止となることもある

慢性の痛みの語り

背中に針を入れて3週間薬を投与し続ける持続硬膜外ブロックでCRPSの痛みが半減したが、その後は良くも悪くもならず、今も月2回神経ブロックを受けている(音声のみ)

―― 痛みが出始めた後、あの、どのような治療をされていたか、お話しいただけますでしょうか。

はい。3週間、硬膜外ブロックという、背中に針を入れて…、えっと、アナペインという麻酔薬をあの、投与し続ける治療を3週間しまして、そこで痛みが半減しました。それまで感じていた、砂の上を歩いているような灼熱痛もそれで全て消えました。それをやったのが2014年の11月だったんですけれども、そこで痛みが一度半減した後は、現在まで悪くもならず良くもならずといった状態が続いています。

―― それ以外のあの、治療というのは何か受けていらっしゃいますか。

うんと、神経ブロックとリハビリです。

―― はい。……神経ブロックは何回ぐらい?週に何回。

月2回です。

―― 月に2回、ああ。

以前は週に1回だったんです。で、月4回だったんですけど、何か保険の点数の、何かルールが変わって週1度ができなくなって、2週間に1度になったということです。

慢性の痛みの語り

硬膜外、仙骨、くも膜下、神経根と様々なブロック療法を試したが、入院が必要なものもあるのでそんなにはできないし、効かなくなってきたのでモルヒネを増やしてもらった

―― その(癒着性くも膜炎の)診断を受けた後から、どういうような、治療をされてきたかっていうのを少し詳しく教えていただけますか。

やっぱりブロック療法なんですよね。ブロック全部ですね、硬膜外と、それと仙骨(*1)と、それと…うーんと、くも膜下(*2)。「くも膜下は、そんなにそんなにできるブロックじゃないから、いつもいつもはできませんよ」っていうことで。ただ、あの、もう…針が脊髄に入らなくなっちゃって、注射の針、入らなくて効かなくなってきてたんですよね。で、神経根ブロック(*3)を集中的に最終的にはやったんですけれども、それも効くときと効かないときがあって、それもあんまり、あの、結構、一回一回入院しなきゃだめですから、そんなにそんなにはできないしということで…、モルヒネ、が増えたのかな。で、うんと、モルヒネをちょっと増やしてくれて、それで何とか、やってきたって感じですよね。

*1仙骨ブロック:尾てい骨の少し上にある仙骨から腰の周辺の神経に麻酔薬を注射して、腰や足の痛みを和らげる治療。他の神経ブロックに比べて安全性が高いとされる。
*2:くも膜下ブロック:硬膜より下のクモ膜の下の隙間に麻酔薬を注射するより強力な鎮痛法
*3神経根ブロック:レントゲンで脊椎を透視しながら、脊椎の中の脊柱管を通過する脊髄(馬尾)から枝分かれして出ていく神経根に麻酔薬を注射し、痛みを和らげる治療と同時に疼痛の原因がその神経根であるかどうかを診断することも目的としている。

慢性の痛みの語り

硬膜外ブロックで麻酔液が流れるとつねっても感じなくなったが、(CRPSの)足首の痛みは消えず、麻酔がかかっているのになぜ痛いのかわからず、怖くなった

…そこでもいろいろまあ様子を見ながらですけど、何だかんだあって、あの、神経ブロック、硬膜外ブロックですけれども、してもらえる――病院でしてもらえることになって。そのときですね、自分のその痛みに対する見方が変わったというのは、すごい記憶に残っていて。

腰から管を入れて、麻酔液が流れるんです。そうすると冷たーかった左足が、ぽうっと血の気が戻ってきて、ぱんぱんに張ってたのも、すーっと引いていくんですね。それで見た目、「おお、効いてる」っていうか、血が巡ってるよっていう感じがすごいするんですけども。で、当然麻酔がかかってるんで、動かせないんですけども。その、つねっても痛くないんです。

あの、当たり前かもしれないですけども、麻酔がかかっているのでつねっても痛くないのに、足痛いんです。うーん。で、そのときすごい怖くなって。普通、だって、麻酔かけたら痛くないじゃないですか。確かに麻酔がかかってるので、叩いても、つねっても痛くないんです。だけど、足首は猛烈に痛いんです。そのときにとても怖かった記憶は今でもあります。

「あ、何で痛いの? 麻酔かかってるのに痛いって、何?」って。本当もうつねってる跡が残るぐらい、つねって(笑)。痛くない、痛くない、痛くない。でも、足首、痛いみたいな。それはすごい怖かったのを今でも覚えてます。そういう怖い、私の、自分の痛みをわからない、もう。何で痛いのか自分でもわからないんだけど、痛い。

慢性の痛みの語り

ブロック注射は5-6年前に2回くらい、さらに10年くらい前にも数回受けているが、1回も効果はなかったので、今は腰の痛みに対して何も治療をしていない

今は、何の治療も今は受けてません。薬も飲んでません。はい。

―― そうですか。全くブロックとかも、そういうこともなさらない。ブロック療法とかも。

ええ、5、6回受けました。

―― 今はやってらっしゃらない?

はい、全く効果ないので。

―― その5、6回受けたっていうのはいつごろのことですか。

そうですね。えー、5、6年。えー…、5、6年前に、2回ぐらい、受けました。やっぱり10年ぐらい前にあんまり強いので、やはり、あ、痛みが強いんで受けましたけども、えー、ブロック注射も1回も効果なかった。

―― そうすると治療中、まあ今、今何も受けない状態っていうのが、何年ぐらい今続いてる状態でしょうか。

そうですね。腰に関しては、うーん、5年ぐらい何も治療していません。はい。

―― それはもう、あの、民間療法も何もということですね。

はい。

慢性の痛みの語り

線維筋痛症でブロック注射を受けていたが、一定回数を超えると自費扱いになるので続かない。効果が切れれば痛みが再発する。その繰り返しでその場しのぎの治療だった

最初は、ペインクリニックで、あの…、星状神経節ブロックじゃない別のブロック注射をしてたんですけれども、効かず……、うん、何が原因かわからず、過ごしていました。はい。で、その、ブロック注射も保険適用っていうのが、確か週に何回かって、こう決まってまして、それ以上のブロック注射を希望する場合は自費扱いになるということだったので、やっぱりお金的な問題もあって、なるべくそういうのは。ブロック注射をやった直後は、痛みは緩和されるんですけれども、その効果が切れるとまた痛みが再発するっていう、ことを繰り返して、本当にブロック注射はその場しのぎの治療をしてました。

慢性の痛みの語り

線維筋痛症の痛みを和らげるため、ペインクリニックで星状神経ブロックの際に点滴で麻酔薬を入れるととろーんと眠くなり、それは「至福の時」だった

治療はペインクリニックの、要は一時的に体の中の痛みを和らげる点滴薬から始まりました。点滴薬で、少し体の楽なのが――楽というか、少しはマシになってきて、体が少し敏感なのが治まってきたら、今度は星状神経ブロックという、首の辺りにある、星型の、あの、神経のところに上手にこう、注射を打つんですけれども、それはかなりの回数をやったと思います。それに関してはよくやったと思います。耳…あの、打つと目の辺りがこうドーンと重くなるような、両方打ってしまうと息ができなくなっちゃうので、片方、今日は右側、そうしたら次の翌週は左側っていうのを何度やったかわかりません。それをやって、そして麻酔を打って、あの、うーん、そうですね、点滴の麻酔を打つと。それで少し、とろーんと眠くなって、そのときがちょっと、こんなことを言ったらなんですけど、至福の時というか。うん。