※写真をクリックすると、動画の再生が始まります。
インタビュー時年齢:26歳 (2021年7月)
感染時期:2020年12月
背景:首都圏在住の女性。罹患時は北海道在住で恋人(現在の夫)と同棲中。
介護関連会社で総務としてコロナ対策に関わっていたが、感染予防に対する上層部の無理解に退職し、罹患時は職業訓練校に通っていた。当時の自治体基準では、布マスクはマスク着用と認められず、会食した友人と級友2人が濃厚接触者となり学校は5日間休校に。ぜんそく持ちのため中等症者向けホテルで療養となった。その後結婚し、翌年7月に首都圏に転居、現在はデザイナーとして働いている。自身の療養体験をSNSで情報発信し、罹患者やその家族からの相談に乗っている。
語りの内容
コロナに関しての情報発信は、最初に具合が悪いなって思ったときからずっと続けていて。で、最初はTwitterで、ま、具合が悪いなっていうだけだったんですけど、だんだんそれがメディアの方の目に止まって、例えばテレビでちょっとお話しさせていただいたりとか、あの、地元の経済紙で私の書いたブログというかnoteというかを載せていただいたりとかして、いろんな方にこう、私の療養記というか、療養したときの体験をいろんな方に知ってもらうっていう機会がありました。
で、そういうのに対する反応、コメントとかもネットで常に確認していたんですけれども、体感では大体、うーん、5割、6割ぐらいの方は好意的な反応というか。ま、例えば、「自分もコロナかかって不安だったけど、すごく、あなたの情報で助かりました」っていうお話とか、「大変だったんですね、頑張ってください」とか、あとは、「こういうところはどうだったんですか、こういう症状はありませんでしたか、こんなときどうしましたか」みたいな、そういう質問とかが大体6割ぐらいを占めてました。
ただ、残りの4割は否定的な意見というかがありまして。その、例えばテレビでこういういきさつでかかってしまいましたって話したときも、やっぱり、テレビで報道、ええと、放送される時間には限りがあるので、一部分だけ切り取られてしまって、それが悪く解釈されるっていうことがたくさんあって。
さっきのネイルを断られた話を地元の新聞に載せてもらったんですけど、そのときも、「コロナかかったくせに、ネイルなんてやりに行くのおかしいだろう」みたいなのとか。「そんな体験をしたのにあっけらかんとこんな話せるわけないから、この人はうそをついてる」みたいなこととか。ま、そういう根も葉もないことをすごくコメントに書かれたりとかしていて。あとは、実際にTwitterのダイレクトメールとかリプライとかでそういうようなことを言われたりもありましたし。そうですね、なので、やっぱり4割ぐらいは否定的な意見も多くて。世の中の認識ってそういう感じなんだなってすごく悲しく思いました。
あとまあ、もともと、テレビに出たりとかするのも、顔を出さずにというか、マスクをして私が誰か分からない状態で出てはいたんですけど。なんかだんだん隠す理由も別にないかな、みたいに思い始めて。逆に、うんと、私みたいな見た目の、髪が明るかったりとか化粧をしっかりしていたりとかって、ま、いわゆる遊んでそうな人ですよね、若くて。が、コロナにかかっちゃいました、で、どうなりましたって発信をするっていうことは、またこの、そうだな、コロナ専門家のおじさんおばさんたちが発信するのとは違う意味を持つんじゃないかな、と。違う層に訴求できて、例えば今遊んでる人たちも、「俺らこのまま遊び続けてたらこの人みたいにかかっちゃうぞ」と。で、「若いけど意外と大変だったんだな」と、「軽症でも大変だったんだな」って思ってくれる理由になるのかなと思って。だったら、顔をしっかり出して、私みたいな人でもかかって大変な思いしたんだよっていうのを伝えていけたらなっていうのを今は思っています。
インタビュー14
- 嗅覚障害がなかなか治らず無臭症が良くなってきたころに、異臭症が出た。ハヤシライスを食べた時、ひどいにおいが口と鼻に充満してしばらく残り続けるので本当につらかった
- 嗅覚異常の治療として Bスポット療法を受けていた。とても痛いのは炎症部分に薬を塗っているからだと思う。引っ越ししたので、首都圏でも受けられる病院を探している
- 療養が明けてからも1ヶ月くらい、何となく身体の調子が悪いのが続いていた。いつもやっている調理で1時間の立ち作業やブログの執筆もつらく、休み休みだった
- 発症直後のだるさがぬけると同時に嗅覚異常が出始めた。においを嗅いで進行を遅らせようとしたが、療養先に着く頃には、においがほぼわからなくなっていた
- 発症した夜、8度以上の熱が出た。翌日には6度台に下がったが、だるさと寒気がひどかった。毛布にパジャマ2枚、暖房を最高にしてギリギリしのげるくらいだった
- せきは、せき止めを飲んでいたのでそこまでひどくなかったが、煙の中で息をしているような、息を吸いづらい感覚が療養期間が終わるまでずっと続いていた
- SNSでの発信がメディアに注目され顔を隠してテレビにも出たりした。否定的な反応もあったが、今は顔を出して私みたいな若者でも大変な思いをしたんだと同世代に伝えたい
- 隔離解除後にかかりつけ医にレントゲンの予約を入れると、一般患者とは別の入り口や待合室、手洗いを使うように言われ、併せてCT検査も受けないと診察できないといわれた
- 感染の2か月後にネイルサロンで感染したことを話したら施術を断られた。身の回りに感染者を見かけないのは、こうした差別を恐れて話さない人もいるからだと知ってほしい
- コロナにかかったことに罪悪感があり、家族にも言わないでおくつもりだったが、祖父の葬儀があったので言わざるを得なくなった。参列した親戚からは優しい言葉をもらえた