診断時:32歳
インタビュー時:59歳(2018年6月)

関東地方在住の女性。夫と二人暮らし。32歳の時にクローン病の診断がついた。その後35歳の時に大量下血で入院したが何とか仕事もできていた。しかし43歳の時に腸に穴が開いていることがわかり緊急手術となったが、術後低血圧となりまだ漏れていることが判明したため、再度緊急手術となった。この時にストーマを造った。術後しばらくストーマの周りに壊疽性膿皮症が出てしまいストーマのケアが大変だった。いまでも時々壊疽性膿皮症が再燃してステロイド治療をしている。また、これはクローン病の合併症か別の病気かわからないが、尿細管性アシドーシスという腎臓の病気も発症した。そのため腎臓のケアもしなければならず、忙しく病院通いをしているが、夫の協力もあり、声優と朗読の仕事は今でも続けている。

プロフィール詳細

 27歳の頃壊死性筋膜炎(*1)にかかり手術を受けた。次に31歳の頃に微熱が続いて、関節炎が出て朝起き上がれないくらいになった。病院に行って検査をしても異常がないということで原因はわからなかった。その頃、外出先でお腹が痛くなり近くの病院に行ったらステロイド(*2)を処方されて、すぐに良くなったこともあった。その他にも症状として頭皮にぶつぶつができたり、注射針に針反応(*3)が出たり、陰部潰瘍ができたりしたため、最初の病院ではベーチェット病(*4)ではないかと言われた。

 しかし、その後下血が始まり32歳の時にクローン病の診断がついた。その時はステロイドと免疫調節剤でなんとか寛解に至り、35歳で結婚したが、その年に大量下血で救急搬送され、2か月の入院をした。その後しばらくは寛解が続きステロイドも離脱していたが、43歳の時にまた下血が出て入院して検査をしたら腸に穴が開いていることが分かり緊急手術となった。ところが手術後まだ漏れていることが分かり、その日再度緊急手術となり、この時にストーマ(人工肛門)を造った。この時の手術で大腸を20センチと小腸を1メートルくらい切除した。

 ストーマになったばかりの頃は不安で途方に暮れていたが、「ブーケ」という若い女性のオストメイトの会に入って色々な人の話が聴けたのがとても心強かった。

 退院後しばらくして、クローン病の合併症と思われる壊疽性膿皮症(*5)がストーマの周りの皮膚に発症して、そのケアがとても大変だった。さらに49歳の頃にはこの壊疽性膿皮症がひざから下に広がっていき高熱が出て入院。その時に顆粒球除去療法(*6)をやったらとてもよく効いて退院できた。

 57歳の時には、階段を上ると息切れがして力が入らなくなり、おかしいと思って病院に行ったら尿細管性アシドーシスという腎臓の病気だとわかった。薬を処方されて良くなったが、一度悪くした腎臓は良くならないので人工透析にならないよう気を付けている。この病気がクローン病の合併症なのか別の病気なのかは、よくわからない。

 昨年10月に壊疽性膿皮症が再燃して12月まで入院した。今回は顆粒球除去療法の成果がなくステロイドを35mg使い、30mgに減らして退院。今年6月にようやく15ミリまで減らした。

 発症した時にはすでに声優、俳優として働いていた。病気になって芝居の方は難しくなったが、朗読の世界に入ることができた。こちらは一人でもできる仕事なので病気を抱えながらでも続けることができると思っている。逆に病気にならなかったら語りの世界にはいけなかったかもしれない。

*1 壊死性筋膜炎:皮下脂肪組織と固有筋膜の間にある浅層筋膜の細菌性炎症で組織壊死を引き起こす感染症の一つ。クローン病の合併症には記載されていない
*2 ステロイド:副腎皮質ホルモンの1つで体の中の炎症を抑えたり、体の免疫力を抑制したりする作用があり、さまざまな疾患の治療に使われている。副作用も多いため、IBDでは一般的には寛解導入に使われるが寛解維持には使わない。
*3 針反応:針を刺した痕が膿む症状でベーチェット病の一つの指針となっている
*4 ベーチェット病:慢性再発性の全身性炎症性疾患。腸管型ベーチェット病の場合はIBDの症状と似た症状が出ることがあり誤診されることがある
*5 壊疽性膿皮症:皮膚に水泡やびらんが発生する炎症性皮膚疾患でクローン病や潰瘍性大腸炎の合併症として発生することもある
*6 顆粒球除去療法(G-CAP):血中の白血球の一部である顆粒球を除去する治療法

私は: です。

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