投稿者「dipex-j」のアーカイブ

乳がんの語り

毎年、婦人科で乳がん検診(視触診)を受けていたが、自己検診でしこりを見つけた

2007年の3月の30日、私は入浴後にバスタオルで体をふいていたときに、左胸のしこりに気が付きました。努めて、以前からこう自己検診をするようにしていたんですけれども、そのときに触れた感じというのが今までに自分の感じたことのない手触り、触感というか、そういうものだったんですね。なので、これは、ちょっとまずいんじゃないかというふうに、すぐにドキッとして、迷うことなく、すぐに、毎年、がん検診は受けていたので、まあ、でも、乳腺専門ではなくて婦人科ですけれども、そこの婦人科の先生のところに翌日行きまして、診てもらったんですね。やっぱりとっても心配されまして、自分のところでは、マンモグラフィの機器がないので、すぐに設備のあるところを教えていただいて、がんの検診を主にやっているクリニックに翌日行きました。

乳がんの語り

退院と同時に脳梗塞で入院中の母親の介護、その後、交通事故で長期入院を余儀なくされた娘の看病と、自分の体に無理を強いなくてはならない日々が続いた

ただ、私はその後、母の介護に、私が退院すると同時に、母の介護に入らなきゃいけなかったんです。私が退院する2日前に、母が脳梗塞で倒れて入院し、私は退院と同時に母の介護に入るってことがあり、また母の介護を1年近く終えた後、突然、娘が交通事故に遭いまして、100日に及ぶ入院を余儀なくされました。そんなこともあり、先生が、「僕の救った命を無駄にしないでくれ」と言われたんです。そんなことを押して、自分が母を看病していますから、無理に無理をしている自分があるということが、十分、承知してるんで、その再発の不安とかは今でもぬぐえてないです。ちょっと咳が出れば「肺に転移したんじゃないか」とか、腰に…が痛ければ「骨に転移したんではないか」と、やはり乳がん患者にとって、再発っていうのはすごく頭から離れないんです。
がんっていうのは、先だって申し上げたように、がんだけではないんです。その人の背負っているもの。例えば親の介護であり、子どもの教育であり、夫婦のことであり、そういうことを背負って、みんな生きていかなきゃなんないんです。私はがんだけやってればいいっていうことはなかなか難しいんです。また、恵まれてそういう方もいらっしゃるかもしれませんが、ほとんどの方は、仕事なり、介護とか、私たちの年齢ですと介護とか、非常に重たい中で生きていかなければなりません

乳がんの語り

ホットフラッシュに備えて暑くなったらすぐ脱げる服を着たり、陰部の痛みには自転車に乗るときにナプキンを当てたりして工夫した

ホットフラッシュに関しては、脱ぎ着を簡単に。なるべくこう、暑かったときには、ホットフラッシュで暑くなっちゃったときには、1枚脱げるような感じで、工夫をする。特に、私、タートルはあまり着なくなりました。首が詰まると余計、何か苦しくなって、暑いときになると余計こう、カッとなったときに息苦しさを感じてしまうことが多かったんで、なるべく首が開いたので、そして、暑かったら、さっとカーディガンを脱ぐと。
で、寒かったらまた。ちょっとするとすぐ引くんで。カーディガンを脱ぐとか、まあ、顔だけ暑くなるんですけど、そういう形でちょっと、調節をするような形をしました。
で、陰部に関しては、自転車に乗るときには、ちょっと、こう当たらないように、こうちょっと分厚いものをちょっと、まあ、生理用の(ナプキン)で分厚いのを乗せたり、で、中にちょっと、重ねて、当たらないようにして自転車に乗ったり、したりして、こう工夫をしました。

乳がんの語り

ホルモン療法は体中に散らばった微小のがん細胞を抑えるための治療だと説明された

乳がんって、何でかなって思ったんですよ。何で、最初、この手術した後に(薬を)飲まなきゃいけないのかなって、一応、本は読んだけれど、納得がいかなかったんですね。そうしたら、乳がんっていうのは、最初にこう、取っても、微量、微小のこのがん細胞が、体のいろんなところに飛んでいる。で、たまたま読んだ本には、タンポポをふっと飛ばすと、いろんなとこへ飛んで、どこで、タンポポの花が咲くか分からない。あるいは、川の水にインクを流すと、それをバケツで拾うのは、流してこう散らばったのを拾うのは大変。拾う間にどっかいろんなとこに飛んでしまう。そういうように、がん細胞、乳がんの場合、最初から少し、こう、ほかのがんと違って、流れていってしまうことが分かった。「ですから、全身病っていうんだよ」、「そうなんですか」って。で、それを、補助するために、放射線をしたり、ホルモン療法といって、がんを抑える。「ホルモンで抑えたり、抗がん剤を使うんだよ」ってことをお話を聞きました。

乳がんの語り

エキスパンダーを入れてから1年半くらいして、アメリカからシリコンジェルを取り寄せて入れ替えをした

エキスパンダーの生理食塩水を入れてる場合は、非常にぶつかると、こう、こう弾力がないんで、パンクしちゃったりする可能性もあるそうなんですね。だから「ラッシュアワーとか、人にドンとぶつかられたりとかは気を付けてください」って言われました、退院のときに。で、飛行機とか何かでも、ちょっと、「飛行機ぐらいだったら、多少、気圧が、膨らむことはあっても破裂することはないけれど」ということでおっしゃいましたけど、ラッシュ時とか、ボールがポーンと当たったりすると、中が破裂しちゃう可能性もあるそうです。ですけれど、あの、「破裂したからって、じゃあ、先生、あの、すぐ緊急手術で何かあれなんですか」って言ったら、「いやいやいや、ただ、あの、それを、しぼんだやつを取り除くだけだよ」って言ってまして(笑)。
それで、あの、そのエキスパンダーは、ある程度おいてもいいということだったんで、えーと、1年半ぐらいおきまして、えーと、おととしの11月の末に手術をして、入れ替えをした。今度はシリコン。で、あの、シリコンでも、シリコンジェルといって、こう、ちょうどマシュマロのおっきいみたいですね。ボヨンボヨンボヨンっていう、こう動く形。おっぱいの形はしてるんだけど、その大きさのを入れるというか。そこの、液、あの、生理食塩水の入った袋を除いて、そこに入れ替えるという手術です。「手術自体はそんなに大変じゃない」って、先生、おっしゃってまして、退院、まあ、病院によっては本当にもう1日2日で退院。まあ、私の場合ちょっと、アレルギーとかもあるから、「ちょっと用心しながらいきましょう」ってことで、しました。

乳がんの語り

最初はエキスパンダーという水風船のようなものを入れて、3週間かけて少しずつ生理食塩水を注入していった。その間に反対側の乳房の吊り上げ手術も受けた

それは、えーと、エキスパンダーという、あの、(皮膚を)伸ばす手術です。そして、あの、生理食塩。あの、いわゆる体の中に、筋肉の下、胸筋の下に、水風船のようなものを入れるような感じを自分は受けました。あの、早く言うと、水風船を入れて、で、徐々に、その水風船を注射器で膨らましていく手術をする。その水風船を入れるための手術というんですか、エキスパンダーっていうのは。
そして、私の場合は、手術をして、通常は何か、少しずつ30ccぐらい、まあ入れて、皮膚をだんだんと伸ばす、みたいですけど、私の場合は結構、皮膚が残って弾力性があったんで、入院中、まあ、3週間かかったんですけれど。というのは、まあ、右側を手術したんですけれど、つり上げ、左側をつり上げ手術という形で、時間が、2~3年たってる間に、高さが違くなってしまって、残ったほうが下がってしまって、取ったほうは上がったままという状態で。で、先生は、形成、ということで、残したほうの、低いほうに合わせるってことだったんですけれど、先生に、「何も作るのに、下がったほうに合わせなくてもいいんではないか」ということでお話ししましたら、つり上げ手術ということがあるんで、つり上げ手術をして、上に上げて、で、高さをそろえるということで。

乳がんの語り

以前に婦人科の手術を受けていたので、自家組織を使うより体への負担も少ないということで人工物を入れる方法を選んだ

私の場合はエキスパンダーといって、その、人工物を入れて、まあ、さっきの話と重なりますけれど、入れる手術を、が、要するに、お腹の、お腹から持ってくる方法もあるんですね。あと背中から持ってくる。あの、筋肉を持ってきて、ここにこう、あの、血液(血管)と一緒に持ってきて、ここに収めるっていう方法があるんですけれど、私の場合、お腹は子宮筋腫と内膜(症)で取って、切られてるんで、その、お腹、手術してる人はあまり向かないという。もうかえって避けたほうがいいということで。背中から持ってくるのは、あの、保険は利くけれど、やはりちょっと、まあ、手術的にはそのエキスパンダーより、あのー、ちょっと、負担がかかるということを、お話聞いてまして、で、一番、あのー、私の場合は、一度切れてるところにこう埋め込むみたいな形が一番楽ではないかということで、体の負担がない。ただしちょっと、保険が、そういう面では、いろいろと制約があったりとかして、ちょっとまあ、あるんだけれど、そっちを考えた場合、まあ、体にもいいんではないかということで、それを選びました。で、選んだ結果は、とてもよかったです。

乳がんの語り

もともと大きかったほうの乳房が残ったので、体のバランスが崩れて姿勢が悪くなったことに加え、物事に対して卑屈になってきたので、乳房再建をしようと思った

そして、なぜ再建をしようかなと思ったのは、あの、だんだん姿勢が悪くなってきたんですね。もともと左側が大きかったんですね。で、大きかったほうが残って、小さいほうがなくなってしまったんで、体のバランスが取れなくなってる。曲がるときにコロッて変なほうに回ったり、体、姿勢もすごく悪くなったりして。
で、あと、まあ、自分ではこんなにならないと思っていたんですが、実は私、子宮がんもやっているんです。で、子宮がんのときは、よく女性のシンボルの、まあ、乳がんと子宮がんっていう形で、子宮がんのほうが何かショックがあるのかなと思ったら、乳がんのほうがショックが大きかったんですね。子宮がんっていうのは、まあ、あのー……。っていうより子宮、子宮がんで、私は子宮を取ってないんですけれど、子宮内膜症と子宮筋腫で子宮は取ったんですね。なんですけれど、やはり乳がんっていうのは、体…、いやがおうにも毎日、自分の醜い部分を、取ったという部分も見なきゃいけない。こんなに明るい私でも、物事に対して卑屈になるんですね。だんだんだんだん卑屈になってる自分が分かるんですよ。隠そう隠そうとしている自分があったんですね。夫婦も、20年も経ってて、それで心なんて変わらないって分かってても、何か、こう突っかかってったりとか。何かその辺の、自分の心の変化があったんですね。

乳がんの語り

小さな傷が化膿してリンパ浮腫を引き起こすことがあるので、やけどや虫刺され、注射にも注意しなくてはならない

例えば、庭をいじるときにゴム手をしなきゃいけない。っていうのは、小さな傷から思いがけずに化膿した傷がリンパ浮腫を起こしてしまうことがあるそうなんです。やけどもそうです。主婦ですから、手を使わないこと…まあ、主婦だけではなく、生きていくのに手を使わないことってなかなか……。まあ、執事とかいて、すべてをやってくれる方は別としても、通常の方は手を使わないでいるってことは不可能に近いですよね。その中で、傷もしないで、やけどもしないで、虫にも刺されないでいるということの大変さを思いもよらなかったです。例えば蚊にも刺されてはいけないんです。まあ、刺されちゃいけないってことはないんですけれど、刺されることによって化膿の可能性があるんで、処置、すぐ処置をして、ひどくならないようにいつも心掛ける。やけどをしてもそうです。まあ、場合によってはやけどしちゃうこともあります。そのときには、もう本当に青ざめる気持ちです。傷もそうです。もちろん土いじりは、素手では、乳がんをしてからしたことありません。
それと、まだ防げるのはあれなんですけれど、血圧とか注射も、取った側ではなるべくしないでくれと言われています。(私の場合は、いろいろと病気を持ってるんで、それが一番困ります。)

乳がんの語り

術前からリハビリの体操をしておくと術後の経過が違う、と本で読み、手術前から腕を動かす練習をしていたおかげで、術後の腕上がりは支障がなかった

乳がんの場合は、手が上がりにくくなるということで、えー、手術してから、あの、少し手を動かすということで、割とそこの、私の大学病院では、それを積極的に、行っているところだったんで、あの、看護婦の指導のもとに、そのリハビリという形で、腕を動かす練習をしました。私の場合は、あの、たまたま読んだ本の中で、手術前に手を、リハビリの体操をしておくと、術後の経過が違うんではないかということが書いてあったんですね。それで、あの、手術前から、自分が手術するという決まった日から、心して腕を上げる練習をしたり、手術前も直前まで腕とか、指を動かす練習をしていました。そのおかげで、術後の腕上がりは支障なかったです。