中学1年のマラソン大会がきっかけで腹痛と下痢が続き、その結果食欲も落ち最初の病院では感染性腸炎と診断され、次の病院では潰瘍性大腸炎かもしれないと言われ、最後に大きな病院で小腸造影をしてクローン病の診断がついた。そのまま入院し、絶食とラコール（成分栄養剤、その後エレンタールに変えた）、サラゾピリン（＊１）などを服用しやっと退院したが、高校時代はずっと腹痛に悩まされていた。大学は通信制の大学に行ったが、そのころになると腹痛は治まってきた。ただ、ときどき下血をするようになり、就職試験の二次面接の直前にも大量下血で入院してしまった。1年後にも同様に面接の直前に下血で入院してしまい、結局現在まで就職できずにアルバイトなどをして自宅で療養している。

　高校2年のころにレミケード（＊２）を始めて、最初はよく効いたが、徐々に効果が減衰してきたので、アザニン（＊３）を併用している。現在も4週間隔でレミケードを打っているが、それでも突然下血することがある。主治医からはヒュミラ（＊４）に変えるという選択肢も提示されたが、まだ決断していない。

　手術についても検討しているが、主治医からは「炎症自体は手術するほどひどくはないが、小腸を中心に食道にかけて点々と広範囲にあるので、切る場合には相当広範囲に切らないといけない」と言われていて、今のところ様子を見ている。

　今は自宅にいてアルバイトくらいしかしていないのでストレスは全くない状態だが、これから先の就職や結婚のことを考えると不安な気持ちになることもある。元々自分は考え込むたちでネガティブな方だったけれど、病気をして10年の間に、患者会で先輩患者の話を聞いたりしているうちに、楽に行こうと思うようになった。そのためには一人で抱え込まないで、人に話して、人との繋がりを作ることが大事だと思う。

　自分の場合、中学高校時代は、学校の先生にいろいろ配慮してもらい、友達は病気になっても同じように接してくれて、今でも付き合いがあり、また主治医の先生にも親身になって治療をしてもらい、両親には食事を含めとても世話になっている。そして、患者会では先輩患者からアドバイスをもらって勇気づけられたりと、周りの人にとても恵まれて今まで生きてきたと思う。

＜追加インタビュー＞
　その後やはり同じ場所に炎症を繰り返してがん化のリスクも大きくなったことで2018年10月に小腸の半分くらいを切除した。術後、薬をステラーラ（＊５）に変えたが、2020年初めころから下血が始まり、4月末に大量下血して入院中にヒュミラに切り替えた。それでも下血が止まらす、2020年4月末には大量下血で1か月入院した。
ヒュミラは自己注射で、高校生の頃にもやってみてはどうかという話があり、その時は容器がまるで注射器で自分ではとてもできないと思ったが、最近ものは大きなペン型でボタンをポチっと押すだけで薬剤が入るようになっていて、これなら自分もできると思ってヒュミラに切り替えた。
　その時に消化管をすべて検査したが出血箇所が特定できなかった。現在は落ち着いているが多少下血する時もあり安定しない状態が続いている。

＊１　サラゾピリン：（一般名メサラジン）クローン病の基本薬
＊２　レミケード：（一般名インフリキシマブ）生物学的製剤（抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤）
＊３　アザニン：（一般名アザチオプリン）核酸合成を阻害することによる免疫調節薬
＊４　ヒュミラ：（一般名アダリムマブ）生物学的製剤（ヒト型抗ヒトTNFαモノクローナル抗体製剤）
＊５　ステラーラ：（一般名ウステキヌマブ）生物学的製剤（ヒト型抗ヒトIL-12/23p40モノクローナル抗体製剤）