これは、ホルモンだけじゃなくて、抗がん剤も昔のタイプのというふうに言われていますけども。抗がん剤半分、あの…ホルモン半分というふうに言われているエストラサイトですね。
何ていいますか、ホルモンが、男性ホルモンによって、前立腺がんがどんどん進行するっていうことは、もうはっきりしていますんで。これは、ホルモンコントロールはずっと続けていかなきゃならない。エストラサイト(一般名エストラムスチン)も。だから、その副作用は今もあります。もちろん、この乳房が膨らんできています。もちろん、触れれば痛いとかね、いうようなことはありますし。もちろん、勃起機能は完全に失われているというようなことはあります。
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去年も2月ごろから、最終的な治療として、タキソテールっていうのやっているんですけど。これはね、強烈にね、エストラサイトとタキソテール化学療法両方やったときには、髪の毛…こう、坊主に今なっていますけども、髪の毛こうやって生えてきていますけども。全部抜けたり、爪がやられたり、あと手足の末梢神経が、やっぱりやられたり。足なんかもう、今でもまだ、後遺症として残っているんだろうなあ。で、それ(治療)を、約半年続けたんですよ。2月の1日から、8月まで。それがまだ、今、足の裏なんか、だから、わらじはいたような感覚って、あなた、ちょっと分からないだろうけども、こう、まだそういう感覚なんですね。だから末梢神経、つまりそれだけ、何ていうか細胞分裂に対して、強い攻撃を与えるやつなんでしょうけども。だから、そういう治療を受けたりすると、なおさらね、やっぱり、山に行きたくなったり。いい空気を吸いたくなったり。気分転換してみたくなったり。かつてやりたかったこと、やれたであろうことを、できないのにしたくなりますよね。で、それで、なるべくこう病気のことを、頭から離そうとしている自分が、今、ありますね、はい。
――先ほど、タキソテールがやっぱり副作用としてひどい、何かこう楽しみを見つけないとこうやってられないという感じが大きかったっていうのもあるんですか?
それは、ありますよ。あるんですけどもね、わたしが望んでいるこういうふうにしたいっていうのが、体力的にできないんですよ。タキソテールしていると、やっぱり相当消耗していますし、やっぱ簡単に言えばですね、ちょっと怪我するようなことはできないんですよ。だって、赤血球、白血球なんかは3分の1になりますからね。で、赤血球はもう半分以下になりますから、例えば、タキソテールやり始めのときは、こう例えば鼻かんだりしても、鼻血が、ちょっと止まらなかったりとかっていうこと。だけど、それがこう回復するのもタキソテールの、またいいとこなんでしょうけどもね。あと、やっぱり、この…うーん、血を作られるところっていうのは、細胞分裂が一番活発なところなもんだから、そこを直撃するわけよね、骨髄の部分。骨髄の部分やっつけるっていうことは、つまり人間のいろんなところに栄養を運ぶ元のところをたたく、たたいているわけで。だからまあ、末梢神経もやられるわけで。うん。
むしろ一番きつかったのは、抗がん剤の副作用があって、倦怠感とか発熱とかも伴ったんで、それがきつかったかな。あと、髪の毛が抜けたのもちょっと困りましたね。
――そのときは何か対処されたんですか?
僕はもう、スキンヘッドでも何でもしたかったんですけども、そんな格好悪いの嫌だったという家族のあれで、かつらを買った…買ってます。
――それは、抜ける前に?
ある程度ね。うん、だいぶちょっと薄くなったかなっていうとき。だからスムーズに移行するっていうのはなかなか難しいんですよね。で、あれはやっぱり、かぶっている状態は、すごくうっとうしくて、どうかなっていう感じですね。
――倦怠感には、何か対処はされてたんですか?
鎮痛薬みたいなのはもらってたりはしましたけども。基本的には、例えばあんまりひどいときは休んで、じっとして。まあよく眠…ってたと思いますね。
トイレの頻度がすごく多いということは、A県(近畿地方)の大学に入院したときの、入院中の生活様式の1つとして、B大学の場合は、2,400CCと、3,000CC入る、尿のし瓶があるんです。で、それを「夜の10時から翌日の午後10時までの24時間に2リッター以上、おしっこが出るようにしてください」ということで。だから、トイレに行くたんびに、尿器に採って、で、その自分の名前の書いてある尿瓶にこう入れるわけです。で、「24時間の間に、2リッター以上のおしっこがたまるように水分を取ってください」と。「ただし、水分といってもお茶は結構です。それから、ウーロン茶もいいです」と。糖分のある、要するに缶ドリンク、それからペットボトルに入った、要するにドリンク剤ありますよね。「糖分のあるものは極力避けてください。糖分のないものであれば、お水もいいですし、お茶も、ウーロン茶もいいですよ」と。そういう指導でした。それを退院してからも、ごく最近までずーっと続けてましたので、尿の頻度が多くて。私はよくC市(近隣都市部)へ、まあ病院へ行くことが多いんですが。
そうすると、行く前に、みそ汁とかお茶を飲んじゃうと、途中でおしっこしたくなるわけ。だから、そういう件で、長乗りするときは、水分を控えますが。通常はもう極力、私はもともとお茶好きなのでよく飲みます。ですから、人のところへ行く、人に来られるというのは、ちょっと私、ほら、おしっこの頻度がひどいから、長居されると。「ちょっとごめんね、トイレ行くから」って言うでしょう。1回目はいいんですよ。2回目行くのはちょっとね、気が引けるんです。
あの、治療自体が何も痛みとか、肉体的な苦痛、まったくなかったわけですから、こんなもんでいいんだろうかと。こんなもんでがんは治るんだろうかと、いう気持ちはありました。でも、6ヶ月ぐらい経ってから初めて生検したんですね。そしたらPSAが見事に下がってるんですよ。0.5ぐらいまで下がってるんですよ。「あ、やっぱり効いたんだ」と思って、そんときは嬉しかったですね。これが続くのかどうかが問題で、それも先生もそのことは言ってましたけどね。それも定期的に測ってました。それがやっぱり4年続きましたね。でもだんだん3年目ぐらいから上がりだして、やっぱりこれは再発と判断しなきゃならないなと僕は思いました。先生も再発っていう言葉は言いませんでしたけども、そういうニュアンスのことは言ってましたね。
直接照射、要するに放射線治療するんですが、これは場所的には、おちんちんと肛門の間、非常にこの狭い範囲内に、針の長さが24センチ、これを12本刺して。これ刺しっぱなしです、6日間。そして、初日は1回。2日目も1回だったかなあ。
でもこれも、おれは、12本、こんなに24センチの長さの針を12本刺したといっても、これ、麻酔してやりますんで、特別痛さっていうのは感じないんですよね。で、それを、治療を始めてから、6日間で9回、量的に先ほど申し上げた54グレイというキャパ。終わるまでは針は抜きません。ですから、もうベッドに寝て、もう体が動かせないんです。
――つらいですね、そういう体勢は。
うーん、つらさというよりもね、これは僕がそのアメリカ行って、ね、受けようと思っていた治療を国内、B県(近畿地方)で受けられるんだと。で、自分が希望した療法ですから、つらさといって…なかったですよ。僕は6日間*、ベッドにいたっきりで、(同席している妻に向って)あんたに不平不満言ったことなかったもんなあ。うん。ただ、寝返り一切打てないんですよ。それはちょっとつらかったなあ。
――何か、こういうふうにして楽にしようとしたとか、対処されていたことは?
それはもう事前に「6日間、体は動かせません」と。「場合によると、ひもで体を縛ることも考えられるけれど、どうしましょうか」と言われたので、「いや、先生のご指示のように、動くなと言ったら、絶対に動きません」「寝返りどうするの?」って言うから、「寝返りも、だから我慢します」。とにかくベッド、普通のベッドですよ。まあ大学だから、ものすごい立派なベッドなんですけれど、要するに普通のベッドです。そこにこうやってあおむけになって、だからこの人(妻)付きっぱなしで、「お水くれ」「うん」、「あれ、食べたいよー」「うん」、「ああしてよ」…汚い話で申し訳ないけど、「おしっこ出るよ」、もう(カテーテル)さしっぱなしですけれど、だから要するに、瓶を確認してくれということだけ。とにかくあおむけで体は一切動かせません。
* 治療に要する日数は、現在大幅に短縮されています。
その読売新聞の平成10年3月6日の記事に、私がロサンゼルスへ行って治療を受けようと思った、その治療が国内でA県(近畿地方)にあったんです。今は、その病院、いや、当時は、その病院、1院だけだったんですけれど、今は、恐らく国内でも私が受けたと同じ治療をする病院が10ヶ所ぐらいあるはずです。確認してません。話として聞いています。何だ、国内で受けられるんじゃないか。ということで、その新聞を見たその日、すぐにA(地名)へ電話しました。
あの、やっぱり放射性物質を内部に直接入れるということが、すごく画期的に感じたものですから、これならやっつけられるんじゃないかと思ったわけですね。で、特になぜ良いかっていうと、外から、外部から当てる放射線治療っていうのは、外部から、体の外部から光線が入るわけですから、近くにあるね、膀胱とか、直腸とか、そういったものにも当たっちゃうんですよ。当たってほしくない部分に。だから副作用も心配されますし、治ったとしてもね、問題が…いわゆる副作用として出てくる場合が多いんですって。だけど内部照射する場合は、内部から出るわけですから、その、前立腺だけにしかかかりませんから、そういう意味では安全な方法だというふうに説明されて、納得したわけです。
私75個ぐらい、73個だったと思うんですけども、挿入した中で3個、見えなくなりましたっていうんですね。それほとんど、まあ、小さいもんですから、血管を通して、大体、肺に突き刺さったりするそうなんですね、ええ。そう…私の場合は、3個が3個とも、どこへ行ってしまったか分かんないような雰囲気で、ちょっと心配したんですけども、お医者さんに聞くと、「1個1個の放射線量っていうのは非常に少ないもので、今までそれによって障害が出たとか、後遺症が出たという例がほとんどまずないので、ご安心ください」と。ただ、「まあ、肺にある場合については、それが、肺がんの原因になっては困りますから、追跡調査をするということはありましょうけども、まあ、あなたの場合はどこに行ってしまったか分からないということで、あまり心配しなくともよろしいですよ」というようなお話でしたね。ええ(笑)。