投稿者「dipex-j」のアーカイブ

障害学生の語り

科目試験に関しては、90分で800字を超えると手では書けないので、レポートに替えるなど別の方法にしてもらっていた。その文字数は、センター試験を参考にしていた

――普段の、科目、科目にあった試験については、何かこう特別な配慮って、ご自身はあったんですか?

うーんと、手で書く試験は90分で800字、それ以上は、手では書けないので何かしらの、は、時間延長するなり、レポートに代えるなりをしてくださいっていうことは言っていました。試験に関してはそれぐらいですかね。

――その90分で800字っていうのは、ご自身で自分はこれぐらいっていうのを最初から分かっていたんですか?

えーと、多分センター(試験)の時の基準が…、そのぐらいだったかな。2次試験の時も基準がそれぐらいで、(自分では、)多分書こうと思えば、もっと速いスピードで書けると思うんですけど、負担等いろいろ考えたときに、それを測ってどうこう言える数値でもなかったので、90分800字が一つの目安として考えて、そこで、相談をさせてくださいっていうことで、はい、やりました。

――じゃあ、それを超えたら、何か違う(方法を)?

ええ、時間延長するとか、何かしら。

障害学生の語り

定期試験では、テスト問題の拡大と時間延長を受けていた。授業科目が増えると試験の時間が普通の人より長く体力的にきついので、試験の日程をずらしてもらっていた

実際にはノートテイクは大学の4年間では受けなかったんですけれども、特に、授業内ではなかったんですけれども、大学の定期テストの時には、テスト問題の拡大と時間延長と、大学の学年が上がっていくと授業の科目数も増えるので、その科目数が増えていって、こうテストのスケジュールがたくさんになった時には、時間延長してもらっている分、普通の人より長くなるので体力的にも難しいので、テストの科目を、こう受ける時間、日にちをずらしてもらったりとか、そういう配慮を受けていました。

障害学生の語り

科目の試験は、時間延長と問題の拡大コピーをしてもらった。実際やってみると、用紙がとても大きくて笑えるようなこともあったが、自分としては見やすくて良かった

(入学時の大学との話し合いで、)授業において、プリント教材なんか字の小さいものも多いので、そこら辺は拡大したものを用意してもらえるかということで、基本、A4をA3にされて、拡大コピーして用意してもらうというようなことを、必ず教務課のほうから、私が履修する授業の教授には話をしてくれるという、約束をいただきました。
で、それから試験ですけれども、試験も、入試に準じた対応でちょっと、時間延長してもらうのと、それから、問題を拡大コピーしてもらうということで、ちょっと、実際やってみるとちょっと笑える感じになっちゃったのが、入試と同じ大きさの、ものを用意してもらおうとすると、大学の標準の問題用紙の大きさがA3だったので、A2になってしまいまして、毎回、A3の紙を2枚張り合わせたA2の大きなテスト用紙をですね、あの、1人の(別室の)教室で、机を6つかき集めて、大きなテスト問題を1人で解くっていう、ちょっと面白い感じになってしまったんですが、私は読みやすくて良かったんですけど、ま、うん、…そんなちょっと面白いこともありましたね。

障害学生の語り

試験は個室受験で周りを気にせずに済み、試験の形式も記述式とマークシートが選べたので、字を書くのが苦手なためマークシートを選んだ

(大学に)入ってですね、障害者の配慮してくれるっていうのがあって、試験がまずね、個別試験なんですね。個室試験なので、そこはやっぱりね、周りでやっぱり、
鉛筆の、答案で書いた鉛筆の音とかですね、非常にそこがですね、気になるときあるんですね。気になるので、そこは、やっぱり(音が気になることが)なくて割とのんびりとできた、自分のペースで試験を受けられて非常にいい成績取れたので、そこは非常に助かりましたね。
あと授業ですけど、授業は放送大学って割とですね、選択、あの、試験がですね、記述式と、あとは選択式、あの、マークシート式の問題あるんですけど、なるべくマークシート式の問題選んだので。だからそんなにね、僕、字書くの苦手なんですけど、そこは割と苦労せずに単位取れたので、そこは助かりましたね。
あと記述式の問題ですけど、やっぱり文字書くの苦手なんで割とね、あの、漢字で書くとこをですね、割と平仮名で答えたんですけど、字書くの苦手ですからっていうことをしっかりと伝えて、そこはね、あの、大目に見てもらったりとか、はい、採点のときにね。
あとは、レポートを出さないといけない面接授業だったんですけど、そこはね、やっぱりレポート書くの苦手ですって言ったら、授業に積極的に参加したのでレポート免除してあげるって言われて単位取ったことも何度かありましたね…。はい。

――それは、もう個別に、その担当の教員と(相談したんですか?)。

そうです。はい。交渉しましたね。はい。あ、でもね、授業積極的に参加してたんで、レポートは免除しますって話で、はい、理解ある先生は割とそれでね、幾つか(単位を)取らせていただけましたね。

障害学生の語り

大学では白紙のA4用紙1枚にレポートを書くという試験があったが、テスト時間内では手書きでその分量の文章は書けないので、パソコンを使わせてもらっていた(音声のみ)

医療系とか工学系の専門科目と、まあ何か、何ていうんですかね、文学的な、総合科目っていうのがあったんですけど、総合科目の時が、総合科目のテストがほとんど、レポートとか結構、何か白紙の紙を渡されて、ほんで、黒板に問題書いて、これに書いて、これについて何か、A4用紙1枚に、書いてみたいな感じのテストをやったんですけど。
それに関してはやっぱりあの、そういった長文の、文章を書くっていうのが、ほんまにそのテスト時間の中では手書きでは、絶対無理やったんで、それに関しては、もう何かその大学にこう何ていうんですかね、そういう障害とか何かしら抱えてる、学生をサポートする、こう窓口がありまして、そこにこう相談しに行って、まあ何とか、パソコンを使わせてもらわれへんかとか、テストをパソコンで受験さしてもらわれへんかっていうのを頼み込んで、だから総合科目に関してはもう全部パソコンを使わしてもらってっていうふうにやりましたね。

――ご自身はパソコンを使うと、その何ですか、同じ時間内、他の学生が受けているような。A4一枚に、時間内にこう文章を書いてくださいっていうのを、パソコンを使うとやりやすいですか?

そうですね。パソコン、やっぱり何か、何か脳から手へのアウトプットがこう、うまくできないみたいで、こう何ていうんですかね、字の形を、これ何かすごい、よくいろんな人に「手書きの文章とパソコンで書いた文章、全然文章力違うな」ってよく言われるんですけど、こう手書きで書いているときに、あの字をもう一個、一個思い出しながら書いている、るんですよ。何か、この字どうやったっけな、この字どうやったっけなみたいな感じで、その分書きたいって思っている文章がなかなか出てこなくなるんですよ。
でも、パソコンやと、わって書いて、あ、違うなと思ったらすぐ消せるじゃないですか。それを、こう繰り返して、こう書き、書くっていうところにあんまり神経を使わなくて済むので、こうすごい何か、書きたい文章がどんどん出てくる…。あの、すごい、そうですね、パソコンは、あの、だいぶ…、いけるんですね。

――その、学校のその窓口に相談をして、配慮というんですかね、を受けたのは、そのテストのときだけですか、日常の授業に関しても何か、これはっていうのが何かあった?

そうですね。テストのときは、まあ、あの、その教授に1回、1回目は教授に相談したんですよ。そうしたら、そういう窓口がある、「まあ、普段の授業でやったら、こう、俺(教授)に相談してくれたらいいけど、ちょっと、試験のときは一回そういう窓口を挟んでほしい」っていうふうなことを言われて、そうですね。それでその窓口を利用したっていうふうな感じですね。

障害学生の語り

大学ではパソコン通訳のソフトや、それを点字で受けるための知識がなく、主に触手話だった。大学院では、パソコン通訳を点字で受けるようになった(手話)

――大学ではずっとその手話通訳者を付けてもらったっていうことだったんですが、そこではパソコンではなくて手話通訳者にしたのは、大学から言われたからとか、何か理由があったんでしょうか。

はじめには、大学のときにはパソコン通訳はほとんど使いませんでした。それは、パソコン通訳のためのソフトがまだ、十分ではなかったからです。パソコン通訳を点字で表すためには、いろいろな工夫が必要なんです。ですが、大学のときにはその専用の知識を持っている人がほとんどいなかったんです。ですので、なかなかパソコン通訳を受けることが難しいという状況でした。
受けられないというよりも、パソコン通訳を使うように、使うような意識がなかったということかもしれません。ですが、大学院に入ったことをきっかけとして、情報アクセシビリティとしての、試しにパソコン通訳を受けることになりました。大学院ではパソコン専用の知識を持っている人がたくさんおりますので、パソコン通訳を点字で受けるようないろいろ工夫もしてもらいました。そのような流れがあって、大学のときにはほとんどパソコン通訳を使わなかったということです。

――分かりました。えーと、大学院でのその勉強は今、こう、パソコンを使ってあまり介助者、通訳者を付けないでやっているっていうことなんですが、授業の内容としては講義が多いんですか。

そうですね。あまり触手話通訳は使わないです。ですが、比率としては半分くらいです。講義の内容に合わせて触手話通訳を使うときもあります。パソコン通訳のときには、主に講義が多いです。そして、例えばディスカッションなどの授業の場合には触手話通訳を利用する。また、大学院では聴覚障害学生だけではなく、視覚障害者、視覚障害の学生も、キャンパス、キャンパスが一緒ですので、そこで講義を受ける場合もあります。で、施設が違います。それぞれ違いますので、パソコン通訳のための設備がない教室もありますので、そういうときには触手話通訳を利用するということになります。

――分かりました。ありがとうございます。そうすると、今の大学院のほうだと、障害学生も多くて、割とサポートを受けるのはスムーズだったっていう感じでしょうか。

はい。そうですね。

――大学院でそんなに困るっていうことは、今のところはないですか。

そうですね。大学と比べると、困ることは少なくなったと思います。

障害学生の語り

資料の点訳やデータ化は、時間がないときは自分でボランティアに頼んだが、それ以外は卒論執筆のための文献のテキストデータ化も含め、すべて大学が手配してくれた

例えば、あの、後に社会福祉士の国家試験を受けるんですけれども、その問題集の点訳、それも今思うと大学にやってもらえばよかったんじゃないかというふうにも思うんですけれども、今でこそ社会福祉士のこう、国家試験の対策の問題集とか、参考書みたいなものって点字でも手に入るようになってきていますけど当時は、全くなくて。
で、僕は多分(国家試験の問題集や参考書の点字版が)あるだろうと踏んでですね、あんまりこう準備をせずに、大学4年のいつぐらいだったかな、何かある程度のところまで過ごしていて、ちょっと探して、そろそろ試験の準備でもしようかなというふうに、思って探したら全くなくてすごく焦りまして。で、日本点字図書館だと、きっといろいろ点訳しなきゃいけないものっていうのは、いろいろある中の一人として僕のお願いしているものっていうのがあるだろうけど、地元にいた頃から、お世話になっていた、点訳のボランティアさんたちっていうのは、その、大学1年の頃に、自力でその点訳の、やり取りをしていた頃っていうのも、その地元のボランティアさんに頼んでいたんですけれども。
いつも、その「何か必要なことがあったり、急いでほしいものがあるときには、こっちに送っていらっしゃい」って、「何を差し置いてもやってあげるから」っていうふうに、言ってくださっていて。あ、これはもう、今これは頼んだほうがいいっていうふうに思って、その大学4年の国家試験の対策の参考書なんかについては、久しぶりにその地元のボランティアさんの、お力を借りてっていう感じでしたね。
それ以外は、もう本当に全部大学でやってもらいましたし、卒業論文を執筆したんですが、それに必要な文献を読む際というのは、やはりそれも時間がなるべく早く手に入りたかったので。そういうときには、それも教授のほうからで、それは教授が確か言ってくださったんですけれども、学生ボランティアを集めようというふうに言ってくださって、要は、その文献もスキャナーで読み取ってテキストデータに起こしてっていうようなことを学生にやってもらおうと。
まあ、その社会福祉学科の後輩だったんですけれども、後輩にやってもらえれば、その作業をすること自体が一つ、作業をしながら多少でも読むだろうし、学生にとっても勉強になるだろうから、あの一石二鳥というか、ちょうどいいからやってもらおうというふうになって、そういう文献を読むというのも、学生にサポートしてもらってというふうになったので、ほぼ、ほぼ自分の手を煩わすっていうことは大学の2年以降は、なかったように記憶しています。

障害学生の語り

授業では、個人的に先生にFMマイクを付けてほしいとその都度お願いしていた。他の学生と違うのは遅刻しないで授業へ行っていたくらいで、他は思いつかなかった

私が大学を入った頃はそういった窓口が一切なかったので、まずその相談をするっていう概念も自分になかったですね。なので、もういきなり入っちゃって授業に出席して、高校のときと同じようにFMマイクを先生に持って行って、聞こえないのでこのマイク付けてくださると私のところに直接音が届くので付けてくださいませんかって毎回、毎回授業の最初にお願いしてっていう感じで進めていったので、大学そのものに、組織に相談したっていう経験はないですね。

――そのFMマイクを教員に付けてもらって講義を聞いていると、それは、聞こえるんですか、FMマイクだと?

うーん。大学までくるとかなり内容が難しくなってくるので、聞こえてても何のことか分からない、っていうことが、たまに授業によってはありました。
全く分からない、例えば、記号論理学みたいな哲学系の授業だと、もう本当、確かに何言っているかは分かるし、何言っているかを書けって言われたら書けるんですけど、でも何か頭に入ってこない、みたいな感じになってきて。

――特に、例えば資料を先にもらったりとか、そういうこともなかったですか?

何か、全然思い付かなかったですね、その資料を先にもらうとか思い付かなくて。あと結構先生方、レジュメって配ってたので、それを見ながらとか。なので、他の学生との違いといえば遅刻しないで、先生が来るのを待ってて、先生が来たらマイクを渡しっていう、それだけでしたね。でも、遅刻できないっていうのがありましたけど。

障害学生の語り

本当はノートテイクを希望したが、これまでなくてもできていたならその方法でなくてもいいのではないかと大学から言われた。結局、授業の録音を行うことにした

(最初)授業のノートテイクを希望していたので、ノートテイクをお願いしたいというお話をしたんですけれども、それまで大学に入学するまで、授業のサポートであったりとか、そういうものは一切受けていなかったこともあって。
大学に入るときに、基本、私のイメージとして大学では、授業、講義のときに板書をしないイメージがあったので。板書をしないとなるとそれまで、中学、高校は割ときちんとこう黒板に板書をきれいにしてくださることが多いと思うんですけども、大学はそうではないので自分で、講義を聞きながらノートを取ったりすることが必要だと思っていたので。
そうなると、先ほどもお話しした空間認知障害が私にはあるので、授業を聞きながらノートを取ることが難しいので、ノートテイクを希望していたんですけれども、大学のその担当の先生と、にお話しした際に、今までそのノートテイクであったりとか、そういうサポートを受けてこなくて、授業に付いていくことができていたのであれば、なにもこうノートテイクという方法でなくてもいいのではないかというふうにお話をされて。
私としては大学に入ったらノートテイクは受けられるものだと思っていたので、内心驚いて。ノートテイクが受けられないと授業を受けられないかもしれないなと思っていたので、どうしようかなって思っていた部分もあるんですけれども。よく考えてみると、授業を受けていく中でこれまでも友人にノートを借りていたりとかしたので、大学に入っても友人にノートを借りて、で、コピーさせてもらったりとかすれば、ノートテイクというかたちを取らなくてもいいのかもしれないなってちょっと考え方を改めて。
で、その他は友人にノートを借りるっていう方法と、ICレコーダーを授業の中に、授業のときに持っていって先生の授業を録音させていただいたりとか、講義の中でレジュメを使う先生であれば、事前にレジュメを頂いて、その授業までの間で目を通して授業内容を把握したりとか、そういうかたちを取っていたので。

障害学生の語り

最初のオリエンテーションで、今がチャンスと思って難聴だと周囲に伝え、ノートテイクや情報保障のことを聞こえない先輩に教えてもらって、徐々に使うようになった

大学の講義は、もちろん、当時は何も知らなかったので、最初のオリエンテーションのときに自己紹介をしなさいって先輩に言われて、あ、今がチャンスだと思って、自分は実は難聴で聞こえないんですって初めて告白をして。
で、ちょうど、聴覚障害の(教育について学ぶ)専門のコースだったので、先輩たちはもちろん手話ができる先輩とかがいて、じゃあ聞こえないんだったらって手話をしてくださったんですけど、こっちが手話を知らないので、あ、すみません、手話分かりませんみたいな話をして。
で、その後に、聞こえない先輩がちょうどいたので、ノートテイクっていうのがあるんだよっていうのを教えてもらって、もうそれは情報保障なんだよって教えてもらって。
まあ、でも、全く聞こえないわけじゃないので、まず最初講義を受けてみて、先生の声を聞いてみて、試しにノートテイク付けてみてみたいな感じで、はい、だんだん、だんだんノートテイク付けて増えていったみたいな、はい、感じですね。