投稿者「dipex-j」のアーカイブ

前立腺がんの語り

放射線治療後に再びPSA値が上昇、ホルモン療法や温熱療法を受けても下がらないので、100万円以上かかるHIFUを受けることにした

これは一つの、手術と同じなんですね。やっぱり、全身麻酔して、そしてはっきり言えば、その対象となるところに、集中的に超音波でやる。で、麻酔をしてね、やる方法なんです。で、これもですね、前立腺がんだけじゃなくて、いろんながんにも言えるんでしょうけども。あくまでも初期の段階、例えば前立腺がん、前立腺だけに限定されているものだと効果があって。今これも、ヨーロッパのほう中心に盛んに使われているやつなんですよ。
で、わたしみたいに、MRIでみたところ、「何かぼやっとしているものがまだあるようだから」っていうことで。じゃ、わたしは、自分自身で納得するためにやってみようという気持ちになって、それで先生に相談したら、「やってみよう」って。「これ保険きかねえから100万以上かかるよ」というようなことで。金額的なことももちろん承知の上でね。それは、今かかっている大学病院と関係のある方がやっているところで、したので。勧めていただいて、そして…受けたというのが概要なんですけども。

前立腺がんの語り

HIFUは安全性や性機能の面でも一番いい治療だと思うので、あとはお金の問題。保険が認められていないのがデメリットだ

HIFUの説明の中に、ありまして、他の手術の方法と比較した表がありましたけれども。あの、何ていうんですか、右、右下がりですかね、右上がり? いちばん左のほうにHIFUがあって、あとは、だんだんとこう、総合的な評価として、下がってくるといいますかね、安全度とか、性機能を残すとか、それから、出血がないとか。いろんな面を総合評価しても、HIFUは一番この…何ち言うんですか、高い位置にありましたですね。それで、まあ、あとはお金の問題だけかなあと思って。とにかく、切らずにすむということは、やはり一番、大きなメリットで。
あとは、放射線なんかも、切らないですがね。だけどあれは、やっぱりあの…放射線は、ほかの細胞も、焼いてしまうというか、殺してしまうということですからね。そういう点で、まあ今はわりかし、ほんとに必要な部分だけ、放射線を当てるという…何かね、いい機械もできているみたいですけども。HIFUは根本的に超音波を使うということで、そのほかの、熱による障害が…出るとすれば…それですけど。
その、コンピューターで計算されて、前立腺がこう1500ヶ所ぐらい―とか聞きましたですね―仮に1000ヶ所、ちょこちょこちょこちょことその90…最高点、ぎりぎりのところまで―100度まで上げるといかんらしいですね、何か。それで、90何度とか書いてありましたけど―やっていくということで、ま、放射線の被害とかは全然心配いらないですし。そういう点では、私としては、まあ最高の、今のいい方法やと思うんですが、ただ、保険が認められていないと。
それで、今後の見通しも、何か、インターネット見たところ、当分それは無理だということで。ま、その、保険が効かないというのも、大きな、マイナスのね、デメリットですけども。でも、中には、何とかして―それに、治る確率も高いみたいですし―無理してでも、あの、受けられたらいいんじゃないかなとは自分では思ってはおります。

前立腺がんの語り

HIFUは出血もないし、2度でも3度でもやり直しができるということで、これはいいと思い、手術の予約を断ってHIFUを受けた(テキストのみ)

たまたま、勤め先のごみ箱から、『赤旗』新聞を拾って、見たんですよ。そしたら超音波治療、HIFU(エイチアイエフユー)っていう治療方法があって、この大学で、こういう治療をやっていますよと紹介してた。その治療は、出血もないし、失敗しても2度でも3度でもね、やり直しができるということで。それで、普通の手術は出血が多いんだそうですよ。それで、がんセンターでは「あなたの血を2,000CC先に採っておきますから」って言われたんだけど。赤旗の新聞にはね、出血がないというから、これはいいやと思ってね。
で、大学病院は遠いんで、どうしようと悩んでいたんですけど、もう1日、1日、予約した手術の日に近づいていたんですけどね。息子が、「相談するだけ相談してみたらどうか」ってね、背中を押してくれたんで。翌日大学病院へ行って相談したら、「いらっしゃい」って言うんですね。「できれば、資料をもらってらっしゃい」って。それで、元の病院へ行って資料をいただいて、持って行った。それでまあ順調に手術もして、PSAは下がったんですけどね。半年ぐらいで、いったん下がったPSAがまた上がってきてるんですね。それで、また生検をやったら、残っているということで、二度、HIFUをやったんです。

前立腺がんの語り

放射線治療後にPSA再発したため、クライオセラピーの検討を開始。骨シンチで転移が認められなかったので、渡米して治療を受けることにした

で、その後3年ぐらいかけて、ずっとうまくいってたんですけども、だんだん上がってきたんです、PSAが。0.1ぐらいからだんだん上がって来て、で、えー、最終的には7.8、あ、7.6かな? PSAが、なってしまったんですよ。で、その少し前からですね、先生とも相談して、「先生、これこのままだとまずいですよ」っていうことになって、それでクライオって話が出てきたんです。で、クライオの場合もね、PSAが10以下であって、なおかつあの…、転移してないものでなければ意味がないわけでしょ。局部的な治療法ですから、クライオだって。ですからあの、あの当時は、えー、なんて言いましたかね、骨シンチグラフってやったんですね。
それをやっても、あの、全然、出てこなかったんです。だから転移はしてないという判断のもとに、クライオを、あの、やりましょうかって先生から提案があって、「いいですよ」っていうことで。「ただし日本から行ってもね、保険は効かなくて、自費になっちゃいますけど、どうですか」って話があったんですけど、「構いません」ってことで、行ったんですね。それを、それがクライオに行くことになった1つのきっかけなんですけど。

前立腺がんの語り

HIFUの適用は、がんが前立腺の中にとどまっていることで、初期の段階では治療効果が高いが、大きくなると治療効果がどんどん落ちる

まずは、その、がんが前立腺の中にとどまっているということがまあ一番の条件ですね。うーん、それ、ほとんどそれに尽きるんじゃないかなと思うんですけど。あと、何か、あの…放射線をした人でも何でも構わないんですよね。まあ、それはもう前立腺がなきゃどうにもなりませんけど、ええ。だから、前立腺…いや、HIFUがいい、利点っていうのは放射線じゃないので、HIFUをした後でも摘出手術でもできるし、放射線も治療もできるんですよね。それがいいとこですよね。で、HIFU…まあホルモン療法をしてても構わないとは言われて。うん、あと、特別、何か条件はなかったように思いますね。
まず、あの、そのいろんな、先生の、治療したデータをずうっと分析したのがね、そのホームページに載っているんですけども。それによると、その初期の段階、僕みたいに、そのPSAが10以下のね、初期の段階はものすごい治療の効果が高いんですよ。で、それが大きくなってくると、もうどんどんどんどんその治療効果が落ちてくるんですよね。で、それはまあそういうデータで、もう10…発見時にPSAが15だ、20とか、あるいは30とか、まあいますけども。そうなってくると、HIFUを2回したとかね、中には3回した人もいらっしゃいますし。だから、まず条件としては、その初期のっていうのが、一番適用性…適した、HIFUに適した治療方法だということになるんじゃないかですね。

前立腺がんの語り

HIFUとは虫眼鏡の原理で超音波の焦点を合わせて温度を上げ、がんを焼いてしまう治療法だと聞き、恐る恐るだが受けてみることにした

そこで、インターネットでほっと目についたのが、どこでどう…発見したか、HIFUというのを知りまして。それから、いろいろ、このやっている病院とかHIFUの方法とか、結構詳しくHIFUの方法は、ネットに載っていますわね。ほいで要は、超音波で焦点を一つに当てて、虫眼鏡の原理で、前立腺の中に、その焦点をあわせて、その部分だけ、100度までいかない、90何度ですかね、それ近くで、しかも、細かく前立腺の中を焼いてしまうと。ただ、前立腺の中にがんがとどまっているのが条件ということで、その点は心配したんですけども。ま、「これだ」ということで、やはり何となく、素人ですけども、がんは熱に弱いということで、90度近くそこに上げて。しかもいって、まあ、そのすぐそばは、そんなに上がらないということで。それでもまあ、いくら上がらないというても、そうそうは、そこの焦点のところが90になれば、その1ミリ隣は50度とか。40…確か50~60度でがんは何か死ぬとかいうような、あれを無意識に何か頭の中に、どっかで読んだ記憶がありまして、これなら多分効くんじゃないかと。それで…ただ、前立腺に外に行っていると、心配だけども、ち言うんですけども。
最終、あの…泌尿器科で診てもらった検査が、PSA6.8だったんですわ。これが手術前の一番、あ、生検前の一番、新しいPSA値やったんですけれども。これなら、10ぐらいは、ち言うようなことも、本にも書いてあったしということで。ある程度は、安心しとったというか、HIFUなら…多分前立腺の中に納まっとるだろうという…。あの、生検やったときの先生は、「ぎりぎりだな」っていうようなことは言ってみえたです。「ひょっとしたら、精嚢のほうに、精嚢に癒着があるかもしれんな」という言葉で言われたですけれども。それが、その外行っている(という)意味なのかは、ちょっと私には理解できなかったですけれども。多分、HIFUでいいんじゃないかなという、恐る恐る、それでも…あの、それでインターネットで調べたら、一番隣の県に、HIFUをやっている病院がありまして、それでそこへ、はじめ電話で問い合わせてみたですかね。

前立腺がんの語り

化学療法をしているともうあとがないと思い、居ても立っても居られない不安にかられてしまう

で、日本の場合は、(タキソテールと)エストラサイトとセットでやったほうが効果が高いというようなことで。つまり、これは、がんをなくすとか何とかじゃなくて、延命措置ですよ。延命効果をはかっている化学療法ですよね。だから、あとはないわけで。あとはだから、わたしが病気が進行していく状況の中では、こうなってこうなってこうなってこうなるだろうというのが、頭の中で渦巻いているわけよね。そうのするとねえ、もうやっぱり、もう、いてもたってもいられない不安にかられる。ですから、先ほど言ったように、朝飲んできたようなメイラックスであるとか、あと、ロヒプノールですか、睡眠薬であるとかっていうのも処方したり。あとやっぱり、去年でしたかねえ…まあ、職場変わったこともあったり。もうこれ以上、やる方法がない、タキソテールをやりながら…やるしかない。どんどんどんどんPSAが、上がっているっていうさなかのときは、ああこれは、ちょっとうつに近いものになりつつあるなっていうことで、精神科もわたし、正直言って、受診しました。

前立腺がんの語り

抗がん剤治療を受けていてあまり無理をしてはいけないと思うが、自分のからだのイメージが大きく変わったという感じはしない(音声のみ)

――治療受け始めて、体のイメージというか、自分はこういう感じだったのにっていうイメージが変わったりとかありましたか?

そんなにはないですね。うん、ただ、そうですね。やっぱりあまり無理をしてはいけないんだろうなっていうのはありますけども。酒を飲みに行くのは少し控えてるとか、まあでも、たまにはかなり遅くまで飲んだりしますけども。「普通の体でないんだよというのを、もっと認識すべきだ」というふうに言う人もいますし。家族ではそう言うてますけど。そこがまだよく分からない。多分それほど、少なくとも表面的には仕事上も90%以上、普通にしてますから、周りの人は全然そういうのはあまり気が付いてないかなと思いますね。

――じゃあ、大きく変わったっていう感じはあんまり…?

あんまりないですね、はい。

前立腺がんの語り

最初は2週間入院した。退院後、髪の毛が抜け始め、最後は剃ることにした。1年半治療したが、PSAが下がらなくなり、抗がん剤を中止した

――抗がん剤の治療は、入院してされたのか、どんな治療だったのか、それから副作用はどうだったのか、その辺りのことを教えてください。

1回目が、入院、約2週間程度でした。というのは、抗がん剤を打ちはじめて、食欲はないし、で、だるいし、それで白血球が下がってしまって、これ以上下がったまんま退院はできないと。ということで一応、2週間ぐらい最初は入院してました。1回目がですね。で、退院したあと、家で髪の毛が落ちて、あの抜けるのが分かってきました。で、風呂場で、浴場でもう抜けてまばらになってしまって、それでまあ、髪の毛も薄くなったし…白髪になったし、それで一番もう最後には、剃ったほうがいいと思って、一応剃ったんですが、その間に抗がん剤を1年半続けたんですけども、最初は2週間。そのあと、また抗がん剤したときには、今度は10日。で、3回目はまあ1週間とか。そういうふうに時間、期間がだんだんだんだん短くなってきました。でも、一番最後には、一泊になってきまして、で、一泊を終わって、一番最後には、今度はもう通院というかたちで、抗がん剤治療は、通院というかたちでしました。で、抗がん剤治療、そうしているうちに、もうPSAが、下がって来んということで、抗がん剤を打ち切りということです。

前立腺がんの語り

タキソテールの場合、1週間はだるく、熱が出たりしてするので、職場に迷惑がかからない日程を選んでいた。治療を再開するのは気が重い(音声のみ)

最初のうちは、だから3週に1度だったんだけれど、それが2~3回だったかな。今度頻繁に、もうその2.5倍をやってだんだん強くしていって、そして、がん細胞をたたく。がん細胞をたたくっていうのは、聞こえはいいけど、そのほかの正常の細胞もどんどんたたくと、攻撃するということでしたね。
化学療法をするときは、もう頻繁に。それも、なるべく職場に迷惑がかからない日程を自分で選ぶことができますから。あの…何ていいますか、例えば、タキソテールを月曜日に受けるとですね、もう、その1週間多分駄目だと思うんだよね、結構。だから金曜日とかに、できることならば、金曜日とか木曜日あたりにお願いして、ま、受けた直後はそんなでもないんですよ。2日3日経つとね、どーんとくるのね、わたしの場合。

――そのだるさというか。

だるさというかね。いや、だるさもそうですけど、熱出てくんのよ。それで、2~3度休んだときあるかなあ、うん。あとはね、37度5分ぐらいまで熱あったって、わたしは、どちらかというと熱には鈍感なほうだから、あの、仕事はやってられるんだけども。やっぱ、37度5分越えるとね、ちょっとしんどくなってくるねえ。ま、38度ぐらいになると、やっぱり座薬入れながら。で、タキソテールやっているときは、だからもう、1週間ぐらいは座薬ずっと入れっぱなしですね。で、座薬入れてもね、やっぱりこんなだるさについてはね、ちょっと効かない場合あるね。

――熱は下がるけどもという感じ?

そうそうそう。だからほら、体全体の細胞がさ、そういうふうになっているんじゃない?多分。うん。だって座薬がさ、手のしびれとか足のしびれとかこの毛が抜けることとか、涙が出ることとか、そんなとこまで効かないですもん。それだけ、体のそっちこっちに。だったら休めばいいじゃないって、まあ言われる…やっぱ言われるんだろうけども。ただ、休むと、もう気持ちまで萎えてしまうような気がしてね。で、気持ちで、こう保ちながら、続けていきたいと。共存というのはそういうことだと。それこそ覚悟して…覚悟して取り組むのが…覚悟ってそういうことじゃないかっていうふうに自分で言い聞かせながらね。